エンタープライズ:ニュース 2003/03/05 02:35:00 更新


顧客や開発者らの声に耳を傾けるBEA

BEA eWorldカンファレンスの2日目は、製品担当プレジデント、オリビエ・ヘレボイド氏のプレゼンテーションで始まった。忠誠心の高いデベロッパーに支えられてきたBEAは、伝統的に彼らのフィードバックをうまく開発プロセスに取り込んできた。「最高のエンタープライズソフトウェア製品を提供するには、これが唯一の方法だ」とヘレボイド氏は話した。

 米国時間の3月4日、フロリダ州オーランドで開催中の「BEA eWorld 2003」カンファレンス2日目は、製品担当プレジデント、オリビエ・ヘレボイド氏のプレゼンテーションで始まった。

 ヘレボイド氏は、BEAシステムズの盟友であるヒューレット・パッカードでHP OpenView事業部を率いたほか、昨年8月のBEA入社以前は、高い可用性と性能をインターネットアプリケーションにもたらすソリューションのレインフィニティで社長兼CEOを務めていた。BEAでは、製品の計画、開発、および提供といった製品と技術の戦略全般を統括している。

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HPで20年近く働いたヘレボイド氏


 彼は、製品戦略を話す前に、ミッションクリティカルなアプリケーションのためのインフラや、開発とインテグレーションのための統合プラットフォームとして、BEA WebLogic Platformを導入している顧客企業を紹介した。

 フェデックスは、貨物のトラッキングのためにBEA Tuxedoを採用し、24時間×7日間止まらない堅牢なシステムを構築している。またバージンは、モバイルデバイスに対応した新しいサービスを提供すべく、BEA WebLogic Platformを採用し、わずか7カ月間でサービス開始に漕ぎ着けた。特にバージンでは、WebLogic Portalで顧客向けのアクセス統合を図り、WebLogic Integrationでバックエンドシステムと接続しており、ヘレボイド氏は、「こうした顧客の要求が、新しいWebLogic Platform 8.1の開発につながっている」と話した。

 今回のeWorldカンファレンスで発表されたWebLogic Platform 8.1は、アプリケーションを構築、拡張、統合、配備、そして管理する単一のプラットフォームとして仕立て上げられている。従来は、例えば、アプリケーションの開発とインテグレーションは別世界で、人も違えば、スキルもかけ離れていた。そして、こうした分断は、開発生産性を著しく悪くしていた。

 ヘレボイド氏によれば、WebLogic Platform 8.1のWorkshopフレームワークであれば、アーキテクト、J2EEデベロッパー、プロセスモデリング、インテグレーションデベロッパー、ポータルデベロッパーといったさまざまな技術者が、すべて同じマナーで共同作業でき、それによってIT生産性が大幅に改善できるという。

「競合他社も“その機能ならすべてある”と言うかもしれないが、例えば、WebSphereは300以上の異なる製品から構成されている。WebLogic Platform 8.1は、それらとは全く違うものだ」とヘレボイド氏。

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ステージにはWebLogic Platform 8.1の各種コンポーネントが積み上げられた


 WebLogic Platform 8.1を発表したばかりだが、ヘレボイド氏は、次なる機能拡張も披露した。彼によれば、分散環境における管理機能が新たに加わるほか、セキュリティ機能をさらなる強化し、プログラミングパラダイムのビジネス志向も強めるという。そして、最も重要な点として、コアエンジンのパフォーマンスやRAS(Reliability、Availability、Scalability)機能の改善を挙げ、「われわれは競合の2年先を行っており、その差をさらに広げていく」と自信を見せる。

 忠誠心の高いデベロッパーに支えられてきたBEAは、伝統的に彼らのフィードバックをうまく開発プロセスに取り込んできた。今回のeWorldカンファレンスでは、製品提供形態を新しい「dev2devサブスクリプションプログラム」へと移行することが明らかにされ、初日のQ&Aセッションでアルフレッド・チュアング会長兼CEOも、「dev2devはコミュニティープロセス」と表現している。

 ヘレボイド氏は、「BEAのコミットメント」として、デベロッパー、顧客、パートナーらとの緊密な協力関係の構築とフィードバックを得る姿勢に今後も変わりがないことを強調した。

「最高のエンタープライズソフトウェア製品を提供するには、これが唯一の方法だ」(ヘレボイド氏)

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[浅井英二,ITmedia]