エンタープライズ:ニュース 2003/05/14 16:33:00 更新


i2 PLANET 2003開幕、「プロセスの可視化」は製造業を救うか

i2テクノロジーズは、同社のサプライチェーンマネジメントアプリケーションを紹介する「i2 PLANET 2003」を、米ラスベガスで開催した。

 i2テクノロジーズは5月13日、同社のサプライチェーンマネジメント(SCM)アプリケーションを紹介する「i2 PLANET 2003」を、米ラスベガスで開催した。来場者は2002年と比較して半減し、1500人程度となった。初日のゼネラルセッションでは、同社のサンジブ・シドゥCEO、COOの中根滋氏が講演し、製造業の生産プロセスを可視化することによるROIの向上の実現や、新しいソフトウェアライセンスモデルを投入することで、顧客の信頼を勝ち取り、将来的に「市場のリーダーになる」と意気込みを見せた。同社は3月31日から、NASDAQでの取引対象銘柄リストから外されており、今後の動きが注目されている。

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「60以上用意しているセッションになるべく参加し、ベストプラクティスとしてのi2のソフトウェアを知ってほしい」と話すサンジブCEO。

 サンジブ氏は、「生産管理プロセスの可視化により、需要予測、生産計画の立案、生産の実行、販売といったサイクルをより短くする」ことが、製造業者の売り上げ、調達・支出、生産、フルフィルメント、ロジスティックスを最適化すると話す。

 また、サプライヤー企業などのパートナーと連携し、リアルタイムで取引情報を共有するSRM(Supplier Relation Management)の分野でも、同様にこうした「可視化」がカギになっている。

 同社のアプリケーションの特徴は、工場の生産キャパシティや各部材の生産リードタイムといった、実行系システムで発生するさまざまな制約条件をリアルタイムに把握し、需要予測や生産計画などの計画系システムに反映させることにあり、これを可視化と呼んでいる。

 実際の制約条件を把握した上で、より短いサイクルで計画系システムを稼動させることにより、製造業者は部材や製品在庫を最小限に抑えることができる。プロセスのリアルタイム情報が織り込まれるため、「前提条件が古く、実態を反映していない計画」の立案を避けることができる。

 保有在庫はたったの4日分とも言われるデルコンピュータのSCMシステムは、i2のプランニングシステムをベースにしている。日本企業では、NECが同社のPC製造部門に需要予測エンジンであるDemand Planner(DP)を採用し、短いサイクルでのプランニングを実現している。

 また、特にSRMの分野では、パートナー企業など異なるシステムと連携する必要があるため、サンジブ氏は、先日発表されたi2 Sixにおいて、WebサービスによるEAI機能として「SCOS」(Supply Chain Operating Service)を盛り込んだことにも触れた。

レガシーを隠蔽するi2 Six

 中根COOの講演でも紹介されたi2 Sixの特徴の1つは、導入企業が持つレガシーシステムの上のレイヤーとして、SCOSが提供されたこと。

 これにより、従来のサプライチェーン構築プロジェクトで苦労していたマスターデータの整備が非常に楽になるという。例えば、同じ製品に対して、複数のシステムが異なるIDを使っている場合、通常はマスターデータとして統合するために、大規模なデータ整備作業が発生する。i2 Sixでは、これを、データデザインツールによって、ドラッグ&ドロップで設計を済ませることができるとしている。

 同日発表された、i2 Sixの初めての導入企業であるエアバスは、元々はフランス、ドイツ、英国、スペインのそれぞれの独立企業が1つの企業として合併したという経緯がある。そのため、当然データモデルにもバラつきがあったが、EAIツールで連携後、SCOSでコードやスキーマの違いを変換することにより、異種システムをスムーズに統合できたとしている。

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[怒賀新也,ITmedia]