エンタープライズ:ニュース 2003/05/17 05:59:00 更新


管理コスト削減を支援するWindows Server 2003の新機能

マイクロソフトの佐藤和氏が、サーバの展開と運用、保守という管理サイクルの効率化を支援するWindows Server 2003の新機能について説明した。

「管理者ならば既に分かっている方も多いだろうが、プラットフォームに関わらず“管理”という部分がシステム全体のコストのうち大きな部分を占めている」――マイクロソフトの佐藤和氏は、the Microsoft Conference + expo 2003のセッションにおいてこのように指摘した。

 ここ数年来、システムの導入に要する初期コスト以上に、メンテナンスや管理といった作業を効率化し、総運用コストをいかに削減するかがIT担当者にとって大きな課題となっている。とは言うものの、システム規模が拡大し、扱うデータ量もまた増大を続ける中では、なかなか実現が困難というのが現状だ。

 佐藤氏はこのセッションの中で、Windows Server 2003が搭載する新機能が、サーバの展開と運用、保守という一連の管理サイクルの効率化をどう支援するかについて解説した。これらの機能は、マイクロソフトが提唱する自己管理型コンピューティングの新戦略「Dynamic Systems Initiative」(DSI)につながる第一歩だという。

 まず最初の「展開」のフェーズでは、サーバイメージの展開を実現する「Automated Deployment Services」(ADS)を通じて、サーバの迅速な導入・展開を手助けする。ADSでは、ディスクイメージの作成・展開や展開先サーバの遠隔操作などを行えるほか、スクリプトによるバッチ処理も可能だ。これにネットワークブートを可能にするPXE(Preboot eXecution Environment)を組み合わせれば、リモートからサーバをブートさせ、自動的に必要なイメージ・ファイルをコピーしてシステムとして立ち上げる、といった流れで、複数の端末に対し一括して展開を行える。

 この際、グループポリシーを活用することも有効だ。「Windows Server 2003の特徴の1つがグループポリシーの強化。これは、クライアントに対する適用という観点で語られることが多いが、もちろんサーバにも適用できる」(佐藤氏)。

 次は「運用」である。「たいていの場合は、1台1台サーバを設定して回るのではなく、リモートからスクリプトなどを活用して流れ作業的に作業を行うものだ。Windows Server 2003ではそれを支援する技術を提供する」(同氏)。

 そのための基盤技術が、WMI(Windows Management Instrumentation)で、ハードウェアやソフトウェアの構成情報を操作するためのインタフェースである。このWMIは、コマンドラインから「WMIC.exe」によって操作・管理できるほか、スクリプトを組んで利用することもできる。ブートやシャットダウン処理のほか、ホットフィックスの適用状況を確認できるものなど、豊富なオプションが用意されている。もちろん、従来のようなGUIによる遠隔操作も可能だ。

 Windows Server 2003はまた、サーバアプリケーションやサービスが利用するシステムリソースを柔軟に管理するための「WSRM」(Windows System Resource Manager)も搭載している。サーバの負荷が高まった際に、重要なプロセスへ優先的にリソースを割り当てられるようにするもので、スケジューリング設定が可能だ。ただ、当面はCPUやメモリに関する機能が中心となる。

 最後の「保守」については、VDS(仮想ディスクサービス)やVSS(Volume Shadowcopy Services)、ASR(自動システム回復)といった機能が用意されている。一連の機能によって、スナップショットの取得と速やかなリストアが可能になる。また保守という視点からは、マイクロソフトが提供するWindows Updateの機能を社内ネットワークで実現する「SUS」(Software Update Services)も重要だ。ファイル配布の許可/不許可も設定できるため、あらかじめ自社システムに合わせてテスト・検証を済ませた修正パッチのみを提供することができる。

 マイクロソフトは一連の機能を、DSIビジョンの元、「Systems Definition Model」(SDM)という基盤をベースに提供していく。これにより、「ハードウェアではなく、論理的なモデルを意識した上でリソースの割り当てを行い、仮想化や自動展開を実現していく。つまり、システム管理の自動化をいっそう推し進める」と佐藤氏は述べている。

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▼マイクロソフトの自己管理型コンピューティング戦略「DSI」とは?

関連リンク
▼the Microsoft Conference + expo 2003ページ
▼マイクロソフト

[高橋睦美,ITmedia]