エンタープライズ:ニュース 2003/05/22 03:38:00 更新


LinuxWorld Expoレポート、ハードベンダーでもソリューションがスタンダードに

2003年で5回目となる「LinuxWorld Expo/Tokyo 2003」。基幹での利用が進むLinuxの現状と、今後の移行を垣間見られるカンファレンスとして国内最大規模のもの。年々賛同するベンダーが増え、2003年度は昨年比1.3倍の45社となっている

 会場レポート「LinuxWorld Expoレポート、Itanium 2搭載ブレードが介すソリューションが多数」と合わせ、5月21〜23日まで開催中の「LinuxWorld Expo/Tokyo 2003」模様をお送りしよう。

 会場受け付け後の入り口からは、まず最初に日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)、日本ヒューレット・パッカード(以下、HP)のブースが目立つ。両社におけるLinuxへの意気込みが垣間見られる形だ。

 同様に、視線を移すと大塚商会、NEC、富士通、そして日立と並んでおり、いずれも先頃までにLinuxへのコミットが報じられたベンダーばかりである。すべてのブースを回り感じられるのは、「ソリューション」の展示がポイントとなっていることだ。このため構築に関してはそれほど触れられておらず、運用面においての容易さがアピールされている製品が多い。監視、ウイルス対策(Eメール運用)、高可用性などがキーワードとなっている。

 従来であれば特定のベンダーブースにはパートナーが介することはそう多くなかっただろう。しかし、このLinuxWorld Expoでは珍しくないほどに各社が入り組んでいる。注意をしなければ、ブースを構えるベンダーのみで開発された製品だと間違えてしまうものが幾つかあった。パートナー製品との組み合わせでソリューションとして提供するのは、いまや一般的となりつつあるわけだ。

ソリューション出展に徹する「IBM」

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 IBMブースでは、IBMソフトウェアブランドが会すかと思われたが、シンプルながら幅広い製品展示が行われていた。ハードウェアでは先ごろ発表されたばかりの「IBM eServer zSeries 990」、ソフトウェアでは「DB2」および「WebSphere」がコマの1つにまとめられ、Windows版PARCSとして知られている非同期リモートコピーサービスがLinux対応の出品など、すべてのソリューションやハードウェアが同列のスペースで展示されていた。パートナーからの出展では、「desknet's」(プラットアイズ)、「OMEGAMON」(日本キャンドル)などが並ぶ。

ハード/ソフトバランスよく出展された「NEC」

 NECでは、「Express5800/BladeServer」の稼働展示を始め、ブース正面では「ビジネス・エンタープライズ環境領域でのLinuxの活用」と掲げられたさまざまな同社Linuxシステム採用の事例紹介が行われていた。また、ブレードサーバに並びIAサーバへの取り組みも強調されており、IPv6対応でのルーティングシステム「Express5800 with ZebOS SRS」、Itanium 2採用の「TX7/i6010」の稼働展示も目立っていた。

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 ソリューションパッケージも展示されており、「ACTIVECR eマーケティングパック」と称される製品は、ドラッグストアチェーンを想定するアンケート結果を基に特定顧客へのEメール配信をサポートするシステムの紹介など、幅広い展示内容となっている。

HAシリーズを中心にソリューション提供を掲げる「日立」

 日立では、ソリューションと掲げられたパートナーとの共同展示が目立った。同社独自のソリューションがブース全体を占めており、Itanium 2搭載のサーバ「HA8500」シリーズ+グリッドコンピューティングを実現する「Grid Computingソフトウェア」、アプリ開発から構築、運用までをサポートする「エンタープライズLinuxソリューション」を掲げている。

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 ほかにも、利便性をアピールするホライズン・デジタル・エンタープライズのHDE Controllerと組み合わせたソリューションや、映像配信サーバHEC21/VS、メールサーバにおける「CheckMail on Linux」を利用したウイルス対策の実例などが展示されていた。

アプライアンスサーバでパートナーと協調する「東芝」

 東芝ブースでは、アプライアンスサーバの展示が目立った。組み込み製品としてSOHOや小規模事務所をターゲットとする「MAGNIA SG30」を利用されたパートナーからの出展が並ぶ。

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 同製品を利用する同報メール配信のアプライアンス「Mail2u」(ソラン)や、「Anti-Virus Appliance Server NetSHAKER VirusShoot」(安川情報システム)など、パートナーとのシステム作り協調は新しいビジネスモデルの形態として興味深い。

セミナーの充実さに重点を置いた「オラクル」

 オラクルのブース構えは比較的シンプルだ。今回はセミナー会場兼、同社のプロダクトを紹介するスペースとなっている。このため、特に解説員がOracle 9iを紹介するといった様子ではない。数多くのパートナーブースで同製品がソリューションの1つとして組み込まれていることから、あえてこのような展開になったのだろう。

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 約200名ほどが収容できるセミナー風のメインブースでは、1時間程度を通しオラクルについて深く理解してもらおうという試みが垣間見られた。主なものでは、「NetApp-NAS」と題されたストレージソリューション、Webアプリケーションサーバ、ミラクル・リナックスによる「Oracle on Linux Itanium 2 プロセッサ」のデモなどが行われている。

バックアップソフトを提供する「バックボーン・ソフトウェア」

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 バックアップソフトウェアを販売するバックボーン・ソフトウェアでは、新製品「NetVault 7」のデモが行われていた。新機能とされているのは、主に人的なミスを軽減させることが可能なポリシーベースのジョブ管理機能の採用、ディスクへバックアップされたデータを仮想的なテープデバイスとして管理されるなど柔軟性を持った機能が目立つ。

[木田佳克,ITmedia]