エンタープライズ:ニュース 2003/05/27 23:21:00 更新


日本HP、変化に迅速に適応できる企業をサポートする新戦略発表

日本HPは、エンタープライズ事業における新戦略「アダプティブ・エンタープライズ戦略」を発表した。発表会では5月1日に新社長に就任したばかりの樋口社長が説明した。

 日本ヒューレット・パッカードは5月27日、都内で記者発表会を開催し、1日に新社長になったばかりの樋口泰行氏が、エンタープライズ事業の新戦略である「アダプティブ・エンタープライズ戦略(AE戦略)」とそれに伴う新サービスについて発表した。

日本HPの樋口泰行新社長

日本HPの樋口泰行代表取締役社長兼COO。「社員の気持ちを一つにすることの大切さを痛感した」とし、お客様第一主義、スピード、結果重視、オープン、日本市場により浸透、という5つの社内スローガンを掲げていくという


 日本HPではコンパックコンピュータとの合併後、エンタープライズビジネスをボリューム・ビジネス領域とバリュー・ビジネス領域の2つに分ける「二極化戦略」を取っている。PCやIAサーバ、プリンタなどがボリューム・ビジネス領域の製品で、合併によるコスト効果を最大限に生かし、積極的に低価格攻勢をかけており、シェアも上昇しているという。今回、HPがAE戦略を打ち出したのは、UNIXやNonStop、ハイエンドIAサーバ、ストレージなどを中心としたバリュー・ビジネス領域だ。合併によって強化された、ハードウェア技術力、システム開発やサポートなどのサービス力を生かそうというものだ。

アダプティブ・エンタープライズ戦略

 樋口社長によれば、いま企業は、競争のグローバル化、企業統廃合、市場需要の急変、国際情勢といった、先の見えない環境変化にさらされ、「ビジネスがついて行っていないというのが現状」という。アダプティブ・エンタープライズ(適応型企業)とは、こうした変化に対応できる俊敏性を備えた企業を指している。これまでのIT部門はRoIT(ITが生み出すビジネス価値)を最大化するため、コスト管理や品質の向上、リスク低減が課題となっていたが、これからはさらにビジネス環境の変化にITシステムを迅速に適応させる能力の向上(俊敏性向上)が求められるという。

 AE戦略は企業がアダプティブ・エンタープライズになることをサポートするというもので、3つの技術からなる「HP ダーウィン・リファレンス・アーキテクチャ」定義し、それに基づいた製品・サービスを提供していくとしている。

 HP ダーウィン・リファレンス・アーキテクチャを構成する技術は、ダイナミックにリソースを最適化する仮想化技術、自動化されたインテリジェントな管理を行うマネージメント技術、連続的で安全なオペレーションを行うビジネスコンティニュイティの3つ。それぞれ「Utility Data Center」「OpenView」「NonStop Server」といった製品群によって実現・提供していくという。

3つのエンタープライズコンサルティングサービス

 また、日本HPではHP ダーウィン・リファレンス・アーキテクチャを実現する企業向けサービスとして、「アジリティ・アセスメント・サービス(AAS)」、「アダプティブ・アプリケーション・アーキテクチャ(AAA)」、「アダプティブ・ネットワーク・アーキテクチャ(ANA)」の3つのサービスも同時に発表した。

 AAAは企業の俊敏性を測定するサービスで、これを利用する顧客は自社の目標や戦略などに基づいて最も優先すべきITプロセスと必要な投資について把握できるという。価格は500万円からの個別見積もり。

 AAAはWebサービス技術を基盤とした、アプリケーションインフラストラクチャ構築の方法論。要件のアセスメントやソフトウェアの開発/管理サービス、Webサービス適用サービス、投資の適正化など9つの個別サービスで構成され、必要なサービスを選択して提供する。価格は個別見積もり。

 ANAはHPが開発したネットワーク設計・構築の方法論。3つの基本的設計指針と5つのアプローチによって、顧客のネットワーク環境とRoITの高い効率的な環境に進化させる。顧客はネットワークの維持管理コストを長期的に低減し、サービス品質も向上できるとしている。価格は個別見積もり。なおこのANAは、HPとアジレントの事業分割時およびコンパックとの事業統合時にも活用されたものという。

 以上3つのサービスは本日から提供される。

 AE戦略に関する日本HPの具体的な行動としては、30名のアセスメントコンサルティングチームを投入して順次拡大していくほか、SIやISVとの協業を強化していくとしている。

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[佐々木千之,ITmedia]