エンタープライズ:ニュース 2003/05/28 23:14:00 更新


SPSSのヌーナンCEO、「人間データの徹底分析が新たなビジネスチャンスを生む」

「SPSS Data Mining Day 2003」のオープニングスピーチを、米SPSSのジャック・ヌーナンCEOが務めた。テーマは「Data Minig -the Key to Predictive Analysys」。人間に関するデータに特化したSPSSのデータマイニングへの考え方が紹介された。

 SPSSが5月23日に開催した「SPSS Data Mining Day 2003」のオープニングスピーチを、米SPSSのジャック・ヌーナンCEOが務めた。講演のテーマは「Data Minig -the Key to Predictive Analysys」。人間に関するデータに特化したSPSSのデータマイニングへの考え方が紹介されている。

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「SPSSは人のデータ分析に特化している」と話すヌーナンCEO

 講演の冒頭で、ヌーナン氏は「SPSSは人の特性、態度、行動を分析・統合することで、人の“次の動き”を予測し、最終的に企業の利益向上を後押しする」と話す。1960年代の終わりに、人工知能などによる統計分析によって「将来の予測」をはじめた同社は、1990年代に入って、データマイニングという新たな手法によって、同じ目的を達成しようと試みた。

 同氏によれば、データを解析する上での基本的な考え方は、17世紀から変わっていない。それは、「データへのアクセス」「情報の検索」「予測」「結果についての報告」という4つのプロセスだ。これは、データマイニングから、2000年を過ぎてビジネス・インテリジェンス(BI)へと実現プラットフォームを変えてきたとする。BIではこのプロセスを、ETL/WarehousingやOLAP、レポーティングツールが行っていた。

 2003年、ポストBIとして、同社はPredictve Analysys提唱するという。「BIが現状の効率化を目指すもの」ならば、Predictve Analysysはそれに加えて、「あらゆるデータを分析し、将来のビジネスに新たな価値をもたらすもの」だという。

 Predictve Analysysは、「組織が持つ80%のデータが構造化されていないテキストフォーマットである」ことを前提にしているという。データ解析における予測に、従来の手法に加えて、テキストマイニングを加える必要が出てきた。企業が持つデータや、外部から電子メールでやってくるデータはほとんどがテキスト形式。通常はその場限りで役目を終えるこれらのテキストデータを分析することで、市場をつかみ、次の戦略を立案するヒントが隠されている可能性がある。

 このコンセプトを実現するけん引役として同氏は、「Peopleデータ」と、「Deploymentデータ」の2つを挙げる。Peopleデータは、人の行動や態度を示す構造化および非構造化されたリアルタイムあるいはバッチデータのこと。また、Deploymentデータは、KPIなどの指標に基づいて、企業の上層部に自社製品の売り上げ状況などを報告するときに使われたり、業務の運用手順に組み込まれたりするものだ。

 基調講演を務めた東京大学の片平秀貴教授は、「データマイニングによる分析結果は、企業の上層部を動かせる」と話している。業務変革のアイデアが、1人の社員のものではなく、「お客様の意見なんです」と言えることが、絶大な説得力を与えてくれるという。

 さらにヌーナン氏は、企業はデータを分析して現状の問題点を理解したら、単に解決するだけでなく、それに「対応した組織へと自らを変革しなくてはならない」と話した。

 組織に展開する場合には、「Recognize」「Appraise」「Predict」「Impact」「Deploy」、頭文字をとって「RAPID」のサイクルを頭に入れることも重要としている。

関連リンク
▼SPSSジャパン
▼SPSS DataMiningDay 2003レポート

[怒賀新也,ITmedia]