エンタープライズ:ニュース 2003/05/30 19:34:00 更新


テキストマイニングで見えてくるブランド戦略の方向性

SPSS Data Mining Day 2003のセッションの1つとして、日経BPコンサルティングが行った「ブランドジャパン2003調査」の結果と、そこから分かったブランドの特徴について紹介するセッションが行われた。商品やサービスが均質化する中では、ブランドで差別化していくしかないという。

 SPSSが5月23日に行った「SPSS Data Mining Day 2003」のセッションの1つとして、日経BPコンサルティングが行った「ブランドジャパン2003調査」の結果と、そこから分かったブランドの特徴について紹介するセッションが行われた。SPSSのデータマイニングツールであるClementineによるテキストマイニングが同調査を補完することで、B2B、B2Cともに、妥当性の高い調査結果を得ることができたという。

 日経BPコンサルティングの調査第2部課長を務める斉藤訓之氏は、ブランドが重視される理由について「現在は商品やサービスが均質化していてブランドでしか差をつけられない」と話す。また、モノの価格が下がるデフレの悪影響を避けるためには、ブランド価値を高めることが対策の1つにもなる。

 ブランドジャパン2003調査では、日経BPが郵送とWebを通じて3万8000人に調査して、企業および製品のブランド力を「B2B編」「B2C編」に分けて評価したもの。調査では、例えばB2Bでは、回答を「グローバル」「日本を代表」「一流である」といった幾つかのキーワードに分けてそれぞれ分類し、得点化した。

 結果は、B2Bでは1位から順にソニー、ホンダ、トヨタ自動車、日産自動車、IBM、松下電器産業、マイクロソフト、キヤノン、島津製作所、ヤマト運輸となった。また、B2Cでも1位はソニーだった。2位以降はディズニー、フジテレビ、スタジオジブリ、トヨタ自動車、東急ハンズ、キリンビール、マクドナルド、無印良品の順となった。

 そして、講演では、ブランドジャパン2003のオープンアンサーデータに対して、SPSSジャパンのコンサルタントがテキストマインニングを用いた調査を行い、ブランドの新たな可能性を探ったことが紹介された。

 テキストマイニングでは、形態素解析で知られる茶筅(ちゃせん)と、TMC(Text Mining for Clementine)によるコンセプト抽出という2つの機能を組み合わせて分析したという。これにより、データ集合に固有の単語や、ブランドイメージを語る単語といった新たなデータを生成することができた。

 例えば、回答のテキストデータを基本語彙で区切って集計することで、「企業」「製品」といった単語が同調査のコアデータになることが分かったという。また、「すばらしい」「一流」「チャレンジ」といった単語の平均使用率が、それぞれの企業のブランドイメージを特徴付けるためのキーワードになるといったことも仮定できるとしている。

 こうしたコアデータやイメージ語の抽出を、SPSSのClementineでは、コンコーダンス機能(用語検索機能)や、抽出ルールの設定機能が行っている。

 分析結果は、「チャレンジ精神」「経営的視点」「国際的認知度」「製品」「ビジョンや人材」といった項目に対して、各企業ごとに得点をつける。最終的には、各企業に対して、人々が抱いている強みや弱みなどの部分を把握できるため、ブランド戦略の立案を検討する企業に、方向性を示すことができるとしている。

関連リンク
▼SPSS Data Mining Day 2003
▼SPSSジャパン

[怒賀新也,ITmedia]