エンタープライズ:ニュース 2003/06/02 22:38:00 更新


コンテンツ管理に取り組むイキソス、「データの量が増えてもTCOは増加しない」

先日開催された「SAP TechEd」に合わせて来日した、イキソス・ソフトウェアのサービス担当副社長ヴァルター・クーラー氏が、同社の企業コンテンツ管理製品群について語った。

 ドイツに本拠を置くイキソス・ソフトウェア(イキソス)は、SAP R/3用のデータアーカイブシステムを中心に、電子文書・コンテンツの管理ソリューションを展開している。今年1月には、オブツリー・テクノロジーズとパワーワークAGという2つの企業を買収し、企業コンテンツ管理を支援する製品群をさらに拡充させた。

 先日開催された「SAP TechEd」に合わせて来日した、同社のサービス担当副社長ヴァルター・クーラー氏は、「これまでは、コンテンツのライフサイクルのうち主に最終段階をサポートしてきたが、一連の買収によって、文書やコンテンツの作成からそれらを共有してのコラボレーション、バージョン管理、最終的な保存に至るまで、すべてのステージを包括的にカバーできる」と述べている。

IXOS

「コンテンツのライフサイクルすべてをカバーする」と述べたクーラー氏

 これまでのところイキソスは、データや文書の管理プラットフォームとなる「IXOS-eCONserver」や社内文書管理を支援する「IXOS-eCONtext」、これら文書とポータルサイトを連携させ、パートナー企業などとの文書共有を実現する「IXOS-eCONcert」といった製品群を展開してきた。先日の買収ではさらに、ワークフローとWebコンテンツ管理やパブリッシングといった分野を補完し、顧客によりよい提案を行えるようになるとクーラー氏は言う。

 クーラー氏の話を総合すると、企業コンテンツ管理の推進力は大きく分けて2つある。

 1つは、景気の原則に伴うITシステム統合の動きだ。これまであちこちに分散していた文書やデータを、1つのエンタープライズシステムに集約させ、より効果的に活用しようという動きが広まっているという。

 文書やデータの統合管理によって、まず、パートナーなどとの文書共有が容易になり、同じ文書を何度もコピーする必要がなくなる。また、金融機関や通信事業者、水道・電気といった公共事業の場合、加入者に対する請求書や領収書を紙からWebに移行させることで、大きくコストを節約できる。パートナーとの間で複雑な情報をやり取りする必要のある製造・エンジニアリングといった業種では、オンラインで最新の情報を共有することで、作業のスピードアップを実現できる。社内でも、例えば既存のシステムから最新のシステムへ移行する際に、肝心のデータへのアクセスを確保するといった用途で活用できる。

 もう1つのトレンドは、企業に対するさまざまな規制の強化だ。特に金融機関が顕著だが、業務に関連する文書やデータを一定期間保存することが義務付けられるようになっている。また四半期決算にしても、年次決算にしても、より迅速に、しかも多くの情報を盛り込んだものの提出が求められるようになった。この結果、データのアーカイブと発行、管理がますます重要になるという。

 いわゆる企業コンテンツ管理市場においては、IBMやドキュメンタム、ファイルネットといった競合企業が存在する。「この市場で成否を分けるポイントは2つある。1つは、文書管理からWebコンテンツ管理、ワークフローに至るまで、完全なアプリケーションプラットフォームを、それもSAPやピープルソフトなどさまざまなビジネスアプリケーションとの連携が可能な形で提供できること。もう1つはこれらを支えるバックボーンで、それには堅牢さやアベイラビリティ、拡張性が求められる。その意味でイキソスは有利な位置にある」(クーラー氏)。

 ただし、同社の製品群だけですべてをまかなえるとは同氏も思っていない。その1つの例が、保管された文書に改竄や変更が加えられていないかどうか、完全性をチェックする機能で、パートナーとともに電子署名を付加するためのソリューションを提供しているという。他にも、「全文検索やOCR、ナレッジマネジメントといった分野ではパートナーの技術を活用しており、これは今後も継続していく」という方針だ。

「例えば、電子メールの流量は増加しているが、そのうちどれを保存し、どれを廃棄するかを自動的に決定するクラス分けシステムをパートナーとともに提供している。システム自体に拡張性があることもあって、たとえ文書やデータの量が増えても、TCOは増加しない」(クーラー氏)。

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[高橋睦美,ITmedia]