| エンタープライズ:ニュース | 2003/06/06 14:41:00 更新 |

Microsoft、Active Directoryの「ライト版」βをリリース
Microsoftは、ADのライト版ともいえるActive Directory Application Mode (ADAM) のβ版を出荷した。ADAMの登場により、ADの欠点の一つが解消されることになる。(IDG)
Microsoftは米国時間6月4日夜、Active Directory (AD)“light”の最初のパブリックβを出荷した。これは、アプリケーション限定のディレクトリで、今月末に最終コードがリリースされる予定であると同社公式筋は明らかにしている。
Active Directory Application Mode(ADAM)は単一のアプリケーション専用に作られたディレクトリのスタンドアロン版で、同社のADとは別個に管理される。ADAMはLDAP(Lightweight Directory Access Protocol) をベースにしており、ADフルインストールの代替手段となる。ADはNetwork OS(NOS)ディレクトリとして知られており、WindowsサーバOSと緊密に結びついている。
ADAMは企業ユーザーに対し、Webベース、またはほかのアプリケーションにディレクトリサービスを提供し、その中にそれらのアプリケーション固有のデータを格納できるので、コアとなる企業用ディレクトリのセキュリティや安定性で妥協する必要がなくなる。ADAMはNOSディレクトリとは別個に導入できるが、NOS Active DirectoryやNT 4.0のNTLMテクノロジーで提供されるユーザー認証サービスを利用することが可能だ。
さらに、ADAMのディレクトリデータは企業のコアNOSディレクトリ全体で複製されることはない。つまり、ADAMはActive DirectoryのコアNOSバージョンに悪影響を与えずに変更することが可能だ。
カナダ・ケベック州に本拠を置くシステムインテグレーター、Resolutions Enterprisesのネルソン・レスト氏は、「この機能が登場するのをずっと待っていた」と語る。レスト氏は最近出版された書籍、“Windows Server 2003, Best Practices for Enterprise Deployments”の著者でもある。
レスト氏はこの書籍のADに関する章を自社のウェブサイトで公開している。「NOSディレクトリとアプリケーションディレクトリを分離するのは、Microsoftにとって重要なことだ。NOSディレクトリは安定してセキュアでなければならないが、アプリケーションのスキーマを変更しようとすると、あらゆるところに複製され、排除することができなくなる」(レスト氏)。
同氏によれば、Windows Server 2003のユーザーは、ディレクトリを定義する言語であるADスキーマを閉じることができるが、それでもスキーマ変更は安定性を脅かすことになる。しかし、データが閉じられたとしてもディレクトリの中に留まり、散らかしたままになっている。
ADAMの登場によりネットワーク担当重役は、ドメインコントローラ上のWindowsサーバOSすべてのセットアップを行ったり、Kerberos、DNS、公開鍵インフラストラクチャなどのサービスを立ち上げなくてもディレクトリの導入を柔軟に行うことが可能になる。
そしてMicrosoftにとっては、Sun ONE Directory ServerやNovell eDirectoryといった、ネットワーク担当重役からウェブベースのディレクトリとして好まれてきた競合技術に対する回答をようやく提示できることになる。
「これはADの新しいモードだ」とMicrosoftのプログラムマネジャーであるカナン・アイア氏は言う。アイア氏はTechEdカンファレンスのセッションでADAMの詳細なプレゼンテーションを行い、ADAMのインストールを5分で実行してみせた。「ADAMはActive Directoryと同じ保存技術およびツール、同じ保存管理インフラストラクチャを有している。しかし、ユーザーがローカル制御、自律スキーマ、ネーミングの柔軟性を持つ」(アイア氏)。
アイア氏によれば、ADAMはリブートなしでサービスの再起動、再インストールが可能で、1台のマシンで複数のインスタンスを走らせることができるという。
ADAMはWindows Server 2003とWindows XP上で動作し、デベロッパーがディレクトリを利用したアプリケーションを開発することができる。ADAMは32ビット版OSと64ビット版OSの両方で稼働する。MicrosoftはSmall Business Server上で動作可能なバージョンも検討中であるとアイア氏は語った。
Microsoftはライセンスおよび価格の詳細については発表していないが、アイア氏によれば、MicrosoftはADのモデルに似たものなるようだ。ADの価格は約2000ドル。ユーザーは内部ユーザーのクライアントアクセスライセンス(CAL)、外部ユーザーのためのコネクタライセンスを購入する必要がある。
関連記事[John Fontana,IDG News Service]
Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.
