エンタープライズ:インタビュー 2003/08/19 19:18:00 更新


Interview:「市場の拡大こそ重要」と日本オラクルの新宅社長、Oracle 10gが起爆剤? (1/2)

ライバルたちの追い上げはあるものの、依然として国内RDBMS市場で6割という高いシェアを握る日本オラクル。揺さぶりをかけるライバルに「市場の拡大こそ重要」と新宅社長は話す。9月にベールを脱ぐ「Oracle 10g」が、その起爆剤になるのか?

 Oracle神話は揺らぎつつあるのか? 日本アイ・ビー・エムやマイクロソフトといったライバルたちの追い上げはあるものの、データベースの巨人、日本オラクルは依然として国内RDBMS市場で6割という高いシェアを握っている。ライバルらは、磐石だったオラクルの牙城に地殻変動が起こりつつあることを強調して揺さぶりをかけるが、新宅社長は「市場の拡大こそ重要」と一蹴する。9月、サンフランシスコで開催されるOracleWorld 2003でベールを脱ぐ「Oracle 10g」が、その起爆剤になるのか?

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「取るべきパイはIBMではなくマイクロソフト」と新宅社長


ZDNet 磐石に見えたデータベース市場でのオラクルの地位ですが、2001年に世界のデータベース市場(Gartner Dataquest調べ)で首位を奪還して以来、IBMが揺さぶりをかけています。

新宅 メインフレームを含むデータベース全体の市場ではIBMが首位かもしれませんが、われわれの主戦場はオープン環境のリレーショナルデータベースです。IDC Japanが調査した国内RDBMS市場のシェアを見ても、依然としてOracleが金額ベースで53.8%を占めています。30%程度で拮抗しているというのならいざ知らず、DB2/Informixは3番手で、シェアは11.2%に過ぎません。こうした状況で、いろいろと仕掛けてくるというのは、市場にとって良いことではありません。

 オープン市場においてDB2は、WebSphereに比べると、それほど評価を得ていないということであり、また、Oracle9i RAC(Real Application Clusters)を攻撃しているということは、彼らがRACに負けていることの証かもしれませんね。Oracle9i RACの案件は既に相当数に上り、高い評価を勝ち得ています。

ZDNet しかし、売られた喧嘩は買うのでしょうか。

新宅 調査会社の活動は尊重しますが、明確に区別されたDB2の売り上げが公表されているわけではありません。日本オラクルは公開企業であり、日本IBMやマイクロソフトの日本法人はそうではありません。われわれがライセンス売り上げを減らしたと会計報告を行い、彼らは増やしたと「主張」したわけですが、それで単純に比較されても正直面白いものではありません。しかし、われわれとしてはIBMをそれほど意識しているわけではありません。

ZDNet 売り上げを減らした原因は?

新宅 その分析が必要なのです。われわれのシェアが極めて高かった通信業界からの受注が一段落し、現在は落ち着いています。また、業界を問わず、大規模案件が減り、小規模なものが増えています。そうなると、プラットフォームはWindowsが選択され、マイクロソフトがSQL Serverを売り込みやすくなります。

 こうした事実に基づくと、われわれに必要なことは、Windows環境下でのマーケットゲインです。われわれの取るべきパイは、IBMではなく、マイクロソフトなのです。

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[聞き手:浅井英二,ITmedia]