エンタープライズ:ニュース 2003/09/12 21:36:00 更新


古くて新しい「資産管理」と「パッチ配布」という課題に取り組むLANDesk Software

米LANDesk SoftwareのCEO、ジョー・ワン氏によると、自社システム内のPCの台数や稼動しているソフトウェアの種類をきちんと答えられる企業は半分もないという。

 資産管理とリモートコントロール、ソフトウェア配布といった機能を提供する企業向け統合管理ソフトウェア、「LANDesk Management Suite」を提供しているLANDesk Software。先日来日した米LANDesk SoftwareのCEO、ジョー・ワン氏によると、同社は今後も引き続き、IT資産管理の分野に注力していく方針だ。

 「例えば中規模以上の企業の担当者に、『あなたの会社には何台のPCがあり、それらではどういったソフトウェアが稼動しており、ライセンスをいくつ購入しているか』と尋ねたとしよう。賭けてもいいが、半分は『分からない』と答えるのではないか」(同氏)。資産管理はもう10年以上も前から課題となっている古くて新しい問題であり、今もなお、多くの顧客がすぐに利用可能な解決策を求めているという。

 「企業に多くのハイテク機器を導入し、その結果を生産性の向上や効率化に結びつけるには、増加し続けるデバイスをきちんと管理していく必要がある。LANDeskではその作業を支援していく」(ワン氏)。

ワン氏

資産管理の市場にはまだまだ大きな可能性があると述べたワン氏

 もともとはヘルプデスクなどを主なターゲットとしていたLANDesk Management Suiteだが、「このスイートが提供する一連の機能が、IT部門によるデスクトップの一元管理に有用であることが認識されるようになってきた。今ではポリシー管理機能やソフトウェアのマルチキャスト配信機能によって、ITシステムの運用を支援している」(同氏)。

 今年初めにリリースされたLANDesk Management Suite v7.0も、その流れの延長線上にある。このバージョンでは特に、OSイメージの作成、配布機能が強化されたほか、ソフトウェアライセンス管理やアプリケーション起動制御といった機能が追加された。

 「最近では古いOSからWindows XPなどへの移行を検討する企業が多いが、LANDesk Management Suiteでは、従来多くの手間を要していた移行作業を速やかに行えるよう支援する。またライセンス管理によって、実際に利用しているよりも余分にライセンスを購入する必要はなくなり、コストの最適化が図れる」(同氏)。

「どのパッチを適用すべきか」意思決定を支援

 年末までにリリース予定のバージョン8では、ユーザーインタフェースの改良やノートパソコンなどモバイルデバイスに対する管理機能の強化が図られる予定だ。並行して、いくつかのアドオン製品も展開していく。1つは、ハードウェアのパフォーマンスをリアルタイムにモニターする監視モジュール。もう1つは、パッチ配布管理用のモジュールだ。

 これまでもLANDesk Management Suiteでは、パッチ配布を支援する機能を提供していた。事実、新種のワーム「MSBlast」が登場したときも、LANDesk Management Suiteを採用していた米コロラド州のボルダー市当局では、ソフトウェア配布機能を用いて300台のクライアントPCすべてにパッチを適用し、被害を未然に防いだという。

 しかし、既存のパッチ配布機能が主にカバーしていたのは、現状の把握とパッチ本体の配布というプロセスのみ。「できる限り早く提供したい」とワン氏が言う「Patch Manager」では、パッチ配布の自動化を支援するとともに、高度な判断を行えるようにするという。

 具体的には、検出したシステムの現状と脆弱性情報を突き合わせ、リスクを算出するとともに、IT管理者が「どのパッチを適用すべきか」を決定できるよう評価レポートを提供する。さらに、パッチが確かに適用されたかどうかを確認する機能も強化され、パッチの適用にまつわるプロセス全般をカバーしていく計画だ。

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[高橋睦美,ITmedia]