エンタープライズ:ニュース 2003/09/17 15:33:00 更新


基調講演:ソフトウェア統合でブランド名「Java」を最大限に生かしてきたSun

SUNNetwork 2003の初日にはソフトウェア統合環境が基調講演で披露された。かつてのコードネームは口にされず、製品化へ向けた進展が見られる。Javaブランドの威力はいかに。

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ソフトウェア統括を行うシュワルツ氏。今回の統合発表は、Javaのネームバリューを最大限に生かしたものとなった


 SUNNetwork 2003カンファレンスの初日(米国時間16日)、スコット・マクニーリーCEOに続く講演では、ジョナサン・シュワルツ氏がソフトウェア統合についてを披露した。その中では、デスクトッププロダクトとして99年にマイクロソフトが発表したクロームエフェクトを彷彿とさせる3D画面がデモされ、「これがWebページの裏側です」などとジョーク交じりで会場を沸かせた。この根底となるのは、コードネーム「Project Mad Hatter」として2002年2月に発表されたものだ。ただし、今回の発表によってSPARCも含まれている。

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クロームエフェクトライクの3D描画。もはやWindowsでは死語となってしまったものの、会場のノリは最高潮となった。右上にはJavaロゴが見える


 基調講演内ではもはやLinuxデスクトップ(Mad Hatter)というキーワードは口にされず、「Java」のブランド名を最大限に生かす形となった。シュワルツ氏から紹介されたパッケージは、サーバとなる「Java Enterprise System」を始め「Java Desktop System」、「Java Mobility System」、「Java Card System」、そして開発環境となる「Java Studio」という面々だ。

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今回発表された製品群。最終パッケージデザインかどうかは不明だ


 サーバの核となるJava Enterprise Systemは、Sun ONE製品の統合推進も意味し、LDAPサポートベースの「ディレクトリサービス」、ポリシーベースアクセスを持つ「認証サービス」、J2EE 1.4を見据えた「Web&アプリケーションサービス」、インスタントメッセージやアンチウイルスなどを含む「コミュニケーション&コラボレーションサービス」、Voice of IPを見据えた「ポータルサービス」が含まれる。そして、これらの統合環境はProject Orionの一環とし、四半期ごとにアップデートされていくことも強調された。

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シュワルツ氏は、IBM WebSphereのインストールCD枚数に疑問視し床に投げ、さらにライセンス書類の分厚いバインダーも投げる。簡素化されたアップデート手段としてOrionをアピールする


Linuxデスクトップ改めJava Desktopのウリはどこに

 Java Desktop(Mad Hatter)に関するデモでは、WebブラウザやRealVideoプレーヤのウィンドウ枠をマウス操作で回転させ、派手なデモで観客の目を引いた。また、ほかのトピックではテレコミュニケーションの融合も紹介され、オフィスにおける電話のコスト削減も一環として含まれる。

 このプロジェクト自体は、2002年2月にコードネームProject Mad Hatterとして登場し、そして今回のJavaデスクトップなる製品化へのステップ発表となった。現在はチューンアップ中とのことで90日というメッセージが表れたのみだ。IBMによる買収統合とは意味が異なるものの、今後はサン内部での統合動向に注目したい。残念ながら、国内ローカライズについては特に触れられなかった。

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Java Desktopのデモ。ログイン画面が見られる


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スコット・マクニーリーCEOのコメントでも象徴的だったように、徹底的にランニングコストについてを語る


 Linuxカーネル上でのGNOMEやEvolution、StarOfficeをパッケージしたものをJavaデスクトップと呼ぶには無理があるが(もちろんJ2SEは含まれる)、それでも今回のソフトウェア統合によっていっそうJavaブランドが加速することは明らかだろう。

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プレゼン内容は、ユーティリティサービス自体へとフォーカスされ、見栄えのするムービー再生や3D描画に目を奪われる


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関連リンク
▼SunNetwork 2003 Conference レポート
▼SunNetwork 2002 Conference レポート

[木田佳克,ITmedia]