エンタープライズ:ニュース 2003/09/18 07:20:00 更新


基調講演:コンポーネントの革新を進めシステム全体の価値を高めるSun

システムとしての価値を強調するSunだが、SPARC、Solaris、Sun Java System、N1といったコンポーネントもさらなる最適化が進められている。2日目を迎えたSunNetworkカンファレンスでは、それらにスポットライトが当てられた。

 米国時間9月17日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催されている「SunNetwork 2003」カンファレンスは2日目を迎え、午前の基調講演にマーケティングと戦略を統括する執行副社長、マーク・トリバー氏が登場した。彼は、チーフ・ストラテジー・オフィサーも務めている。

tolliver01.jpg

部門を超えたSunの戦略立案を統括するトリバー氏


 トリバー氏は開口一番、CEOのスコット・マクニーリー氏をはじめ、同社の多くの幹部が顧客らの声に耳を傾けていることを紹介した。

 「顧客らは、コストと複雑さを減らし、サービス提供のスピードを上げ、セキュリティのあるモビリティを求めている」(トリバー氏)

 彼はこの日のステージのホスト役でもある。新たに発表されたローコストのサーバ製品、今や成熟の域にあるSolaris、N1によるデータセンター運用の自動化、スループットコンピューティングによるイノベーションという、現在ある製品や技術と将来のそれらがうまく循環することで、顧客らが課題に取り組むのを支援できるという。

価格引き下げにコミット

 ともあれ、景気回復の足取りが遅い中、企業はITに対する投資に依然として慎重だ。コスト削減の大合唱はなかなか収まらない。

 前週のOracleWorld 2003でマクニーリーCEOが、Xeonプロセッサを採用したV65xとDellのIAサーバを比較し、性能と価格の両面で勝っていることをアピールしたばかりだが、トリバー氏もSPARCサーバ、x86サーバ、ブレードサーバ、そしてストレージなど、すべてのカテゴリーで競合他社よりも低価格であることを改めて強調した。

 「Sunは製品の価格を引き下げることにコミットしている」とトリバー氏。

 この日発表された4ウェイのラックマウント型サーバ「Sun Fire V440」、タワー型サーバ「Sun Fire V250」、およびワークステーション「Sun Blade 1500」だ。

 価格が9995ドルから始まるV440はアプリケーションサーバ向けの構成にしても1万5995ドル。ほぼ同じ構成の競合他社製品と比較するとそのバリューは際立つ。IBM x360が3万7980ドル、HP DL580が3万6770ドル、DELL PE665ですら3万750ドルだ。

 5年ぶりとなるタワー型サーバのV250は、2995ドルからスタート。小さな筐体だが、64ビットのUltraSPARC IIIiプロセッサを搭載し、200人を超える部門や事業者のエンタープライズアプリケーションを十分稼動させることができるという。こちらの価格も、ほぼ同じ構成の競合他社製品、DELL PE2600の3147ドルを下回っている。

 「ブレード」の名を持つがSun Bladeは、従来から同社ワークステーション製品のブランドだ。V250と同様、64ビットのUltraSPARC IIIiプロセッサを搭載し、価格も同じ2995ドルから。既にテクニカル市場はSunの独壇場だが、同じ構成のIBM 44P-170ワークステーションと比較してわずか1/5。さらにそのシェアを拡大しそうだ。

 これらのボリュームシステム製品を担当するニール・ノックス執行副社長は、「x86プロセッサを搭載したVシリーズは1回限りのものではない。IntelやAMDと協力し、製品化を続けていくことを約束する」と話す一方、同社のスループットコンピューティング計画が順調に進めば、15倍のパフォーマンス向上というブレークスルーも実現できるとする。

knox01.jpg

ボリュームシステム呼ばれるローエンド製品を統括するノックス氏(右)


さらに成熟するSolaris

 マクニーリーCEOが初日にも強調したとおり、ローコストのサーバはシステムのパーツに過ぎない。OSやミドルウェア、アプリケーションが統合されて初めてクルマや飛行機と同じように機能するのだ。

 IBMやHewlett-Packardというライバルたちが、UNIXからLinuxへと舵を切る中、Sunは自社のUNIX OSであるSolarisにコミットする。SMPサーバにおける優れたスケーラビリティ、Trusted Solarisによる堅牢なセキュリティなど、Linuxに対する一日の長は数え切れない。

 トリバー氏は、中でも柔軟なサーバ統合を実現する「Trusted Containers」と呼ばれる機能を紹介した。この機能によって、複数のサーバから構成される1つのシステム内に最大4000までの隔離された「ゾーン」を設定することができる。異なるバージョンのSolarisを混在させることも可能だという。Sunのハイエンドサーバなどでも、ハードウェアパーティショニングによって1台のサーバを物理的に分割する機能はサポートされていたが、さらに柔軟さが加わる。

 ステージに招き上げられた、Trusted Containersのアーキテクトで、Distinguished Engineerの称号を持つアンディ・タッカー氏は、「アプリケーションをマシンから完全に分離することができる。N1構想を実現していくための大事なステップだ」と話す。

関連記事
▼基調講演:「コストと複雑さにリコール」──IT業界の未成熟さを皮肉るSunのCEO
▼基調講演:Sun Java Systemでソフトウェア産業のリセットを仕掛けるシュワルツ氏
▼SunNetwork 2003で総合主義路線を打ち出すSun
▼サン、新しいプロセッサ技術への取り組みを発表
▼新プロセッサの発表で猛攻を開始したサン
▼SunNetwork 2003 Report

[浅井英二,ITmedia]