エンタープライズ:ニュース 2003/09/18 12:11:00 更新


基調講演:次期Solarisに合わせSoftware Expressでコミュニティを開くSun

16日から公開された米国Sunのコミュニティサイト「Sun Software Express」。最新のSolarisにおけるスナップショットが公開され、今後は最新のテクノロジーに触れることが可能だ。積極的なフィードバックも期待しているという。

 SunのOS「Solaris」を取り巻く最新のトピックの1つに、ユーザーと同社の間に強力な架け橋ができたことが挙げられる。16日から公開された「Sun Software Express Program」(http://www.sun.com/softwareexpress/)では、毎月最新のSolarisに取り込まれる機能がスナップショットで公開され、常に最新のテクノロジーに触れることが可能だ。

 「SunNetwork 2003カンファレンス」開催の2日目(米国時間17日)、基調講演内ではマーク・トリバー氏から自社OS「Solaris」についてが語られた。

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新たに発表されたサーバ製品「Sun Fire V60x/65x」をバックに熱演するトリバー氏


 Sunが設立から現在まで20年間の根底となってきたものは、SPARCプロセッサ、そしてネットワークコンピューティングを可能として拡張性を続けるOS「Solaris」の存在にほかならない。基調講演では、次期Solarisを見据えてトリバー氏から今後の方向性が語られた。次期バージョンSolarisでは、いままで柱とされてきた「コンパチビリティ」、「拡張性」はもちろんのこと、「セキュリティ」、「ネットワークパフォーマンス」にもいっそう注力しているという。

 バージョン間での動作保証をするのが「コンパチビリティ」。すでにSolaris 9発表時にも強調されていたトピックだが、今後も一貫して引き継がれると繰り返された。

 次に挙げられたのが「拡張性」。業界で常にユニークなOSの存在としてあり続けるのがこの点だとコメントし、マルチプロセッサ、マルチスレッドの環境がますますハイキャパシティな状況においても安定性を確保できると自信を見せる。これまでの実績例として、オラクルデータウェアハウスでの72プロセッサ実現における拡張性が挙げられた。

 そして最近業界を賑わせる「セキュリティ」面。「昨今ではさまざまな問題が飛び交っているもののSolarisも例外ではない」とトリバー氏。これまで実現したおもなトピックとしては、スタックバッファ問題をOSでコントロール、ロードベースのアクセスコントロールをネットワーク全体で行うなどが挙げられた。

 また、軍や情報機関で最もセキュアな環境構築に求められる市場では「Trasted Solaris」と呼ばれる商用市場には出回らないパッケージがあるが、次期Solarisではこのテクノロジーも積極的に取り入れられるという。トリバー氏からは「すべてのOS環境がSolarisをスタンダードとして考えるようになるはずだ」と意気込みが語られた。

 またここ数年のトピックとしては、ソフトやハードに対しエラー検知を行うシステムを構築してきたことを挙げる。これはトレーシングシステムといっしょに使われるものだが、Sunではこれを「アドバンスドトレーシング」と呼び、ツールの「Trast」と同等のものをOS標準で可能とするものだ。

 「ネットワークパフォーマンス」についても挙げられた。次期Solarisでは、TCP/IPのスタック内のコードの見直しを行っており、10倍ものパフォーマンスアップが期待されるという。このテクノロジーは、Sun Software Express Programで10月に公開予定だ。

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使用率向上に対し、サービスを1つのサーバに統合する


 トリバー氏は、次にアンディ・タッカー氏を招きカスタマーとのやり取りで得たサーバ統合化についての試みを語る。

 タッカー氏がカスタマとのやり取りで実感したものの1つに、複数のサービスを1つのサーバに集約したいというコストダウン問題があるという。これに対しタッカー氏は、ゾーンと呼ぶコンテナの概念で複数のアプリケーションが干渉することなく隔離された領域で動作する仕組みを作り込んだ。この隔離にはセキュリティが重要な要素となり、コンテナの中にはさらに4千のコンテナを稼働させることが可能な概念だという。これにより、サーバの稼働率を高めることが目的だ。このテクノロジーは、Sun Software Express Programにて2004年第二四半期にリリースされる。

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x86エディションのSolarisについても継続し、SPARCエディション相当の機能を実現すると語った


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関連リンク
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▼SunNetwork 2002 Conference レポート

[木田佳克,ITmedia]