エンタープライズ:ニュース 2003/10/08 23:47:00 更新


基調講演:「限られた予算」と「高いサービスレベル」を両立させる方法

「VERITAS VISION JAPAN 2003」の基調講演に登場したVeritasの製品担当副社長、マーク・ブレグマン氏は、ユーティリティコンピューティングの基盤となる同社のコンポーネントについて紹介した。

 いわゆる「ユーティリティコンピューティング」構想では、ITリソースを水道や電気のようなサービスとして扱い、使った分に応じて課金するといったモデルが提示される。ベリタスソフトウェアが例に挙げるのも、やはり水道のモデルだ。

 10月8日、都内で開催された「VERITAS VISION JAPAN 2003」において、米VeritasのCEO、ゲイリー・ブルーム氏に続いて基調講演に登場したマーク・ブレグマン氏(製品担当副社長)も、やはりユーティリティコンピューティングのあり方を水道にたとえ、その実現にいったいどんな要素が必要かを説明した。

 ブレグマン氏によると、水道は、蛇口をひねったときに確実に供給される水道水だけで構成されるわけではない。水道水を確保し、必要なところにまで届ける貯水所および配水管が不可欠だし、利用者がいったいどのくらいの水を使ったのかを把握して課金を行う請求の仕組みも必要だ。

ブレグマン氏

水道の仕組みになぞらえながらユーティリティコンピューティングについて述べたブレグマン氏

 「ユーティリティコンピューティングもまったく同じことで、これら3つの階層が必要になる。ベリタスは、自らが基盤になるという形ではなく、その基盤を構成するコンポーネントを提供して、ユーティリティコンピューティングの構築を支援する」(ブレグマン氏)。

ビジネス上の観点から見たサービス管理を

 ブレグマン氏は、これまでベリタスが展開してきた「アベイラビリティ」「パフォーマンス」、それに「自動化」という3つの柱を強化することによって、水道並みのユーティリティコンピューティングを実現すると述べる。ひいてはそれが、複雑な環境下でのサービスレベルの向上とコストの削減という、IT管理者を取り巻く相反する課題を実現するという。

 まずアベイラビリティに関しては、ストレージ基盤そのもの、つまりFoundation Suiteの進化を進めていく。同社では、過去に培ってきたソフトウェア技術をベースに、ダイナミックなパフォーマンスの最適化やいっそう簡素化されたインタフェース、モジュール型コンポーネントに基づくソリューションといった要素を実現。さらに今後は、ポリシーに基づき自動的にプロビジョニングが行われるような高度なストレージ管理やアプリケーションを意識したストレージ、ネットワーク対応ストレージといった項目を実現していくとした。

 また、来月をめどにVeritas NetBackupの新バージョンをリリースし、リモートクライアントに対する透過的なデータ保護やスナップショット技術を活用したディスクベースのリカバリを支援。さらに、さまざまな法規制への準拠をにらみ、データの状態に合わせてコスト効率のよいストレージを利用する、データライフサイクル管理というアプローチを取る。

 2つめのパフォーマンスについては、よりアクティブなパフォーマンス管理・改善を実現していく。「センター側に連絡が入る時点で、既に手遅れだ。ユーザーがパフォーマンスの劣化を認識する前に、問題を検出し、原因を特定することが必要だ」とブレグマン氏。それを実現するのが、プリサイス・ソフトウェア・ソリューションズより買収され、ベリタスのラインナップに加わった「VERITAS i3」や「VERITAS Database Edition」という。

 そして、今同社が最も力を入れているのが、最後の柱である自動化だ。これは、「水道のモデルで言うならば請求書のレイヤーに当たる」(同氏)。

 ここでは、さまざまなデータを区分けし、種類ごとに適切な形で管理するだけでなく、そのサービスがどの程度ビジネス上の要件を満たしているかを測定し、把握することが重要になる。つまり、ビジネス上の観点から見たサービスレベルの管理が求められるわけだ。無論、そのためにはさまざまなツールが必要になる。ベリタスではそうしたツールの1つとして、ビジネス上の視点に基づく管理・レポートツール「CommandCentral」や、ジャレバテクノロジーズより買収したサーバプロビジョニング製品「VERITAS OpForce」を展開していくという。

 ブレグマン氏は、サービス管理やパフォーマンス管理、それに動的なプロビジョニングやクラスタリング、自動管理といった要素からなるベリタスのアプローチによって、既存のインフラを生かしながら強力なユーティリティコンピューティングモデルへと移行できると述べる。そしてこの戦略によって、「IT予算やリソースが逼迫する中で、より高いサービスが求められるという困難な状況にも対応していくことができる」と語った。

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[高橋睦美,ITmedia]