エンタープライズ:ニュース 2003/10/22 03:23:00 更新


フリービット、中小企業向けに安価な「IPv6ベース」のIPセントレックスサービス

フリービットは12月より、中小企業をターゲットととした、IPv6ベースのIPセントレックスサービス「FreeBit OfficeOne IP ビジネスホン」を開始する。

 フリービットは10月21日、中小企業をターゲットととしたIPセントレックスサービス「FreeBit OfficeOne IP ビジネスホン」を12月より開始することを明らかにした。コストメリットに加え、既存の環境からの移行のバリアが低く、運用も容易なことを特徴に、従業員数30人程度までの企業での導入を狙う。

 現在、国内の企業の大多数では、アナログ電話とPBX(交換機)で電話機能を実現している。IPセントレックスサービスは、このPBXの機能をIPネットワーク経由で提供するもので、日本テレコムやフュージョン・コミュニケーションズ、NTTコミュニケーションズがサービスを展開するほか、最近ではNTT東日本/西日本までが参入を表明している。

 FreeBit OfficeOne IP ビジネスホンもこうした、SIPをベースとしたIPセントレックスサービスの一種だが、既存のサービスにはない特徴がある。1つは、IPv6技術を採用し、さまざまな変更にともなうアドレス運用の手間を減らしていること。もう1つは、IPネットワークの足回りとして、専用線ではなくNTT東西が提供しているBフレッツを用い、ランニングコストを抑えていることだ。

IPv6をリアルビジネス化

 同サービスではVoIPゲートウェイにヤマハの「RTV700」を採用。さらにIPv4/IPv6変換機能を備えたハブ(横河電機製)を経由し、岩崎通信機の「IX-6 IPKTD」にカスタマイズを施したIP電話機をつないでサービスを利用する。このIP電話機はPower over Ethernetに対応しており、さらにPCをつなぐためのハブ機能もサポートしている。ただし利用に当たっては、フリービット専用のISPに加入する必要がある。

 一般加入電話への通話料金は、日本全国一律で1分8円。VoIPゲートウェイにISDN回線を収容することにより、IP電話サービスで用いられる「050」番号だけでなく、既存の番号をそのまま用いての着信も可能となる。ただ、IP電話全般の課題とされている110番、119番など緊急番号への発信は不可能だ。

 従来のIPセントレックスサービスは、専用線やIP-VPNの導入が可能な大企業でしかメリットを享受できなかったのに対し、FreeBit OfficeOne IP ビジネスホンは中小企業でも十分手が届くようBフレッツを利用する。さらに、「5ユーザーの場合で月額5000円程度など、数千円の範囲で利用できるようにする」(同社副社長兼COO、田中信明氏)という。なおVoIPゲートウェイの価格は17万8000円、IP電話機は3万円程度を見込んでいるという。

 FreeBit OfficeOne IP ビジネスホンのもう1つの特徴が、IPv6をベースにすることによってIPアドレスの変更、管理が容易になったことだ。例えばアナログ電話の世界では、人事異動などがあるたびに専用の業者に依頼し、内線番号の割り当てを変更してもらう必要があった。IP電話によってその手間は削減されることになったが、依然、ルータでのNAT越えといった問題が残っている。IPv6を利用し、端末にグローバルアドレスを割り当てることにより、こうした面倒な問題を避けることができるという。

 フリービット代表取締役社長の石田宏樹氏は、「あらかじめ拡張を見越してネットワークを設計しておくのは困難。しかしこのサービスでは、変更も機器の追加もすべて容易に、後付けで行える」と述べている。これら一連の変更作業はWebブラウザを通じて行える仕組みだ。

 「われわれは世界で初めて、IPv6のリアルビジネス化に成功した。インターネットから一番遠いところにいる中小企業に向けて、電話という切り口でIPv6を届けていく」(石田氏)。

 フリービットではサービスイン以降もメニューの拡張を続けていく計画だ。開始当初はSIPをベースに、転送やリダイヤル、コールパークサービス、代理応答といったビジネスホンとしての基本的な機能から提供するが、2004年春には留守番電話サービスや伝言メッセージ通知機能などを追加する予定だ。さらにFreeBit OfficeOneのブランド名で、さまざまな法人向けサービスを展開していく計画という。

 同社では、パートナー企業と共同で設立する合弁会社を通じて販売を展開。2004年度に20億円の売り上げを目指す。

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[高橋睦美,ITmedia]