エンタープライズ:インタビュー 2003/10/29 22:55:00 更新


Interview:CognosのアッシュCOO、「BIのテーマはいかに業績を押し上げるか」

BI市場は今後どのように進んでいくのか、Cognosのロバート・アッシュCOO、日本法人の田上一巳社長に話を聞いた。

 ビジネスインテリジェンス(BI)大手のCognosは9月に、レポーティングツール「Cognos ReportNet」をリリースし、分析ツールとして知られる同社のPowerPlayと並ぶ主力製品として展開することを明らかにした。企業にとって、蓄積するデータをいかに活用していくかが課題になっている。BI市場は今後どのように進んでいくのか、同社のロバート・アッシュ社長兼最高執行責任者COO、日本法人の田上一巳社長に話を聞いた。

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アッシュCOOと日本法人の田上一巳社長

ZDNet BI市場の現在についてどう考えていますか?

アッシュ BI市場は花開き、面白い時期にさしかかってきました。これまでは、企業のそれぞれの部門が個別に導入して業務の改善を図るといったケースが多かった。だが、今は、Enterprise BIの言葉に示されるように、全社戦略として集中化する方向へ向かっています。ERPの普及で企業は大量のデータを蓄積するようになってきました。これからはそのデータをいかに活用するかに企業は目を向けているのです。

 キーワードは「いかに企業の業績を上げられるか」、つまり、ビジネス面の活用が重要になります。

ZDNet 日本市場についてどう考えていますか。また具体的な取り組みについて教えてください。

アッシュ BIがまだあまり広まっていない国として、日本は今後急速に成長する市場だと認識しています。日本の大企業は、製品を自社に導入する際には、品質やスケーラビリティ、日本へのコミットメントなどの観点で、「大丈夫な会社か」を確認しようとします。そのため、ReportNetでも、(ローカライズに時間のかかる)日本語版を含めた形で世界同時リリースを行いました。人事も含めて日本には大きな投資を行っています。

 また、IBM、富士通、NEC、アクセンチュアなど、パートナーとの関係も着実に進めています。さらに、ReportNetは、ユーザーであるファイザーと共同開発しました。一方、導入を担当するエンジニア向けには、資格制度として、Cognos Certified Professional Program(CCPP)を展開していきます。

ZDNet BI市場では、BusinessObjects(BO)によるCrystalDecisionsの買収、HyperionとBrio Softwareの統合など、ライバルに動きがありますが、Cognosとしてはどのように差別化していきますか?

アッシュ Cognosの競合企業は、BOやHyperion、Microstrategyなどです。Cognosの優位性は、エンタープライズレベルの大規模な導入で力を発揮することです。PowerPlay、ReportNet、そして、数値経営を可能にするMetrics Managerなど、1つのベンダーとして、企業が持つ課題を総合的に解決できることが強みです。

田上 ライバル企業の1つであるBOからは、新しいバージョンの製品がなかなか出てこなくなりました。これは、技術的な基盤が古いため、最新製品としてリリースすることが難しくなっているのです。その結果、ほかのベンダーを買収することで補完しようとするのですが、今度は、買収した製品との統合に時間を費やすことになります。Cognosはその間に、さらに製品の性能を高めていけるため、今後も差は広がっていきます。

ZDNet ユーザーとして特に注目している業界はありますか?

アッシュ BIは水平的な製品で、どの会社も大量のデータを抱えているため、基本的にはどの業種の企業でも利用できます。ただ、特に挙げるとすれば、製薬、製造、金融、政府機関です。ReportNetは現在のところ、ファイザー、朝日新聞、キリンビールなどに利用されています。



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[聞き手:怒賀新也,ITmedia]