| エンタープライズ:ケーススタディ | 2003/10/30 18:52:00 更新 |

IBMの復活を支えた「ダイナミックワークプレース」
NETWORKERS 2003」の2日目となる10月30日、セッションの1つとして、日本IBMが自社の社員のワークスタイルを支える基盤システムを紹介した。
シスコシステムズが開催しているプライベート技術カンファレンス「NETWORKERS 2003」の2日目となる10月30日、セッションの1つとして、日本IBMが自社の社員のワークスタイルを支える基盤システムを紹介した。「ダイナミックワークプレース」と呼ばれる同社のオフィス環境では、FAXやボイスメールを含めて、PC上からメールとして一元的に扱うことができる。いわゆるユニファイドメッセージング環境だ。社員の固定席を減らすなどのコスト削減効果だけでなく、顧客満足の向上や機会損失の回避など、さまざまな効果があるという。
日本IBMネットワークサービス事業部の久保田裕氏は、1990年代始めのIBMについて「危機に直面していた」と振り返る。確かに、同社は1991年から93年の間、純利益が大幅なマイナスを記録した。
その後、同社が「復活」したのはよく語られる話だ。社員の生産性を飛躍的に向上させる仕組みがダイナミックワークプレースだったという。

IBMが導入しているダイナミックワークプレースのイメージ図。社員はこのネットワークを使って、オフィスだけでなく、自宅、外出先、出張先、ホテル、空港から自社にあるさまざまな情報にアクセスすることができる。
ダイナミックワークプレースは、IBMの社員が場所を選ばずに仕事ができるオフィス環境のこと。ユーザーである社員は、パーソナライズされたポータルを通じて、ナレッジマネジメントや業務システム、e-ラーニングコンテンツなども参照することができる。また、電子メールやFAX、ボイスメールなどは、ユニファイドメッセージングシステムによって統合されており、すべてのメッセージを電子メールとして扱うことができる。
このため、社員は、顧客のデータなどを調べるために自社に戻る必要がなくなり、より多くの時間を外出先で使えるようになった。約2万人に上る日本IBM社員のうち42%、IBMグローバル全体では3分の1の社員が、このシステムを利用することを前提に固定席を持たないという。
久保田氏は、電話やFAX、電子メールを別々に使うこれまでの一般的なオフィス環境では、メッセージが必要な人に届くのが遅れたり、電話の取り次ぎなどの作業を強いられる社員は、仕事上の思考を中断させられるといった問題があるとする。
ユニファイドメッセージング環境ならば、情報伝達のリアルタイム性が高まり、また、データアクセスのためにオフィスに帰るといった無駄がなくなるため、顧客へのサービスに時間を使えるようになるという。
「ユニファイドメッセージングにより、顧客満足度の向上と機会損失の回避が可能になる」(久保田氏)
システムを実現する製品
一方、同社がユニファイドメッセージング環境を実現したの具体的な製品についても触れられた。
中心となるのは、Cisco Unity ServerとDomino Serverだ。あるユーザーに送られてきたFAXやボイスメールは、データとしてUnity Serverに転送され、ディレクトリ情報との照合を受けることで、あて先となるユーザーがシステム的に確認される。Unityのディレクトリ情報と、Domino Serverに格納されたデータベースは、ユーザーIDや電話番号などをキーに同期されているため、両社は相互にユーザーの同一性を保持できる。これにより、ボイスメールをDomino Serverの正しいユーザー当てに転送することができるわけだ。
最後に同氏は、「ネットワークはあくまでインフラ。ビジネスアプリケーションを支えて初めて価値が出る」と強調した。ユニファイドメッセージングについても、企業はあくまで、業績アップや顧客満足の向上といった、ビジネス的な成功を目標に置くべきであるとしている。
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