インタビュー
2003/11/05 14:12 更新


Interview:「コンセプトの話をするからユーティリティのモデルは混乱する」VeritasバートンCMO

ユーティリティコンピューティングはインターネットの次に到来するITのモデルに過ぎない、と語るVeritasのバートンCMO。米国時間11月4日に発表された製品群のキーワードは、データプロテクション、コンプライアンス、ユーティリティコンピューティングの3つという。

 ニューヨークで発表されたVeritasの新製品群は、同社のユーティリティコンピューティングモデルを実現するための製品と位置付けている。NetBackupを中核に、新オプションのDesktop and Laptop Option、法規制などに対処できるようにデータをアーカイビングするData Lifecycle Manager、そしてサービスレベルに基づきITインフラを統合管理できるCommandCentral Services。これら製品で、ストレージをユーティリティ(公共インフラ)に近づけていくという。

 ただ、ユーティリティコンピューティングというのは、次に到来するITのモデルの一つに過ぎない、と話すチーフマーケティングオフィサー(CMO)のジェレミー・バートン氏。同社が一連の新製品で導こうとする方向性を聞いた。

ジェレミー・バートンCMO

オラクル出身のバートン氏は、オラクルが日本で大きな市場を得たようにVeritasも市場を獲得できると言う


――ニューヨークは9.11のテロや大停電と、何かとディザスタリカバリー(DR)で注目されますが、この地でデータプロテクション製品を発表したことに意味はありますか?

バートン NetBackupは災害が起きたときに対処できる製品ですが、ニューヨークという場所での発表に関係があるのは、むしろコンプライアンスだと思っています。ここニューヨークは金融サービス会社など多くの大企業がベースとしていますから、コーポレートガバナンスという点をカバーする製品を訴えるには適しています。ここは、DRとコンプライアンスの双方に関係の深いエリアです。シリコンバレーはもはや“死に体”とも思っています(笑)。

 また、Veritasは今年でNASDAQ上場10周年を迎えたこともあります。今年1年で120%株価が上昇しました。最も大切な顧客とともに迎えられるのは、素晴らしい体験です。

――コンプライアンスということですが、規制に敏感な業種はどんなところですか。また、米国ではこういった製品の導入に迫られている状況なのでしょうか?

バートン 規制に敏感なのは、テレコム、金融サービスといった企業です。経済に対して大きな影響力を持っているからです。また、こういった企業は、数多くのミッションクリティカルなアプリケーションも利用しています。Veritasの価値は、信頼性、可用性の高いシステムを作ることにあります。これらの企業は複雑で異種混合のヘテロジニアスなIT環境を持っており、Veritas製品はこういった環境を得意としています。

 世界の状況はそれぞれ違うと思いますが、法規制があるため米国では現在多くの注目を集めています。日本を含むアジアパシフィックは、これよりも関心が落ちるかもしれません。しかし、インターナショナルに活動する企業もあるわけで、こういった企業はローカルな企業以上に影響を受けてくるのです。現在は、確かに米国に集中していますが、ほかの国にも訴求できるものだと思っています。

 Veritasが良い例です。どうやって売り上げを計上すればよいのか、文書規定をどうするのか、こういったことを世界中すべての拠点で同じポリシーで実施しています。

――多くのベンダーが口をそろえてユーティリティコンピューティングの概念を謳っていますが?

バートン ユーティリティコンピューティングという言葉が一人歩きしている状態といえるでしょう。しかし、ユーティリティコンピューティングというのは、コンピュータのモデルの一つにすぎません。メインフレーム、クライアント/サーバ、インターネットの次に来るモデルなのです。ただ、この状況をすべての人が把握しているわけではないようです。

 簡単に言えば、製品がない段階のユーティリティコンピューティングは理解しにくいわけです。Webブラウザがなかったときにインターネットを想像するのが難しいのと同じです。具体的製品がないままに2人の人間が同じことを説明していても、その方法はことなるので、現在一部の人に混乱を招いているのです。

 基本的に、ユーティリティコンピューティングというのは、アプリケーションに適したサービスレベルを理解し、ビジネスに応じて最も低いコストで実現するという単純なコンセプトです。

 私たちには既に製品があるわけで、この基盤上にビルドアップできる製品を、ロードマップに基づいて作っていく必要があると考えています。

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[堀 哲也,ITmedia]

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