特集
2003/12/05 22:09:00 更新


特集:第1回 Webアプリケーション開発、運用プラットフォーム「Cosminexus」を知る (3/3)


 Cosminexus開発環境の構成は、下図の通りです。

java_fig03.gif

図3■Cosminexus 開発環境の流れ


 Cosminexus Studioでは、ViewとControllerの開発をプログラミングレスで行えます。このため、生産性および品質が向上する期待があります。また、この部分の開発には比較的Javaの詳細知識が不要なため、画面要素の開発はデザイナーに任せることで、センスのよい使いやすい画面を開発することもできるでしょう。次に、開発の流れに沿ってそれぞれの機能について解説しましょう。

画面遷移設計「Cosminexus Application Designer」

 最初に行うのは画面遷移の設計です。これには前述したようにApplication Designerを使用します。

ApplicationDesigner.gif

画面1■画面遷移設計を担う「Cosminexus Application Designer」


 Application Designerは、Microsoft Visio(以下、Visio)のアドインコンポーネントとして提供されます。Application DesignerをアドインしたVisioを起動すると、画面遷移を設計するための各種ステンシル(画面1の左側)が表示されます。ステンシルには、オブジェクトとして画面を表すもの、遷移の動きを表すもの、条件分岐を表すものなどがあります。これらのオブジェクトを遷移図に配置して、遷移の流れを設計します。

 画面オブジェクトには、Webページを識別するためのIDや、WebページのHTMLファイル名などを設定します。これにより、画面遷移図とWebページの設計が関連付けられます。画面遷移図を作成すると、遷移に必要なボタンなどを配置したWebページのHTMLファイルが自動生成され、そのままWebページ設計に利用できるのです。なお、Application Designerをアドインするツールとし、Visioの代わりにMicrosoft Excelを利用することも可能です。

Webページ設計「Cosminexus Page Designer」

 Webページ設計は、マクロメディアのMacromedia Dreamweaverとそのアドインコンポーネントとして提供されるPage Designerを使用します。このPage Designerを組み合わせることで、Webページのレイアウトから関連情報設定までをすべてDreamweaver上で行うことができるのです。

PageDesigner.gif

画面2■Webページのレイアウトやデザインを担う「Cosminexus Page Designer」。このようにMacromedia Dreamweaverのアドインとして動作する


 Application Designerで作成した画面遷移図では、編集したい画面オブジェクト選択でDreamweaverが起動できます。これでWebページのレイアウトをデザインするわけです。入力フィールドやボタンなどのオブジェクトを配置し、基本的なデザインが完成すれば、Page DesignerでWebページと業務処理プログラム間で入出力を行うデータを定義します。配置したオブジェクトとデータの対応付けを行うのです。

画面遷移のシミュレーション

 Application DesignerおよびPage Designerを利用したWebシステム開発のメリットは、画面遷移とWebページの設計を連携できることです。さらに、その設計情報に基づいて画面遷移のシミュレーションが行えます。シミュレーションで必要となる情報さえ設計されていれば、画面遷移やWebページの設計が完了していなくてよいのです。シミュレーションのためのプログラムを新たに作成する必要性がなく、アプリケーションサーバなどの実行環境も不要です。

 このシミュレーションは、画面遷移の設計を元に行われます。実行時に表示されるWebページ上のボタンをクリックすると、遷移先の画面が表示され、実際のユーザー操作に従った動作確認を行えます。このように、早い段階で画面遷移をシミュレーションすることで、Webシステムのユーザーインタフェースを早期に確定できるのです。

Application DesignerとPage Designerでプログラム作成を行う

 画面遷移とWebページの設計完了後には、フロントエンドのプログラム生成が待っています。

 Application Designerでは画面遷移図から画面遷移制御プログラムを、Page DesignerではWebページからJSPとJavaBeansを自動生成します。どちらのプログラムも、メニューから選択するだけで生成され、開発者が手を加えることなく使用できます。このように、フロントエンドプログラムはプログラミングレスによる開発が可能です。

 バックエンドの業務処理プログラム作成には、JBuilderを利用します。コンパイル、アーカイブなどの作業もJBuilderを使用して開発を進めるのです。

JBuilderとアドインでWebサービスアプリケーション開発を行う

 Webサービスアプリケーションの開発についても多少触れましょう。Cosminexus Studioでは、Webサービスを実現するSOAPアプリケーションの開発支援機能をJBuilderのアドインコンポーネントとして提供しています。

 SOAPアプリケーション開発支援機能を利用した開発では、ウィザードを使用してWSDLが生成されます。WSDLは、Webサービスのプログラムインタフェースなどの情報を記述するものとして知られています。生成したWSDLからさらにSOAPメッセージのアクセスに必要なJavaのソースファイル(スタブ/スケルトン)も生成されるため、開発者は業務処理プログラムの開発に専念できるのです。

XML開発支援「Cosminexus XML Processor」

 Webサービスを始めとし、WebアプリケーションではXMLデータを扱う機会が増えています。Cosminexus Studioでは、XML開発支援機能としてCosminexus XML Processorを提供しています。

 Cosminexus XML Processorは、JAXP(Java API for XML Processing)1.1に対応しており、JAXP 1.2に含まれているXML Schema検証機能も提供されています。このCosminexus XML Processorを利用すれば、XML文書の解析やXSLT変換などを容易に行うことができるのです。

Webアプリケーションサーバ「Cosminexus Application Server」

 次にアプリケーションの実行環境「Cosminexus Application Server」について解説しましょう。

 基幹システムをWebベースで構築すれば、インターネットを介してどこからでも基幹システムを利用できるメリットがあります。専用端末が不要なため、メンテナンスコストを大幅に削減できることからも広く注目されているのです。しかし、基幹業務を支えるシステムには高い信頼性と可用性が求められます。この要求に耐えられるアプリケーションサーバが必要となるわけです。

 Cosminexusはこのような要求に応えるため、JavaVMおよびWebサーバのサポート力を強化しています。さらにOpenTP1との連携強化によりトランザクション管理の問題もクリア、クラスタ製品の投入で高可用性も実現し、Webベースの基幹システム構築が可能となっています。

 JavaVMについてはトラブルシュート機能を強化、WebサーバについてはSSL128ビット暗号通信をサポートし、どちらも日立から提供されます。Java/Web基盤の信頼性と性能強化を図っているのです。これらは国内で開発しているため、万が一の障害時にも、同社による迅速な原因究明と対策が期待できます。

OpenTP1との連携でバックエンドの高信頼性を保証

 バックエンドは高信頼のOpenTP1、フロントは柔軟なシステム構築が可能なCosminexusを利用してシステムを構築できます。

java_fig04.gif

図4■OpenTP1との連携によってさらに高い信頼性を実現


 また、JCA(J2EE Connector Architecture)インタフェースのサポートによって、CosminexusとOpenTP1の間で「2フェーズコミット」によるトランザクション連携が実現されています。これによりWebフロントエンドでのデータベース更新と、OpenTP1での処理を1トランザクションとして扱うことができるため、柔軟性の高いシステム構築が可能なのです。

 また既存のOpenTP1システムをWeb化したいユーザーのために、野村総合研究所が提供するオブジェクトワークスを導入しています。これによるWeb化では、既存OpenTP1システムの修正やJavaによる業務プログラムの作成が不要のため、短期間でC/SシステムからWebシステムへ移行できます。

 また、信頼性向上のために日立のミッションクリティカル構築ノウハウを注ぎ込んだクラスタ製品もラインアップされています。これは、実行中のサーバに障害が発生した場合でも、待機しているサーバに自動切り替えを行うことで高可用性を実現するものです。

標準化されたWebサービスをトータルにサポートする

 Webサービスに向けてXML、HTTPなどのインターネット技術をベースとし、SOAP 1.1(添付ファイルもサポート)、WSDL 1.1、UDDI 1.0をサポートしています。また、Webサービスを活用するためのソリューションとサービスを、Webシステムの計画、設計段階から安定稼働、保守までトータルに提供します。

 最後になりますが、Cosminexus Version 5が対応するJava、Webサービス関連の標準仕様は次の通りです。現在スタンダードとなっている数多くの規格をサポートしています。

J2EE 1.3(RMI-IIOP 1.0、JDBC 2.0、EJB 2.0、Servlet 2.3、JSP 1.2、JTA 1.0、JavaMail 1.0、JNDI 1.2、JMS 1.0)、J2SE 1.4、JAXP 1.1、SOAP1.1(添付ファイルも可能)、WSDL 1.1、UDDI 1.0(UDDI用WSDLから生成したスタブを使いサーバへと接続可能)

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関連リンク
▼日立製作所|Cosminexus
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▼日立製作所

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[友永佳津子,ITmedia]

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