エンタープライズ:ニュース 2003/12/10 09:15:00 更新


製品ラインを強化した日本NetApp、来年にはプロフェッショナルサービスも

日本ネットワーク・アプライアンスは、ニアラインストレージの新製品「NearStore R200」をはじめ、同社ストレージ製品ラインナップの強化を発表した。

 日本ネットワーク・アプライアンスは12月9日、米国での発表を踏まえ、同社ストレージ製品ラインナップの強化を発表した。この中には、同社の主力製品である大容量NASシステム「FAS900シリーズ」のハイエンドモデルのほか、ニアラインストレージ製品「NearStore」の新製品などが含まれている。

 具体的には、最大32TBまでのディスク容量をサポートしたNetAppファイラの新フラグシップモデル「FAS980」がリリースされた。複雑かつ大容量のデータを取り扱うERPやCRMといったアプリケーションでの利用を想定した機種で、スループットは従来機種に比べ45%改善されているという。ファイバチャネル(FC)とiSCSIの双方をサポートしており、価格は4500万円から。同時に冗長構成モデルの「FAS980c」(最大容量は64TB)も発表されている。

 また、搭載ディスク容量を強化したニアラインストレージの新製品「NearStore R200」も発表された。従来機種のR150の搭載ディスク容量が最大24TBだったのに対し、R200は最大96TBまで対応しており、価格は2500万円から。この製品はまた、同社が独自に開発したデータ保護技術「RAID-DP」もサポートしている。

 RAID-DPは、「同時に2つのディスクに障害が発生すると手の打ちようがない」というRAID5の弱点を補うもの。複数のパリティを持つことにより、RAID5と同等のコストで、ミラーリング(RAID1)並みのデータプロテクションを実現するという。既存の機器についても、搭載OS「Data ONTAP」のアップグレードによってRAID-DPのサポートが可能になるということだ。

 なお同社代表取締役社長の鈴木康正氏によると、高速だが高価なSCSIディスクの代わりにATAディスクを採用し、価格を抑えたNearStoreシリーズは、発売後1年余りでNetAppの売上全体のほぼ10%を占めるまでに成長しており、日本でも同じように成長を見せているという。

 同社では今後も、NearStoreシリーズをはじめとするニアラインストレージの適用分野は拡大すると予測している。具体的には、バックアップの統合といった従来型の用途だけでなく、ビジネス継続や法的規制への準拠(コンプライアンス)といったニーズだ。米国では、医療/ヘルスケア業界における標準「HIPPA」に代表されるように、企業業務に関わるさまざまなデータの保存が法律などで義務付けられるようになっている。鈴木氏は、「こうした規制は日本においても広がってくるだろう」と予測している。

 鈴木氏はまた、一時期落ち込みを見せた同社の売上高も、2003年後半から回復基調を見せていると語る。同氏はさらに、過去最高の売上を記録した2001年第3四半期の水準に近づいているとし、順調に成長路線に回帰していると強調した。

 また2004年には、国内でもプロフェッショナルサービスを展開する方針だ。既に米国では展開済みのサービスだが、社内でプロフェッショナルサービスエンジニアを養成し、販売代理店とともに顧客にコンサルティングを提供していく計画があるという。

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[高橋睦美,ITmedia]