| エンタープライズ:レビュー | 2003/12/22 08:55:00 更新 |

レビュー:Red Hat Enterprise Linux 3のライセンス形態を探る (3/3)
Professional Workstationを選択する今後は
「それでは商用OSとしてサポート重視に路線変更をした意味は? 」という疑問も浮かんでくるだろう。Professional Workstationを選択したユーザーには2つの選択肢がある。
ひとつはEnterprise Linux WSの「1年間、フルに機能が使える試用版」と考えることだ。そして本格的なベンダーサポートが必用と感じれば、本来のEnterprise Linuxとして契約を結び、乗り換える。
Enterprise Linuxのライセンス契約はバージョンに依存しない。バージョン3のまま、クリティカルな部分を支えるシステムとしてもよいし、今後リリースされるだろう新しいバージョンに移行していくこともできる。Professional WorkstationのEntitlementは、特定のアカウントへアクティべーションした段階で消費されるが、米国のRed Hatへコンタクトをとれば別のアカウントへ移動することもできる。試用版として仮運用を行った後、RHNのManagementシステムを利用した大規模な管理システムへ移行させることも可能だ。
もうひとつは、RHNのEntitlementを継続利用していくことだ。現時点のRHNは、前述したようにProfessional WorkstationをEnterprise WS 3として認識する。

購入して1年経過した後でも、Entitlement(「Update」で年間89ドル)を購入すればRHN上のErrataやUpdateサービスだけは「Enterprise WS 3として」継続することができるかもしれない。ただし、あくまでもRHN上のサービスであり、ベンダー他、Enterpriseファミリーが本来受けられる物理的なサポートは受けられないことになる。言ってみれば2003年12月現時点でのRHNの隙を突く形かもしれず、今後RHNが変化した際にはどうなるか分からない。Professional Workstationは店頭販売パッケージ。1年単位で新規購入を繰り返していくプロダクトというのがレッドハットの見解なのだ。
今後安定した廉価なサーバ機能のニーズはどこを頼ればよいのか
レッドハットはコンシューマ、ひいては企業ユーザーも含め、従来のRHLの運用目的を軽視してしまったのではないだろうか。店頭の市販パッケージやFTP版でも、これまでRed Hat Linuxを利用してきたユーザーは多い。そのようなユーザーに支えられてEnterpriseファミリがリリースされ、Linuxデファクトスタンダードの地位を獲得したはずだ。
1年単位の新規購入は従来に較べてかなりコストがかかるようになったが、納得はできる。しかしなぜRed Hat Linuxと同等のサーバ機能のパッケージを加えなかったのか。Red Hat Linuxの後継はFedora Coreだというのがレッドハットの主張だ。しかし、現時点での「Fedora Core 1」には未熟さが残り、RHNのようなサポートも信頼性もクリアされた。すべてはオープンソースに基づくプロジェクトだからだ。安定して信頼できるサーバが必要なら、Enterprise Linuxファミリから高価なASやESを選択しなければならない。レッドハットは文字通りの「高級ブランド」となってしまった。
Professional Workstationはそのエントリープロダクトに位置する。コンシューマにはSambaやNFS程度の低レベルなサーバサービスがあればよい、というコンセプトが筆者には理解ができない。ASのように、マルチCPUや多くのアーキテクチャに対応する必要はないと思う。しかし、コンシューマにはサーバ機能を与えない限定したパッケージング提供では、Red Hat Linuxをサーバ運用していたコンシューマ、そして運用コストを第一に考える場合はどうすればよいのか。何らかの形でサーバ機能を引き継げる製品をリリースしなければ、デベロッパーはレッドハットから離れていってしまうような気がしてならない。
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[渡辺裕一,ITmedia]
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