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2004/01/09 21:34:00 更新


IBM、社内デスクトップのLinux移行を「真剣に評価」

IBMの動きは、一時的にせよ影響力を持つ可能性がある。

 米IBMの最高情報責任者(CIO)が社内デスクトップPCへのLinuxの採用について評価するプロジェクトの開始を命じた。Linux支持の姿勢をさらに強めた格好だ。

 同社ボブ・グリーンバーグCIOの11月のメモには、サム・パルミサーノ会長が「このIT部門、および実際にはIBM全体に、2005年末までにLinuxベースのデスクトップに移行するよう求めた」とある。だがIBM広報担当のトリンク・グアリーノ氏は1月8日、IBMの実際のプランはそこまで大胆ではないと説明した。

 「IBMには、2005年までに全従業員をLinuxデスクトップに移行させる計画はない」し、大半の従業員を移行させる計画すらないとグアリーノ氏。くだんのプロジェクトは、デスクトップコンピュータでのLinuxの利用を真剣に評価するため開始されたものだという。デスクトップコンピュータ用OSの市場はMicrosoftの牙城となっている。

 IBMは、訓練を受けたシステム管理者の手で運用されることの多いサーバ用のOSとしては、かなり前からオープンソースOSのLinuxを支持している。だがデスクトップLinuxに対しては、2003年末に関心を示し始めたばかり(11月12日の記事参照)。

 IBMの動きは、一時的にせよ影響力を持つ可能性がある。IBMがサーバでLinux支持に踏み切ったのは2000年のことだが、当時、同社のこの動きは、学生のプログラミングプロジェクトというパッとしない素性の新参OSにお墨付きを与える十分な効果があった。

 グアリーノ氏はデスクトップLinux検討プロジェクトを、同社が2000年に正式支持を打ち出すかなり前からサーバ用にLinuxの評価を始めた過去になぞらえる。「IBMが新しいプラットフォームや技術について、自社のIT部門に厳しく社内テストするよう求めるのはいつものことだ」と同氏。

 しかし、IBMがデスクトップLinuxを真剣にとらえていることは明らか。グリーンバーグ氏の部門は「Open Desktop」プロジェクトを率いている。同氏のメモによると、このプロジェクトにはIBMの研究部門とソフトウェア部門が参加し、「プロダクティビティツールとWebアクセス・閲覧ツールを、同等のオープン標準に置き換える」作業に当たるという。

 デスクトップLinuxは何年も前から有望視されながら、技術的な課題、対応ソフトや互換性の問題から、広く普及するには至っていない。しかし、独ミュンヘン市やテキサス州オースティン市など政府系顧客が関心を示し始めたことと、Sun Microsystemsなどが大掛かりな製品戦略を打ち出してきたことから、ここへきて変化が加速し始めている。

 Red HatとSUSE LINUXというLinux販売のトップ2社がデスクトップLinuxのプロジェクトや製品を掲げ、一連の新興企業もデスクトップLinux市場に目を向けている。例えばLinux PCメーカーのLinareは1月7日、Walmart.comで価格200ドルの同社のLinux搭載PCの販売が開始されたと発表している。

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[Stephen Shankland,ITmedia]

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