ニュース
2004/01/15 16:54:00 更新


ミラクル、5月出荷のAsianuxでアジア圏のLinux基盤確立を目指す

1月7日に報道されたミラクル・リナックスと中国レッドフラックソフトウェアによる共同開発提携発表。1月15日には都内ホテルで記者会見が行われた。

 常に米国先行のIT業界において、Linux市場から新たな風が吹き始める。アジア圏での標準化を目指し、「Asianux」と呼ぶLinuxの基盤が登場間近だ。

 先にミラクル・リナックスから報道された中国レッドフラックソフトウェア(北京中科紅旗軟件技術)との共同技術提携発表。この共同開発では、コードネーム「Asianux」と呼ぶLinuxの基盤確立にあり、今後、Asianuxを取り込んだ「MIRACLE LINUX V3.0」、「Red Flag DC 4.1」がそれぞれの製品で出荷される。このような試みはUnited Linuxが記憶に新しいが、会見では「UnitedはSUSE Linuxが完全なベースだったため、Asianuxはまったく異なるものだ」と強調された。

IMG_2714.jpg

ミラクル・リナックスの代表取締役社長、佐藤武氏(写真左)とレッドフラックソフトウェアのChris Zhao氏(写真右)


 Asianuxの基盤となる部分は、Linuxカーネル(Kernel 2.4.2x)を始めライブラリ、パッケージ群、インストーラ、日本語・中国語対応、そしてエンタープライズ対応。これらの開発は、昨年2003年10月から北京のオラクル開発センターで始まっており、Asianuxを基に3月にはベータ版、5月には製品として発表する予定だという。また、共同開発によるメリットは、「動作検証、性能評価をAsianux共同開発の基で行うことにあり、オラクルデータベースはもちろん、多くのハード、ソフトの面でも正式対応として発表できる点にある」とミラクル・リナックスの代表取締役社長、佐藤武氏

 さらに「今回は日中での関係だが、Asianuxは今後アジア圏へと広がっていくことを期待しているもの。共同でサポートセンターを設立し、日中で共通のサポートサービスを提供していくことも新たな試みになる」と佐藤氏。ミラクル、レッドフラック共に官公庁への採用に期待を寄せており、エンタープライズ用途でのLinuxにいっそうの拍車を見込む。

 会見では、基盤となるAsianuxが大きな変革になるのかと質問されたが、ミラクル・リナックス、取締役技術担当の吉岡弘隆氏からは「ベースについて言えば、現行の製品バージョン2.1と同様でRed Hat(RPMパッケージ)からの変化はない」とコメントされた。

 今回の共同開発提携の背景として、両社現行製品を取り巻く類似点も挙げられる。MIRACLE LINUX、Red Flag共にオラクルとの関係が強く、この点が理由の1つであるという(関連記事参照)。一方、これまではミラクル・リナックスが主にエンタープライズでのサーバ用途、一方、レッドフラッグは組み込み分野やデスクトップでの用途に実績を持つ。

関連記事
▼Oracleが開発センターを北京に開設、“紅旗”Linuxとの協業を軸に中国政府市場に照準
▼オラクル、中国市場を狙い「紅旗」Linuxのサポート強化
▼変貌する商都上海で日本オラクルがセミナー開催、中国事業開発部も本格始動

関連リンク
▼ミラクル・リナックス
▼デベロッパー:Linux チャンネル

[木田佳克,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.