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2004/01/29 00:43:00 更新


Eclipseベースの「IBM Workplace Client Technology」とは?

Lotusphere 2004の基調講演で、Lotus Workplaceファミリーの新しい技術が紹介された。「IBM Workplace Client Technology」だ。

 Lotusphere 2004の基調講演で、Lotus Workplaceファミリーの新しい技術が紹介された。

 11回目となるLotusphereの見所は、Notes/Dominoの最新版の機能、「On Demand Workplace」向けのIBMのソフトウェアソリューション、IBMが提供するプラットフォーム上にさまざまなアプリケーションを提供するISVにとってのLotus Workplaceの魅力などが挙げられる。そして、もう1つのテーマが、新技術「IBM Workplace Client Technology」となる。

 米IBMでWorkplace Clientの開発担当ディレクターを務めるハリシュ・オラマ氏、Lotus Software担当のジャネット・バロー氏に、IBM Workplace Client Technologyについて聞いた。

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ハリシュ・オラマ氏。

 オラマ氏は、「Workplace Client Technologyは、Lotus NotesやMicrosoft Officeのような既存のデスクトップソフトウェアを、ワイヤレス環境を使うことで場所を選ばず利用できるようにする。Webブラウザベースのソリューションと同様にコストも低く抑えることができる。」と話す。

 同氏によると、IBM Workplace Client Technologyは、システム管理をサーバ側で行いながら、クライアントをベースとするコンピューティングを実現するものだ。

 例えば、電子メールやインスタントメッセージング(IM)、カレンダー、さらにはWebサービスといった各モジュールは、インターネットを通じてクライアントに動的にダウンロードされる。それにより、ユーザーはそれぞれのポータル上でさまざまな機能を利用できるわけだ。

 その結果、例えば、個別にPCが提供されていないような企業や工場においても、1つのPCがあれば各個人が専用のデスクトップ環境を利用できるため、全体としてTCOの削減につなげることができる。

Eclipseの利用

 また、Workplace Client Technologyは、オープンソースであるEclipseフレームワーク上に、クライアントプラットフォームが提供されていることも特徴だ。顧客企業やソフトウェア開発者は、システム構築や統合といった作業の際、Eclipseフレームワークを利用できる。

 IBM Workplace Client Technologyがサポートする機能は、電子メールやIM、チームワークプレイスといった「コラボレーティブアプリケーション」、文書作成、プレゼンテーションツール、表計算ソフトといった「オフィス生産性アプリケーション」など。さらに、CAD/CAMや、基調講演でも紹介された新ツールである「Workplace Buileder tool」で構築されたカスタムアプリケーションなども含まれる。

リッチクライアントへの柔軟な対応

 J2EEベースの同製品は、PDAなどのモバイルデバイスから利用する「リッチクライアントコンピューティング」を、Lotus Workplace上で実現することも目的としている。

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基調講演ではWindows CEベースのPDAからユーザーが自分のポータルにアクセスし、サーバ上の情報を更新するデモが行われた。

 また、同技術は、今後リリース予定のLotus Workplace Messagingや、文書管理ツールといったLotus Workplace製品の強化にも利用される。

 Eclipseベースであることで、IBM Workplace Clientは、そのほかのIBMのソフトウェアグループが提供するプラットフォームにも対応でき、サードパーティベンダーも同プラットフォーム上でアプリケーションを開発することができるという。これは、「プラットフォームを提供し、アプリケーションの開発はISVなどに任せる」といった印象のある、IBMのソフトウェア戦略に沿っているとも考えられる。

 加えてオラマ氏は、IBM Workplace Client Technologyが、LinuxやWindowsなどのマルチOS対応であることもアピール、Microsoftに対する差別化の要素になると話した。

 IBM Workplace Client TechnologyがLotus Workplace製品として最初に提供されるのは、2004年の第2四半期の予定(英語版)。価格は提供時にアナウンスされる。

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ジャネット・バロー氏

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関連リンク
▼Lotusphere 2004 Report
▼Lotusphere 2003 Orlando Report
▼Lotusphere 2002 Orlando Report
▼日本IBM Lotus

[怒賀新也,ITmedia]

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