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2004/01/29 11:23:00 更新


「1つの真実」を求める顧客にスイートの扉を開くOracle

2日目を迎えた「Oracle AppsWorld 2004 San Diego」の基調講演にE-Business Suiteの開発を統括するロン・ウォール執行副社長が登場し、今年半ばに登場する「11i.10」のインテグレーション機能や「Oracle Customer Data Hub」についてプレビューした。

 米国時間の1月28日、カリフォルニア州サンディエゴで開催中の「Oracle AppsWorld 2004 San Diego」は2日目を迎えた。この日のサンディエゴは朝から霧に包まれ、小雨も降るというあいにくの天候だったが、午前の基調講演が始まるころには、明るい陽光が戻ってきた。

 この日のトップバッターは、Oracle E-Business Suiteの開発を統括するロン・ウォール執行副社長。昨年7月にリリースされた現行バージョンである「Oracle E-Business Suite 11i.9」をいかに活用するか、事例を交えながら紹介したほか、今年半ばに登場する「同11i.10」のインテグレーション機能や「Oracle Customer Data Hub」についてもプレビューした。

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E-Business Suiteの開発を統括するロン・ウォール執行副社長


 既存のE-Business Suiteに対する投資をいかに活用するかについて、彼が真っ先に挙げたのが、「サーベンス・オクスレー法」(いわゆる企業改革法)への準拠だ。経営陣の情報開示責任が厳しさを増す中、E-Business Suiteであれば、既存のビジネスモデルの中で、より厳格な社内コントロールが実現できるとした。

 ウォール氏によれば、モニタメーカー大手のViewSonic(カリフォルニア州ウォールナット)は、E-Business Suiteによってグローバルシングルインスタンスを実現、企業改革法に準拠する過程でビジネスプロセスも300から50に統合したという。締めの処理が1日以内へ短縮化されたほか、年間250万ドルが節約できた。

 ウォール氏は、既に同社のアプリケーション顧客の85%が、E-Business Suite 11iを稼動させており、次期リリースへの移行もスムーズに進むとの楽観的な見通しも示した。

インテグレーション機能を強化する11i.10

 今回のAppsWorldの目玉は、次期リリース、Oracle E-Business Suite 11i.10で強化されるインテグレーション機能と「Oracle Customer Data Hub」であることは明らかだ。

 ウォール氏が「Opening the Suite」という言葉で表現したE-Business Suite 11i.10のインテグレーション機能は、「もっとインテグレーションを簡単にしたい」「他社のアプリケーションやカスタムなレガシーアプリケーションを捨てられない」という顧客らの声を反映したもの。その狙いは、情報の分断化を解消し、顧客に関する情報を1カ所に集約し、迅速で適切な意思決定に役立てることだ。

 「アプリケーションごとにデータベースを構築する企業は、“顧客はだれ?”“彼らが何を持っているのか?”といった簡単な質問にも答えられない」とウォール氏。

 もちろん、OracleとしてはE-Business Suiteを全面採用してもらうのに越したことはないが、異種混在の環境でもアプリケーション間で連携できるよう、次期リリースの11i.10ではさまざまなインタフェースを用意する。

 何百ものWebサービスを利用してほかのアプリケーションと連携できるほか、800以上のBusiness Event(あるイベントをトリガーにしてビジネスロジックが実行され、例えば、Webサービスでほかのアプリと連携できる仕組み)が組み込まれる。また、Open Application Group(OAG)が定義する、例えば「注文書」といったビジネスオブジェクトを150以上サポートする。

 さらに、11i.10には、インテグレーションインタフェースのリポジトリ機能も追加される。このリポジトリを介して、E-Business Suiteのすべてのインタフェースが統合されて見えるため、その活用が容易になるという。

 Oracle Application Server 10gと組み合わせることによって、アプリケーション間連携やB2B連携をさらに容易にすることもできる。Application Server 10gがE-Business Suiteのインタフェースをすべてサポートするのはもちろん、DB2やSQL Serverといった各種データベースや、SAP R/3やPeopleSoft 8といったビジネスアプリケーションに対応した各種アダプタがOracleから提供されている。

第3の道、Oracle Customer Data Hub

 E-Business Suiteを導入しない企業にも「1つの真実」を得る選択肢が用意されている。既に初日にチャック・フィリップス氏が基調講演で話したように、「E-Business Suiteの全面採用」「E-Business Suiteと他社アプリやレガシーとの統合」に次ぐ、第3の道、「Oracle Customer Data Hubの導入」だ。

 Oracle Customer Data Hubは、「Oracle Data Model」「Oracle Customers Online」、および「Oracle Data Librarian」という3つのコンポーネントから構成される。Oracle Data Modelは、ビジネスで起こるさまざまな事象を、何千ものテーブルを定義して関連付けながら実装したもので、E-Business Suiteのキモといえるものだ。Oracle Customers Onlineは、Oracle Data Modelによって構築された顧客情報のリポジトリにアクセスする単一のウインドウとして機能し、Oracle Data Librarianは、データを統合し、そのクオリティを高めるためのツールだ。

 アプリケーション事業をさらに加速させたいOracleが、「E-Business Suite抜き」のソリューションを打ち出したかのように見えるOracle Customer Data Hubだが、まさにそれはデータモデルを中心としたE-Business Suiteの「Crown Jewel」(最も大切なもの)そのものといえる。

 なお、この日の午後の基調講演には、Oracleを率いるラリー・エリソンCEOが登場し、Oracle Customer Data Hubのアプローチを詳細に話している。

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[浅井英二,ITmedia]

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