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2004/01/30 06:10:00 更新


Oracle Customer Data Hubはサービスの質を高める「顧客情報源」

Oracle AppsWorldの最後を締めくくる基調講演に登場したのは、E-Business Suiteの開発現場を取り仕切るクリフ・ゴドウィン上級副社長。会期中に同社幹部が披露したメッセージをまとめ上げるのが彼の役割となった。

 米国時間の1月29日、カリフォルニア州サンディエゴで開催中の「Oracle AppsWorld 2004 San Diego」は最終日を迎えた。今週に入ってから肌寒い日が続いたが、ようやく日中は少し汗ばむ本来の陽気が戻ってきた。

 AppsWorldの最後を締めくくる基調講演に登場したのは、ロン・ウォール執行副社長の下でE-Business Suiteの開発現場を取り仕切るクリフ・ゴドウィン上級副社長。多くの参加者が帰り支度で慌しい中、会期中にOracleの幹部が披露した構想を改めて分かりやすく解説してくれた。総帥、ラリー・エリソンCEOは、昨日の基調講演で「情報の分断化こそ元凶」と話したが、まさにバラバラと出てきたメッセージをまとめ上げるのがゴドウィン氏の役割となった。

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E-Business Suiteの開発現場を取り仕切るゴドウィン上級副社長


 「Oracleのビジョンは、シングルグローバルデータベースの構築によって顧客が真実を得られるようにすること。少なくとも技術がそのための障害とならないように製品の開発を進めてきた」とゴドウィン氏。比類ないスケーラビリティもそうだし、サマリーと詳細データを同じデータベースで管理できる機能もそのために開発されてきたといっていい。アプリケーションサーバを中間層に置くインターネットアーキテクチャ、Oracle9i RAC(Real Application Clusters)によるクラスタ構成、Oracle 10gで道が開かれたグリッドコンピューティングもそのためだ。

スイートの開放

 「すべての顧客が同じ道を歩めるわけではない」とエリソン氏が話したとおり、「グローバルシングルインスタンスはいいが、われわれはそんな状況にない。他社パッケージもあれば、内製したレガシーシステムもある」という企業は多いだろう。今回のAppsWorldで打ち出された「Opening the Suite」というキーワードは、そうした顧客(その多くは大企業)への回答といえる。

 次期リリースのE-Business Suite 11i.10では、何百ものWebサービスを利用してほかのアプリケーションと連携できるほか、800以上のBusiness Event(あるイベントをトリガーにしてビジネスロジックが実行され、例えば、Webサービスでほかのアプリと連携できる仕組み)が組み込まれる。また、Open Application Group(OAG)が定義する、例えば「注文書」といったビジネスオブジェクトを150以上サポートする。

 また、昨年12月に出荷が始まったOracle Application Server 10gも「インテグレーションのための完璧なツール群」(ゴドウィン氏)を提供してくれるという。J2EEをベースとしたメッセージングからデータのトランスフォーメーション、エラー処理、プロセスマネジメントとそのモニタリングまでカバーするほか、箱から出してすぐ使える各種のアダプタも用意される。

早期導入顧客の声

 エリソンCEOは、彼の基調講演でOracle Customer Data Hubの考え方(というよりは信念)を強調したが、ゴドウィン氏は「顧客の声」を伝えるようと、既にCustomer Data Hubを導入している企業のCIOらをステージに引き上げた。

 そのひとり、Network Applianceのスコット・クリンクCIOは、「みなさんもサポートセンターでたらい回しにされた経験があるだろう。ちょっとした質問なのにいろいろな部署に回され、そのたびに同じ話を繰り返さないといけない。こんなのはダメ。われわれはサポートの質を向上させ、顧客満足度を高めたいと考えていましたが、それには顧客の情報をまとめることが必要だった」と話す。

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Network ApplianceのCIO、スコット・クリンク氏


 クリンク氏は、データウェアハウスとの違いも分かりやすく説明している。

 「データウェアハウスはレポートのため。それに対してCustomer Data Hubは、顧客の情報をクレンジングし、ほかのアプリケーションが購読(サブスクリプション)できるようにしてくれる。つまり本当の意味での“顧客情報源”となるのだ」(クリンク氏)

 Oracle Customer Data Hubは、「Oracle Data Model」「Oracle Customers Online」、および「Oracle Data Librarian」という3つのコンポーネントから構成される。Oracle Data Librarianは、データを統合し、顧客情報の「ライフサイクル管理」を可能にしてくれるツール。

 昨日の基調講演でエリソンCEOも「自動化によってデータベース管理者の仕事は減っていくが、“顧客情報のライブラリアン”という新たな仕事の生まれ、その重要度が増していくはずだ」と話している。

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[浅井英二,ITmedia]

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