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2004/02/25 22:42:00 更新


IBM FORUM 2004開幕、センス&レスポンスへ変革を――オンデマンドビジネスを説く大歳社長

企業革新への強烈なメッセージを放っている日本IBM。2月25日、都内ホテルで「IBM FORUM 2004」が開幕した。「オンデマンド時代のビジネス変革」をテーマに掲げているが、オンデマンド企業は身体の神経系と大歳社長はたとえる。

 e-ビジネス・オンデマンド――。企業革新への強烈なメッセージを放っている日本IBMは2月25日、「オンデマンド時代のビジネス変革」をテーマに「IBM FORUM 2004」を都内ホテルで開催した。27日までの3日間、IBMのソリューションを説明する全900セッションが開かれる。

 「ITや通信は安くなり、理論だけでなく経済的にもオンデマンド企業へ変わることが可能になった」。大歳卓麻社長は、開幕基調講演で、市場の変化に迅速に対応できる企業体に変革する意味を説いた。同氏は、オンデマンド企業を「身体の神経系」とたとえる。

大歳卓麻社長

大歳卓麻社長


 IBMが提唱するオンデマンドビジネスとは、すばやく市場ニーズを感知して反応するセンス&レスポンスを重視した経営のことで、変化に対しいち企業だけでなくバリューチェーン全体が迅速に適応することを意味している。

 人間の身体でたとえる大歳氏は、「今までの企業体が循環器系で、オンデマンド企業は神経系だ」と説明する。血液が流れるプロセスが決まっている循環器系に対し、神経系は無限の接点で感知し、あらゆる組織に即座に伝達する仕組みを持つからだ。

 大量生産が力を発揮した時代であれば効率性のみを重視すれば良かったものの、インターネットやユビキタス化する情報化社会の現在では、顧客はマスというよりも「個客」へと変化。個それぞれへの適応力も求められるようになったという。このような状況にあって、企業という組織体は、軍隊に端を発するコマンド&コントロール型からセンス&レスポンス型に生まれ変わる必要が出てくると主張する。

 これを裏付けるかのように、大歳氏は、特定の企業が業界の中でトップを維持できる期間が減っているデータを示した。その調査では、日本国内では平均滞留期間が5.6年と短縮されてきている。一方、グローバルでの期間は、4.9年ともっと短い。よりセンス&レスポンスが求められている。

 IBMがいうオンデマンド時代に、企業はどのように切り替わればよいのだろうか? その答えは、業務プロセスを標準化し、変化に対しそれらプロセスを適切に取捨選択できる体制を整えることだという。そうすれば、強みの業務以外のプロセスをアウトソースするといったことも可能になる。

 「ITは安くなっており、経済的にも理論的にもこれが可能になった」

 IBMは、オンデマンドビジネスを支える大前提のITインフラを大きく「自動化」「仮想化」「統合化」の3つのソリューションで提供するという。

 また大歳社長は、日本IBMも現在オンデマンドビジネスを実現するため営業現場可視化を最優先で推進していることを紹介。それを助ける組織のあり方として、顧客担当で括る体制に切り替えているという。「概念的チャレンジなのだが、組織図から線を外した。これがあると人は線に従ってしまう。目的別でチーミングを変えるものにしている」。

 そのほか、オンデマンドビジネスの先進事例として、本業をアウトソースし注目を集めている三井生命のBTO(ビジネストランスフォーメーションアウトソーシング)などを紹介した。

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[堀 哲也,ITmedia]

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