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2004/03/04 16:56 更新
「オープンでなければIBMも生きていけない」と日本IBMのソフトウェア事業部長
IBM Software Solution 2004カンファレンスが都内で行われた。今年から日本IBMでソフトウェア事業を担当する三浦氏の実質的デビューでもある。彼は、市場の変化に即応できる柔軟なシステムには、オープンなミドルウェアが不可欠だと話す。
3月4日、都内で「IBM Software Solution 2004」カンファレンスが開催された。1995年の発足以来、IBMのソフトウェア事業部はLotus、Tivoli、Rationalを買収によって加えてきたが、この年初からそれらを組み合わせたソリューションを大きく打ち出している。日本アイ・ビー・エムでもソフトウェア事業部長に三浦浩執行役員が就任したばかり。今回のカンファレンスはそのデビューでもある。
その三浦氏が午前のゼネラルセッションでほとんどの時間を費やしたのが、IBMが全社を挙げて推進する「e-ビジネス・オンデマンド」構想とそれを支えるIBMのミドルウェア製品だ。e-ビジネス・オンデマンドは、ビジネスモデルの変革と創造をもたらす新しい経営モデル。サム・パルミサーノCEOが就任から半年後の2002年10月、同社の顧客が市場の変化に即応できる企業へと進化できるよう支援していくイニシアチブとして発表した。
「需要を予測して商品を企画し、質が良く、価格が安ければ売れたという1990年代半ばまでのビジネスモデルはもはや通用しなくなっている。企業が市場で勝ち残るためには、消費者のニーズやライフスタイルの変化を素早く察知したり、突然襲う外的環境の変化に即応する能力が必要だ」と三浦氏。
1980年代前半までの「総合力」、1990年代までの「選択と集中」(事業レベルでの再編)によって企業は生き残りを図ってきたが、いよいよその粒度はさらに細かくなり、機能レベルで顧客のニーズに即応できなければならなくなっている。しかも、社内だけでなく、サプライヤーや販売パートナーを含めたバリューチェーン全体の即応性が不可欠という。
ソリューション(IBMではスペシャリティと呼ぶ)という新機軸を反映し、三浦氏もIBMのミドルウェア製品群を語るのに、基盤となる「IT」の上に「プロセス」「人・組織」、および「ビジネス」という各レイヤを重ねて説明する。このオンデマンド・アーキテクチャとも呼べるものにIBMソフトウェアの各ソリューションを位置付け、実際の組織も再編している。
レイヤ | ソリューション |
ビジネス | ヒジネスインテリジェンス |
コンテント管理 | |
パーベイシブ | |
人/組織 | ポータル/ワークプレース |
プロセス | ビジネスインテグレーション |
IT | ミドルウェア基盤 |
開発プラットフォーム | |
システム運用管理 | |
セキュリティ | |
ストレージ管理 | |
Linux | |
ホスト系ツール |
トヨタがWebSphereとDB2を採用
1995年から8年間、トヨタ事業部のGMを務め、「多くを学んだ」という三浦氏らしく、ゼネラルセッションの後半では、トヨタ自動車の事例を挙げ、IBMミドルウェアが核となるオンデマンドオペレーティング環境を説明した。
トヨタは昨年、WebSphereとDB2を採用し、基幹システムである「部品表システム」の更新に踏み切った。これまで30年、同社の製造を支えてきた根幹ともいえるもので、それだけに次の10年、20年を担うことが期待されているが、ビジネスの変化や外的環境の変化までは予測不可能だ。
「トヨタが重視したのは、オープンスタンダードと堅牢さ」と三浦氏。
もとより、開発、生産、物流の各段階でパートナー企業も含め、グローバルに情報の共有を図らなければならない。1970年代前半のトヨタは、クルマづくりをすべて愛知県内で行っていたが、今や年間600万台のうち半分は海外拠点で生産されている。新しい部品表システムは、生産だけでなく、設計もASEAN地域で行い、アジア向けの新車投入を迅速化できたという。
オーブンスタンダードこそ、ビジネスに柔軟性をもたらし、システム運用の効率化を図るオンデマンドオペレーティング環境の柱であり、「オープンでなければ、IBMも生きていけない」と三浦氏はその重要性を強調した。
なお、IBM Software Solution 2004は、3月11日に大阪でも開催される。
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関連リンク
IBM Software Solution 2004
日本アイ・ビー・エム
[浅井英二,ITmedia]
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