特集
2004/03/09 17:46 更新

第六回
なぜSharePoint Portal Server 2003を導入するのか(中編) (2/2)


SPSによる解決策:必要とする情報や文書の検索

 SPSを導入することによって、自分が必要とする情報を探し回る必要がなくなる。SPSが検索作業を代行してくれるからだ。それも、検索対象は社内全体である。データベース、Active Directory、ファイルサーバ、業務アプリケーションなどすべてが検索対象となる。横断的に検索することで、埋もれていた情報が新たに発見されることもあるだろうし、新たな視点で資料を見ることも可能となるだろう。

 第四回ではSPSの検索とその結果の画面を紹介したが、今回は、検索が内部的にどのように実現されているか簡単に説明したい。高速な検索を実現するために、SPSでは独自のアーキテクチャによる情報のインデックス化を行っている。新しく追加された情報を元に、SPSがバックグラウンドで常に最新の情報インデックスを作り続ける。インデックス化の際には、検索に自然な日本語での問い合わせが可能になるよう日本語形態素解析が行われ、さらにユーザー定義の辞書やシソーラス辞書を利用した類義語による検索も可能となる。

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図1■SPSではおおまかに言って、(1)ユーザーが追加した情報を取得し、(2)実際のデータをプロトコルハンドラが取得し、(3)テキストを抽出した上で解析し、(4)インデックス化する、というやり方でネットワーク全体のインデックスを作成し、検索を効率化させる。


 もちろん、Windowsセキュリティと統合されていることによって、検索できる範囲は限定されることになる。一般社員が幹部社員にしか閲覧を許可されていない情報を検索するようなことはない。それぞれ、アクセス許可のある範囲で全社的な検索を行うのである。

 また、これも先に書いたとおりだが、ある種のノウハウであったり特殊な知識を必要とする情報の場合、文書化されていたりデータの形になっているものを見るよりは、直接、エキスパート(人)に聞いたほうが効率がよい場合がある。だが、問題は「誰が」知っているのかということだ。結局、むやみやたらと聞いて回っていたのでは意味がない。そこで役に立つのがSPSのKnow-Who検索機能だ。その名の通り「知っている人を探す」機能である。

 Know-Who検索では、単純な人の情報の検索、人のカテゴリ化、人と電子情報とのリンクといった方法により、さまざまな切り口から「人」を探し出す作業をサポートする。最も代表的な方法では、検索で見つかったドキュメントの作成者といった方法や、ある特定のプロジェクトに参加していた人物、また、公開されている個人プロファイルなどから探し出すという方法がとられる。いずれにしても、元情報からは個人用サイトにある共有ビューにリンクされ、即座に該当する人物の詳細情報にたどり着き、さらにはSPSの持つコラボレーション機能により、即座にメッセンジャーや電子メール、電話などで連絡を取ることが可能になる。また、Live Communication Server 2003との統合がされていれば、ポータル上で相手の在席情報も確認できる。

 ここで重要になるのが、個人用サイトで公開される個人プロファイル情報である。SPSでは個人のプロファイル情報をデータベース化して格納している。検索が実行されるとこのプロファイルデータベースを探して該当する人の情報を取得する仕組みだ。Active Directoryが導入されていれば、社員の基本的なデータ(氏名、所属情報など)はすでにそこで管理されているはずだ。SPSでは、Active Directoryと連携し、Active Directoryの持つプロパティ情報をスケジューリングしたインポート機能でプロファイルデータベースへ取り込み、さらに独自の情報(資格情報や特殊技能など)を付加することで、効率よく社員の情報を管理、検索できるようになっている。

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図2■SPSでは、Active Directoryと連携し、Active Directoryの持つプロパティ情報を、スケジューリングしたインポート動作でプロファイルデータベースへ取り込み、さらに独自の情報(資格情報や特殊技能など)を付加することで、効率よく個人プロファイル情報を管理する。


SPSの優れた点:サイトのカスタマイズの容易さ

 SPSの優れた点はさらにある。一般的なポータルサイトの場合、サイトのカスタマイズはITエンジニアなどに頼らなければならないが、SPSの場合、エンドユーザー自身でカスタマイズ可能であるという点だ。

 SPSのサイトはWebパーツという部品で成り立っている。ToDoやリンクといったサイト項目は、すべてWebパーツとして用意されているものだ。エンドユーザーは、これらWebパーツを組み合わせ、自由に配置することが出来るようになっている。

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画面4■SPSのサイトのカスタマイズは、エンドユーザーでも簡単に行うことができる。レイアウトの変更やWebパーツの組み合わせで、自由にカスタマイズすることが可能だ。


 このWebパーツによるエンドユーザーからのカスタマイズ機能は、エンドユーザー自身の利便性だけでなく、社内のITシステムを管理するシステム管理者にも利便性を与える。システム管理者は、社内で必要とされるWebパーツを作成しておくだけで、エンドユーザーからのカスタマイズ要求にいちいち応じる必要が無くなるので、より効率的な運用を行うことができるからだ。

 いままで見てきたように、SPSは単にポータルサイトを実現するだけでなく、EIPで必要とされる機能を十分に網羅し、さらに運用面においても管理者の負担を減らしつつ、エンドユーザーの求める柔軟性も兼ね備える、優れたポータルシステムといえる。次回は、サイトのカスタマイズについて詳しく解説することにする。

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