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2004/03/09 19:07 更新


「ビジネスとITの最適化こそ解」とMercuryのランダンCEO

日本市場でのビジネス展開を加速すべく、米Mercuryランダン会長兼CEOが来日した。「ITは変革を迫られ、ビジネスの要求に合致した最適化が求められている。BTOこそがその解だ」と話す。

 日本市場に対する本格的な取り組みを開始すべく、米Mercury Interactiveのアムノン・ランダン会長兼CEOが来日、精力的に顧客やパートナーらを訪問した。BTO(Business Technology Optimization)を提唱する同社の売り上げは、昨年度、前年比27%増で5億ドルに達した。ランダン氏は1997年、CEOに就任して以来、一貫して右肩上がりの成長を続け、昨年はフォーブス誌の「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれた。3月9日午後には都内のホテルでプレスブリーフィングを行い、ITの課題を解決するBTOについて話した。

 今やITがビジネス戦略上欠かせない資産であることに疑問の余地はないが、IT投資が適切な恩恵をもたらさないことも多い。米投資信託会社、Morgan Stanleyは、米国企業がこの2年間、不要なITのために費やした金額は1300億ドルを超えると試算する。また、米GartnerもIT投資の20%は無駄なものだったとみている。Mercuryはそこに着目し、ビジネスとITのズレをなくし、「ビジネス・テクノロジーの最適化」を図るアプローチとして、BTOを打ち出した。

 「ITは変革を迫られ、ビジネスの要求に合致した最適化が求められている。BTOこそがその解だ」(ランダン氏)

 ランダン氏は、ビジネスとITの接点が重要であり、「必ずビジネスの要求からスタートする」と話した。つまり、経営トップがビジネスの価値を高めるためにITのあるべき姿を示し、CIOのようなITの最高責任者が限られた予算の中から最も重要なITに投資を行っていくというアプローチを、Mercuryはツールを提供することによって支援しようというのだ。

 その中核となる製品が、「業界初のITガバナンス製品スイート」をうたう「Mercury IT Governance Center」だ。昨年6月、米Kintanaの買収によって手に入れた同スイートは、開発、テスト、運用、評価、改善要求といったITライフサイクル全般を標準化し、デジタル化、可視化するもの。プロジェクト全体を把握、管理することによって、ビジネスの要求や目的に合致したIT投資の優先順位付けも可能となる。CEOのような経営トップにその重要性を理解してもらえるようさまざまな数値でITを可視化するダッシュボード(IT Governance Dashboard)も用意している。

 Mercuryでは、このIT Governance Centerの傘下に「アプリケーションデリバリー」と「アプリケーションマネジメント」の各スイートを位置付ける。前者は、設計・開発フェーズにおいて進行中のITプロジェクトがビジネスの価値を高めることにちゃんと貢献するかどうか、例えば、「仕様は合っているか」「負荷に耐えられるか」といったことをテストし、品質を高めていく製品群であり、後者は運用後の監視と問題解決を行う製品群だ。

 ただ、ランダン氏はそうした下位の各製品については全く触れなかった。企業の経営トップらにITガバナンスが最重要課題であることを説くことで、1億ドル以上の大型案件を20以上も獲得できたと同社関係者は明かす。

 この日のブリーフィングには、新しい日本法人の社長、ウィルソン・タン氏も同席し、「日本の製造業などには、洗練された製造プロセスがある。IT分野でも適切なツールを提供すれば、品質の優れたシステムを構築できるはずだ」と話し、立ち遅れが指摘される日本のソフトウェア開発をITガバナンスのアプローチから支援したいとした。

 Mercury IT Governance Centerは、昨年11月から国内でも出荷が始まっている。

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[浅井英二,ITmedia]

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