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2004/04/26 23:35 更新


黒字経営に向けたプランを示したSunのマクニーリー氏

Sun Microsystemsのスコット・マクニーリーCEOは先週開催された「iForce」カンファレンスにおいて、利益率改善に向けたいくつかのプランについて説明した。

 もしあなたがSunのユーザーだとしたら、同社の今後の変化に期待できそうだ。ソフトウェアとサービスのパッケージの一部としてサーバが無料で提供される可能性もある。Solarisなど各種製品のサブスクリプション価格プランも拡大する見込みだ。ユーティリティ価格モデルも積極的に推進されるようだ。

 少なくともSunのスコット・マクニーリーCEOは、こういったビジョンを描いている。同氏は先週サンディエゴで開催された「iForce」パートナーのカンファレンスで、この構想について説明した。今月実施された経営再編の一環としてソフトウェア部門の元責任者であるジョナサン・シュワルツ氏に社長という肩書きを譲り渡したマクニーリー氏だが、同氏は今後も経営の指揮に当たるとともに、自分とシュワルツ氏は「切っても切れない仲」だと言った。

 マクニーリー氏は自身の指導スタイルを軍部指導者のトップダウン方式になぞらえ、自分が尊敬する指導者のタイプとして、「砂漠の嵐」作戦の司令官を務めたノーマン・シュワルツコフ元米陸軍大将を挙げた。これは適切な比較だと言える。直近の四半期で7億6000万ドルの純損失を計上し、3300人の従業員を削減したSunを率いるマクニーリー氏は、利益率の改善という至上命令を突きつけられているのだ。

 「Sunは大きく変化する」――マクニーリー氏はSunの命運と強く結び付いたビジネスパートナーらにそう約束した。マクニーリー氏によると、同氏は利益率の改善に注力しており、Sunには75億ドルの手持ち資金があるものの、(少なくともウォール街で)同氏の構想が信頼を得るためには、収支の改善が不可欠だという。

 Sunのリセラー約800社と取引する付加価値ディストリビューターのGE Access(General Electricの子会社)のアンナ・マクダーモット社長兼CEOは、「チャンスは存在する。実行するかどうかが結果を決定する」と話している。

技術戦略は変更せず

 セキュアなリモートアクセスソフトウェアを開発しているTalisen Technologiesも、Sunにはチャンスがあるとみている。セントルイスに本社を置くTalisenは2カ月前にSunのパートナーになり、現在は自社製品を「Java Enterprise System」(Sunのディレクトリ/アプリケーション/ポータルサーバなどが含まれるソフトウェアスタック)に連携する作業を進めている。

 Talisenの航空宇宙部門でビジネス開発を担当するディレクター、ジェフ・ブラント氏は、「Sunの技術は一級品だと思う。問題は、そのメッセージをどうやって伝えるかだ」と話す。

 マクニーリー氏によると、Sunはコア技術の方向性を変更する考えはないとしている。例えば、UltraSPARCプロセッサの開発を中止するつもりはないという。「チップのスループットの改善は、何千台ものシステムから送られてくるRFID(無線ICタグ)データを処理するといった新たなタスクに対処する企業ユーザーにとって重要なことだ考えている」とマクニーリー氏は話す。

 さらにSunは、Linuxに向けて大きく方向転換するという計画にも変更はないとしている。同社では、デスクトップシステムおよび一部のサーバでLinuxを提供する予定だが、基幹業務向けシステムでは今後もSolarisを推進する方針だ。

 ユタ州スプリングビルにある新聞発行システムのデベロッパー、Digital Technology Internationalの技術ディレクター、ジム・ヌードセン氏は、顧客にSolarisを推奨している。「顧客のLinuxシステムで何か問題が起きたら、私以外の誰にも責任を問うことができない」と同氏は話す。

 マクニーリー氏は、販売チャネルのパートナーと強い関係を築くためには、リセラーとSunの販売部門との競合を避けるとともに、リセラーの業界ノウハウを有効に活用してユーザーの問題を解決するシステムを提供する必要があるとしている。

 Sunでグローバルパートナー戦略を担当するシニアディレクター、ラリー・ベーカー氏は、Sunはかつて「製品だけに目を向け」、サービスは「二の次」だったと指摘する。

 さらにマクニーリー氏は、Sunの経常収益を大幅に改善することが重要だと強調した。Sunは今会計年度の最初の9カ月で80億ドルを超える売り上げを記録したが、経常収益はその約3分の1に相当する。「経常収益改善に向けた取り組みのカギとなるのはソフトウェアだ」(同氏)という。

 「われわれはコンポーネントを売るのではない。Webサービスのインフラを提供しようとしているのだ」とマクニーリー氏は話す。

 公共部門向けにSunのサーバを販売しているロサンゼルスのリセラー、Dynamic Systemsのマーディ・ノーマン社長は、マクニーリー氏がこの戦いに勝つと信じている。「Sunの将来に確信が持てなくなれば、わが社を方向転換しなければならないだろう」(ノーマン氏)

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