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2004/05/12 22:57 更新


産総研が世界最速の量子暗号通信実験に成功

産業総合研究所は、独自に開発した光子検出装置を用いて45kビット/秒という世界最速の量子暗号通信に成功したことを発表した。

 産業総合研究所は5月12日、45kビット/秒という世界最速の量子暗号通信に成功したと発表した。

 量子暗号通信では、データを運ぶ媒体として光子の量子状態を利用する。第三者がこれを盗み見た場合は光子の状態が変化してしまい、内容が無意味なものとなるうえ、盗聴があったことを確実に知ることができる。このため、将来、コンピューティング能力が格段に進歩したとしても、暗号方式の解読による盗聴や改ざんとは無縁な「究極の暗号方式」とも言われている。

 今回の実験に向けて同研究所では、雑音の原因ともなるなだれ電流増幅を必要としない光子検出法を開発。それを利用し、動作周波数が10MHzという世界最速の光子検出装置を実現した。

 通信実験では、この光子検出装置を用い、長さ10.5km、波長1550nmの光ファイバー経由で、光子1個につき1ビットの情報を載せて鍵配布を行った。この結果、従来の10ビット/秒に比べ大幅に高速な45kビット/秒の速度を達成したという。

 通信総合研究所では今後、100km程度の長距離での量子暗号通信の実現を目指すとともに、10MHz以上で動作する光子検出装置を開発し、いっそうの高速化を目指すという。

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