ニュース
2004/05/18 23:25 更新


ノーテル、「真のキャリアグレード」謳うエッジ向けルータを発表

ノーテルは、高い信頼性とQoS機能を特徴とするキャリア向けのエッジルータ「Multiservice Provider Edge 9000」シリーズを発表した。

 ノーテルネットワークスは5月18日、キャリア向けのエッジルータ「Multiservice Provider Edge 9000(MPE 9000)」シリーズを発表した。

 音声とデータの統合が謳われるようになって久しいが、現実の世界、特に通信サービスの世界は、従来型の音声網や専用線、ATMやフレームリレー、さらにはIPをベースとした広域イーサネットサービスや携帯電話など、多種多様なネットワークから構成されている。

 だが、「こうした複雑なネットワークアーキテクチャは、長期的に見て持続可能なものではない。新たなサービスの展開やコスト削減といった通信事業者が求める要件を視野に入れればなおさらだ」と、Nortel Networksでワイヤーラインネットワークスアジア部門のディレクターを務めるアヌープ・チャンガロス氏は指摘する。

 MPE 9000は、こういった現状を踏まえ、多様なアクセスネットワークをIP/MPLSをベースとした単一のコアネットワークへと収束させるために開発された、マルチサービスエッジルータだ。最大80Gbpsのスループットを実現する大規模通信事業者向けの「MPE 9500」と、2.5Gbps〜20Gbpsのスループットの中小規模通信事業者や大企業をターゲットとした「MPE 9200」の2種類が用意されている。MPE 9500は年内、同9200は2005年初めにリリースされる予定だ。

信頼性とQoSが特徴

 たび重なる設備投資、トラフィックの増大、収入の減少……通信事業者を取り巻く状況は、以前よりは好転したとはいえなお厳しい。こうした事業者にとって、コストの削減と新たな収入を生み出す差別化サービスの展開、特に音声やマルチメディアの統合は重要な課題だ。こういった観点から、キャリア向けに製品を展開しているのはNortelだけではない。Cisco SystemsやJuniper Networksといったベンダーも同様に、通信事業者向けのマルチサービスルータの展開を図っている。

 だがチャンガロス氏は、「他社のルータと(それをベースにした)既存のパケットベースのIPバックボーンの信頼性は、音声を通すには不十分なもの」と指摘。これに対しMPE 9000は、ハードウェアのみならずソフトウェアやサービスの面でも信頼性を高め、99.999%のアベイラビリティを実現するという。

 具体的には、ネットワークインタフェースカードやスイッチングファブリックといった主要なコンポーネントをすべて冗長化。さらに、各ソフトウェアプロセスについても、「ジャーナリング」と呼ぶ技術を通じて常に最新の状態の複製を作成する仕組みとした。これにより、「ノンストップルーティングやヒットレスでの(無停止での)パッチ適用を実現する」(チャンガロス氏)。

 もう1つの特徴は、きめ細かなQoS機能だ。アプリケーションの種類に基づく分類だけでなく、16段階のキューイングに対応しており、音声や動画、基幹系データ、あるいは一般的なデータなどを細かく分類し、重要度に応じて制御することが可能だ。「マルチサービスを提供しようと考えれば、こうしたトラフィック管理は非常に重要だ」(チャンガロス氏)。

 また、これを応用すれば、通信事業者にとって大きな負荷となっているP2P系アプリケーションと、企業が利用するデータとを別々のVPNに割り当て、業務に影響を及ぼさない範囲でP2Pアプリケーションを利用させるといったことも可能という。

 「他社はしばしばキャリアグレードということを謳うが、実際にはそれを理解していないし、実現してもいない」(チャンガロス氏)。これに対しNortelは、音声分野での経験やコンセプトを生かしてMPE 9000を開発したと同氏は述べる。

 MPE 9000の価格は未定だが、既存のマルチサービス対応エッジルータに比べ、20〜60%ほど低い価格を目指すという。なお同製品は、6月30日から7月2日にかけて幕張メッセで開催されるNetworld+Interop 2004 Tokyoの展示会に、Ativiのコアネットワーク向けルータとともに出展される予定だ。

[高橋睦美,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.