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2004/05/26 13:30 更新


「もうダウンタイムはいらない」、Ciscoが超ハイエンドルータを投入

かねてからリリースがささやかれていたCisco Systemsの通信事業者向けハイエンドルータ、「CRS-1」がいよいよ姿を現した。

 米Cisco Systemsは現地時間の5月26日、通信事業者をターゲットとしたハイエンドルータのフラグシップモデル、「Cisco Carrier Routing System-1」(CRS-1)を発表した。

 CRS-1は、IX(Internet eXchange)や大規模キャリアなど、大量のトラフィックが集約される真の意味の「コア」ネットワーク向けの製品だ。きょう体のクラスタ化を通じて処理能力の大幅な拡張が可能なほか、ソフトウェア、ハードウェアの両面でアベイラビリティの強化を図った。

CRS-1

CRS-1のきょう体。GSRよりもずいぶん大きい

 16スロットの収容が可能なスタンドアロン状態のきょう体で最大1.2Tbps、複数のシャーシをクラスタ化することによって最大92Tbpsという超高速通信を実現する。また業界で初めて、OS-768c/STM-256c(40Gbps)回線の収容をサポートした。

 いったい誰がこんな帯域を使うのか、と疑問に思われる節もあるだろう。しかし、ブロードバンド接続が普及し、音声や動画、ビデオ会議といったアプリケーションが普及するにつれて帯域消費は拡大し、コアルータの需要は確実に伸びるとする調査結果があるという。また現に日本国内では、P2P型のファイル共有アプリケーションによってトラフィックが激増し、IXのキャパシティまで圧迫し始めているという現象が起こっている。

キャリアクラスのサービスを

 「CRS-1は顧客のニーズをとことんベースにして、一から開発した製品だ」(同社CEOのジョン・チェンバース氏)。

チェンバース氏

創立20周年という節目の年にCRS-1をリリースしたチェンバース氏

 ここで言う顧客とは、キャリアやサービスプロバイダーのことだ。「テレコム業界は現在、コスト圧力にさらされながら、音声とIPデータを統合し、収益を生み出し、差別化につながる新たなサービスを速やかに提供するという課題に直面している」と、同社ルーティングテクノロジーグループ担当上級副社長のマイク・ボルピ氏は述べる。

 とは言うものの、これは何も、昨日今日になって初めて浮上した問題ではない。この数年間というもの通信業界は、下落するビット単価、増加するトラフィックと戦いながら、一方で新たな付加価値サービスの展開に迫られていた。そもそも、Ciscoが4年前に市場に投入した「Cisco 12000 GSRシリーズ」自体が、同様の問題意識に立って提供された製品だった。

 しかしながらJuniper Networksや新興のProcket Networks、あるいはAvici Systemsといった競合企業は、Cisco製品に対しこう論評してきた。「キャリアクラスの信頼性に欠ける」「十分なパフォーマンスや拡張性がない」……。

 Ciscoが「HFR(Huge Fast Router)」というコードネームの下、4年の歳月をかけて開発したCRS-1は、こういった声を払拭するものだという。

専用のIOSとASICを開発

 ボルピ氏によれば、CRS-1の設計で重視した点は3つあるという。「システム運用の継続性、柔軟性、それに拡張性だ」(同氏)。それを可能にしているのが、CRS-1用に新たに設計された専用OS、「IOS XR」と、パートナーとの提携によって開発された、40Gbpsの伝送性能を持つASIC「Cisco Silicon Packet Processor(SPP)」である。

 ボルピ氏はプレゼンテーションの最中、たびたび「Always-on」という言葉を出して、アベイラビリティの高さを強調した。サービスの継続性に関しては、データプレーンとマネジメントプレーン、コントロールプレーンを完全に分割し、分散して処理を行えるようにすることで、サービスを中断することなくソフトウェアのアップグレードやメンテナンス、新サービスの追加を可能にしたという。DDoSなどの攻撃を検出して自動的に防御を行う機能も搭載した。

 また、管理をよりスムーズに行えるよう、オフラインでの設定/チェックをサポート。さらに、新たにXMLベースのGUIインタフェース「Cisco Craft Works Interface(CWI)」を提供することで、システム全体がどのような状態にあるかを一目で把握できるようにした。もはや「ダウンタイムを予定に組み入れる必要はなくなる」(ボルピ氏)。

CWI

きょう体の状況をグラフィカルに示すCWIの一画面

 柔軟性という意味では、仮想ルータ的な手法を導入。たとえば「企業用VPN」「家庭用のブロードバンド」「その他」といった具合に、サービス種別や顧客ごとに異なるパケット/ルーティング処理を行えるようにし、必要に応じてサービスを追加できるようにした。仮に、どれか1つのサービスに障害が発生したとしても他のサービスにはまったく影響を与えないという。

 拡張性については、冒頭にも触れたとおり、1.2Tbpsから最大92Tbpsという速度に対応した。「まずシングルシステムから導入して徐々に拡張し、長期的に92Tbpsを実現するというやり方が可能だ」と同社は説明している。

 処理能力やクラスタリング可能な点を踏まえると、CRS-1が最も直接的に競合するのは、2年前に出荷が開始されたJuniper Networksのハイエンドルータ「T640」(スループットは最大640Gbps)になるだろう。T640を含めた競合製品については、「他社の製品を見ると、クラスタリングに対応していてもOC-768インタフェースのサポートがなかったり、逆に高速回線が収容可能でも、複数のシャーシのクラスタリングができなかったりする。これらすべてを組み合わせて実現できているのはCRS-1だけだ」という。

 とは言うものの、実際にキャリアのサービスで導入するとなると、慎重なテストは欠かせない。米SprintやMCIなどいくつかのキャリアがCRS-1のベータテストを開始しているという。カスタマー座談会の一員として壇上に上がったNTTコミュニケーションズの野村雅行取締役・ブロードバンドIP事業部長は、「NTT Comでも導入するつもりはあるが、それには時間がかかると思う」と、本格導入については若干慎重な見方を示した。

 CRS-1の米国での基本価格は45万ドルからとなるが、実際の価格はインタフェース構成によって大きく変わる見込みだ。出荷は7月の予定である。また日本では、6月末に正式に発表される予定だ。

[ITmedia]

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