大阪ガスのNotion事例に学ぶ、大手企業が生成AIの導入を成功させている理由月間約2000時間の情報共有時間を削減

企業が生成AIの導入に踏み切れない理由はどこにあるのか。生成AIの利用や普及に成功している企業は、どのようなアプローチで効果を出しているのだろうか。

PR/ITmedia
» 2025年05月27日 10時00分 公開
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 日本企業における生成AIの業務利用は、米国などのIT先進国と比較して低いのが現状だ。総務省の「令和6年版 情報通信白書」(※)によると「メールや議事録、資料作成等の補助に生成AIを使用している」と回答した割合は、米国、ドイツ、中国の企業では約90%に達する一方、日本企業では46.8%にとどまっている。

総務省「令和6年版 情報通信白書

 このような状況に対して一石を投じるのが、Wikiやメモ、プロジェクト管理、ドキュメント管理などの機能を備えるツール「Notion」だ。近年は生成AI機能「Notion AI」の強化に注力して、Notionに蓄積された情報から価値を生み出す仕組みを整えており、大阪ガスなどの大手企業がNotion AIを導入している。

 生成AI機能を持つコミュニケーションプラットフォームはNotion以外にも数多く存在するが、これらの企業がNotionを選んだ理由とは何か。生成AIをどのように活用しているのか。Notion Labs Japanの西 勝清氏(ゼネラルマネージャー)が語った。

生成AIが定着しない理由

 「生成AIの利用が広がらない理由は大きく分けて3つあると考えます。日常業務に生成AIが組み込まれていないこと、外部情報をソースとしており自社の情報を扱えないこと、個人や部署にとってのユースケースが不明確であることです」と西氏は指摘する。

生成AIが定着しない理由(出典:Notion Labs Japan提供資料)《クリックで拡大》

 こうした課題を解消して生成AIの活用で成果を出している先進企業の特徴は、明確なゴールを設定していることだと西氏は続ける。そのゴールとは「生成AIを利用して従業員の生産性を向上させること」と「全ての従業員を取り残さずに、生成AIの恩恵を自然に受けられる環境を整えること」だという。

 特に後者は、組織文化や業務プロセスの観点からも重要だ。特定の部署やITリテラシーの高い従業員だけでなく従業員が恩恵を等しく受けられる環境づくりが、生成AIを通じたDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現には不可欠だ。

生成AIがもたらすナレッジマネジメントの革新

 生成AIの活用が見込まれる業務領域は多岐にわたるが、西氏はまず「ナレッジマネジメントから取り組むこと」を推奨する。

 「生産性向上の即時的な効果が期待できることが理由に挙げられます。従業員は情報を探すことに多くの時間を費やしており、この部分を効率化するだけで大きな成果が得られます。ナレッジマネジメントは多くの部門や従業員に関わるため、生成AIの効果を広範囲に示せます。ナレッジが一度蓄積されると、新たな知識が集まるサイクルが生まれるのもポイントです」

 ナレッジマネジメントは1980年代から注目されてきた経営トピックだが、生成AIの登場によって大きな転換点を迎えているという。それは生成AIの2つの側面によるものだ。

 1つ目は「アプリケーションの横断検索」だ。従来のナレッジマネジメントは、特定のアプリケーションや場所にナレッジを蓄積する一元管理が基本だった。しかし、情報入力の手間がかかることから従業員の協力を得られず、ナレッジの蓄積や共有に至らないという課題があった。生成AIとRAG(検索拡張生成)技術によってツール内の情報を横断的に検索できるようになり、この問題は大きく改善した。

 2つ目は「ナレッジ共有、創造の自動化」だ。ナレッジワーカーは蓄積された情報を基にレポート作成や共有、レビュー、タスクの割り当てなどを手作業で行ってきた。生成AIのエージェント機能によってこれらの作業を自動化できるようになった。

 ナレッジマネジメントを革新する必要性は経営層も強く認識している。しかし、ナレッジ管理に課題を抱えているケースが多く、その背景には「断片化されてサイロ化されたナレッジソース」と「情報がすぐに見つからない」ということがある。

 西氏は「まさに生成AIの大きな可能性がここにあります。従来は技術的に困難だった課題解決を、生成AIによって成し遂げられる時代が到来しました」と強調する。

ナレッジマネジメントにおける大きな転換点(出典:Notion Labs Japan提供資料)《クリックで拡大》

生成AIと組織知を統合するプラットフォーム

 生成AIとナレッジマネジメントの融合を実現するプラットフォームがNotionだ。複数のアプリケーション機能が一つにまとまり、ユーザーがNotionでさまざまな作業をすることで情報が自然に集約され「Notionに全ての情報がまとまっている状況」を作れる。これによって「企業が使うアプリケーション数を減らして、情報のサイロ化や分断を防げます」と西氏は説明する。

 現時点でNotionにない機能は外部ツールとの連携機能を提供することで、情報の一元管理を可能にしている。「Slack」「Salesforce」「Box」「Google Drive」「Microsoft Teams」「Microsoft SharePoint」などの連携ニーズが高く、連携先を拡充する予定だ。

 Notionのような汎用(はんよう)型ツールは「多機能で使いこなせない」という悩みが生まれがちだが、西氏は「Notionにはさまざまな機能をブロックのようにノーコードでカスタマイズできる柔軟性があるため、そういった可能性は低いでしょう」と言う。

 「エンジニア部門もビジネス部門も理想とするツールの使い方がありますが、アプリケーションに柔軟性がないと決められた使い方しかできません。そうなると部門ごとに違うアプリケーションを使うようになり、情報が分散してしまいます。Notionのような柔軟なアプリケーションなら、各部門が自分たちの使い方に合わせつつ、全社で統一されたプラットフォームで情報を管理できます」

 Notionに集約した情報を基に、生成AIを生かしてさらなる価値を生むのがNotion AIだ。これまでNotion LabsはAI機能の実装に注力しており、Notion AIはそれを具現化したものだという。

 「当社はLLM(大規模言語モデル)を開発する企業ではありませんが、その機能をNotionにいち早く取り込めるように取り組んできました。ForbesがAI分野で有望なスタートアップ企業50社を独自に決める『AI 50』に選出されたこともあります。OpenAIなど名の知れたLLMベンダーが実は『Notion』を使ってモデルを開発していることも興味深いです」

 ナレッジマネジメントで注目すべき機能は、Notionの情報だけでなくSlackやGoogle Drive、「GitHub」に保存された情報も横断的に検索できる「Notion AIコネクター」だ。

 Notion AIに「プロジェクトの概要や最新状況を教えて」と尋ねると、Notion以外のアプリケーションも含めて自動的に情報を収集し、参照元のリンク付きで回答を生成する。これらの情報を活用してレポートを作成したりタスクを割り振ったりすることもNotionで完結させられる。横断検索機能によって、従来のナレッジマネジメントで求められていた「一カ所にナレッジを蓄積する」というルールさえ意識する必要がなくなる。

横断検索とエージェント機能のイメージ(出典:Notion Labs Japan提供資料)《クリックで拡大》

 文章作成もNotion AIの得意とするところだ。Notionに蓄積された情報に基づいて文書を作成でき、議事録やブログ、メール、プレスリリースの作成に便利だ。自動要約や翻訳機能も利用可能で、会議の議事録や顧客へのヒアリング内容などをまとめるシーンなどで役立つ。

 西氏は、Notion AIが「AIを意識せずに簡単に使える機能」であることを最重視していると話す。「生成AIを導入しても、プロンプトを書くのが面倒だと感じるユーザーが多いようです。Notion AIはユーザーが『どのようなことをしたいのか』を判断して適切なメニューを提示します」と話す。

 ユーザーは世界で1億人に達し、50カ国に150を超えるユーザーコミュニティーがある。YouTubeやSNS、書籍などでユーザーがさまざまなTipsを発信しているため、情報にアクセスしやすい点もメリットだ。

大阪ガスはNotionで月間約2000時間の情報共有時間を削減

 Notion AIを導入した企業はどのような成果を挙げているのだろうか。西氏は、大阪ガスの取り組みを紹介する。

 システム開発などを担当する部署を中心に、約500人がNotionを利用している大阪ガス。従来の運用では、情報がファイルサーバ、メール、チャットなどに分散しており、文書を探すのに多くの時間がかかっていた。社外メンバーとの情報共有時は、その都度どのメンバーにどこまでのアクセス権を与えるかを設定する必要があり、権限管理の煩雑さも課題だった。

 そこで文書やコミュニケーションをNotionによって一元管理する運用に変えた。アクセス権限はNotionのページ単位で設定できるため、社外と円滑に連携できるようになった。Notion AIによる議事録の自動要約や、Notionに蓄積された情報を基にAIがユーザーの質問に回答する機能、報告書の自動作成機能などを利用して、生産性を大きく向上させた。約500人の文書作成、編集、情報共有にかかる時間を月間で約2000時間削減できたという。

※Notionユーザー事例「シームレスな情報共有で毎月2000時間の削減。大阪ガスの未来を担う最新のAI技術」より

 西氏は成功要因を次のように分析する。

 「生成AIの活用に成功している企業の多くは、情報検索の効率化によって効果を感じ、部門別のユースケースを開発してツールを普及させています。プロジェクト管理やITヘルプデスク、品質管理、カスタマーサポートなど各部門で具体的なユースケースを見つけることが重要です」

 組織全体に生成AIを普及させるには「成功例やユースケース、工夫を広め、盛り上げる仕組み」と「全社活用の推進と経営陣、部門長のコミットメント」が欠かせないという。西氏は最後にこう強調する。

 「生成AIの活用領域は多岐にわたりますが、ナレッジマネジメントから取り組むことで即時的な生産性向上、全社的な影響力、知識が蓄積されるサイクルをつくり出せます。特に、生成AIがもたらした『アプリケーションの横断検索』と『ナレッジ共有、創造の自動化』は、従来のナレッジマネジメントの限界を突破する可能性を秘めています」

 情報が散在し、アプリケーションが増え続けるビジネス環境において、生成AIとナレッジマネジメントの融合は、生産性向上と組織力強化の鍵となる。このアプローチが組織全体のDXにつながる道筋になるだろう。

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提供:Notion Labs Japan合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2025年6月2日

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