AWSと日立システムズの戦略的協業が「第2章」へ 顧客価値を高める取り組みの全貌AWS最上位パートナーの揺るぎない品質

「AWS プレミアティアサービスパートナー」の日立システムズは、AWSとの戦略的協業をさらに強化する。得意のマネージドサービスと全国にある事業所ネットワークを生かし、サービス品質の向上とコスト効率の高いクラウド導入を推進する取り組みとは。

PR/ITmedia
» 2025年12月18日 10時00分 公開
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 日立システムズは、「Amazon Web Services」(以下、AWS)の戦略的パートナーとして独自の地位を築き上げてきた。顧客システムの計画から開発、運用まで一連のプロセスを担い、製造業、医療、公共といった多岐にわたる分野でAWSサービスの導入実績を1000件以上も積み重ねている。

 日立システムズとAWS社の協業体制は、2025年に第2章へと移行した。本稿は、この戦略的協業を通じてサービス品質の向上とコスト効率の高いクラウド導入を両社がどのように実現するのか、その全貌を明らかにする。

日本リージョン開設前からAWS技術を磨く

 「日立システムズは、AWSの東京リージョンが開設される前からクラウドに注目して技術力を磨き、多くのお客さまのAWS移行を支援してきました」――日立システムズの大野哲史氏はこう話す。2009年に事業を立ち上げ、東京リージョンが開設された2011年にAWSを活用したシステム開発体制を本格的に整備。2014年には公式パートナー認定制度「AWS パートナーネットワーク」(APN)に参加した。

 その後、パートナー向けプログラム「AWS マネージドサービスプロバイダー」(AWS MSP)を取得してシステム開発だけでなく顧客システムのクラウド移行の計画、開発、実装、保守運用など一連のプロセスを担えるパートナーとなる。

日立システムズの大野哲史氏(ビジネス&クラウドサービス事業グループ アライアンス・サービス事業部 副事業部長) 日立システムズの大野哲史氏(ビジネス&クラウドサービス事業グループ アライアンス・サービス事業部 副事業部長)

 アマゾン ウェブ サービス ジャパンの渡邉宗行氏は、日立システムズとの関係について次のように話す。

 「日立システムズさんが手掛けるAWSビジネスの特長は、日本全国に拠点を構え、各地の企業や自治体などにサービスを確実に提供できることです。全国規模で拠点を持っているサービスプロバイダーは希少で、お客さまの安心につながっています」

アマゾン ウェブ サービス ジャパンの渡邉宗行氏(パートナー アライアンス事業統括本部 常務執行役員 事業統括本部長) アマゾン ウェブ サービス ジャパンの渡邉宗行氏(パートナー アライアンス事業統括本部 常務執行役員 事業統括本部長)

 日立システムズは製造業、小売り・流通など幅広い分野をカバーしている。特に評価されているのが医療分野だ。同社は日本で初めて「AWS ライフサイエンスコンピテンシー」を取得し、国内の医療分野のAWS導入における先駆者のポジションを確立している。

 「医療機関が情報システムを構築、運用する際は、関連する法律に加えて『3省2ガイドライン』と呼ばれる指針の順守を求められます。当社はアマゾン ウェブ サービス ジャパンと共同で、それらの法令やガイドラインに準拠するシステムの設計と実装、運用を支援するサービスを開発しました」(大野氏)

 協業によって生まれたのが「医療情報3省2ガイドライン準拠 アセスメント・構築支援サービス」だ。ガイドラインの規則・要件を満たすシステムの設計・実装だけでなく、運用管理規定など必要な文書の作成支援、システム構築を効率化するAWS機能のテンプレート、ログ管理や監査の支援など、クラウドの特徴を生かしたサービスを提供する。

 渡邉氏は「AWSがシステムプロバイダーと共同でガイドラインを順守したサービスを開発したのは、当社グローバルでも初めてでした。医療業界のシステム開発を長年手掛けてきた日立システムズさんの知見を生かしたシステムを、AWS上に構築できます」と両社のパートナーシップの価値を語る。

3年間の戦略的協業でAWS開発力をさらに強化

 こうした実績が評価され、日立システムズは2022年3月に「AWS プレミアティアサービスパートナー」に認定された。国内では15社しか同プレミアティアに認定されていない(2025年11月時点)。その1社に認められたことは、技術力とサービス提供能力の高さを示している。

 同年7月、日立システムズとアマゾン ウェブ サービス ジャパンは、マネージドサービスの拡大に向けた3年間の戦略的協業契約を締結した。日立システムズは「AWS関連案件を3年間で100億円獲得する」という目標を掲げ、AWSのマネージドサービスを担当する人材を約1000人増やして多様化するニーズに応えられる体制を構築。顧客のクラウド移行を迅速に進める日立システムズのマルチクラウドソリューション「Gateway for Business Cloud」を、AWSの支援を受けて強化する狙いだ。

 渡邉氏は「AWSがクラウドの提供という得意分野を担い、日立システムズがお客さまの業務や要望に合わせたアプリケーションの開発を担当することで、それぞれの強みを最大限に発揮できます」と語る。

 同氏は、日立システムズが持つ全国の拠点ネットワークが自治体などの公共分野におけるクラウド導入を推進する上でも大きな強みとなると話す。

 「クラウドの特徴は場所を選ばずにシステムを開発できることですが、お客さまは近くに拠点を持つサービスプロバイダーに相談したいと考えます。そのときに日立システムズの担当者が近くにいることは大きなアドバンテージになります」

 戦略的協業では、両社で共同策定した事業目標を実現するために緊密に連携した。両社の幹部レベルによるミーティングを四半期ごとに開催し、実務レベルのやりとりは日常的に実施している。

 「ミーティングでは、目標値を達成するためにブレークダウンしたKPI(重要業績評価指標)の進捗(しんちょく)を管理し、改善点や注力すべき重点分野についてAWSと議論を重ねました」(大野氏)

 渡邉氏も「AWSプレミアティアサービスパートナーは、エンドユーザーにより良いクラウド環境を提供するための高い能力を備えています。そのような重要パートナーを支援し、継続的にプログラムを改善することにAWSは責任を持っています」と話す。

実績で裏付けられたパートナーシップの価値

 アマゾン ウェブ サービス ジャパンと日立システムズのパートナーシップによって顧客のDXを推進している事例が数多く生み出されている。

 一つは、地方自治体の健康保健業務を効率化するためのシステム開発だ。住民の健康医療データを匿名化したデータベースを生成AIで分析。生活習慣病のリスクが高い人を保健師や管理栄養士が指導する「特定保健指導」において個別化された意志決定サポートと保健師の業務の効率化に寄与させるという観点があった。これを受け、日立システムズ、メドミライ、神奈川県、東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻個別化保健医療社会連携講座などと共同で新システムを開発した。

 「3省2ガイドラインに準拠したシステムであることをお客さまにご評価していただきました。当社が開発できたのは、AWSとの緊密な協業を通じて医療分野の厳しい要件に対応できるクラウドソリューションを提案できた点にあります」(大野氏)

 従来は、保健師などが表計算ソフトウェアを使って約16時間もかけてデータを集計していた。新システムによって集計時間は2分に短縮され、集計結果をダッシュボードで視覚的に確認できるようになった。AIエージェントの機能も実装され、保健師一人一人の業務ニーズに合わせたレポートの生成や対象者へのメール文面の作成を可能にした。

 「AIでビッグデータを集計・分析することで、病気の傾向などをいち早くつかめます。社会課題の解決につながる取り組みです」(大野氏)

 渡邉氏は「AWS ライフサイエンスコンピテンシーは、極めて厳しい基準で運営されています。『顧客名を公表した事例がなければならない』など、実績の裏付けも必要です。そうした基準をクリアしたパートナーを選んでいただくことでサービスの品質が保証され、お客さまの安心につながります」と説明する。

 基幹システムのクラウド移行にも成功事例がある。四国化成グループが使用していた「SAP ERP 6.0」を「SAP S/4HANA」(以下、S/4HANA)に移行するに当たり、日立システムズがAWSへの移行を提案した。日立システムズがSAPのERPに精通した人材を多数擁していること、AWSを使ったS/4HANAの運用実績が多数あることが評価されて採用が決まった。大野氏は「移行時のシステム停止時間を、想定の1週間から2日間に短縮できました」と話し、顧客からの評価も高かったという。

 日立システムズは、AWSとの協業に合わせて社内の開発・運用体制を整理し、インフラ専門と業務アプリケーション専門の組織体制を敷いている。インフラ側は、AWSのサービスを日立システムズが監視することでクラウドの稼働状況やセキュリティを適切に保つ。その上で稼働する業務アプリケーション側は、基幹システムや政府システムの構築経験が豊富な専門エンジニアを集結し、迅速に開発やサポートを行う。四国化成グループの事例でも、この体制が有効に機能した。

 「日立システムズには、クラウドに関するナレッジを集約し社内のハブ機能となるBCCoE(Business Cloud Center of Excellence)という組織があります。四国化成グループさまのプロジェクトは、グループ各社にわたる複雑なシステム実装が課題でした。クラウドの知見を持つBCCoEのメンバーが支援することで、インフラ側も業務アプリケーション側も柔軟に機能し、プロジェクトの完遂に至りました」(大野氏)

 ほかにも、「ガバメントクラウド」に対応して日立システムズの自治体向けパッケージをAWSで稼働させる開発に取り組むなど、AWSと日立システムズの協業は多方面で進んでいる。

戦略的協業は「第2章」へ

 両社の協業は、企業のニーズをどのように満たしているのか。渡邉氏は次のように語る。

 「日本のITエンジニアの76%はシステム会社に所属しています。24%しかいない企業側のIT人材だけでシステム開発・運用を完結させるのは困難です。日立システムズのようにシステム開発から運用までを任せられるパートナーは、心強い選択肢となっています」

 大野氏は「当社は、システム開発において一貫して品質に徹底的にこだわってきました。チェック体制や品質基準に妥協はありません。信頼性が高いAWSのクラウドと当社のITサービスを選んでいただくことで、クラウドに厳しい条件を求めるお客さまにも満足していただけるでしょう」と語る。

 2022年に始まった3年間の戦略的協業は、当初目標を大きく上回る結果で着地した。それを受けて両社は、次の3年間に向けた協業を決定した。

 今回の強化ポイントについて大野氏は「当社はAWSのマネージドサービスに対応していますが、プロジェクトごとにシステムを構築、納品する従来型の案件が中心です。今後はマネージドサービスを強化して収益モデルの転換を図る計画で、必要な人材への投資も継続します」と語る。

 「戦略的協業の目的は、お客さまのAWS導入を加速させることにあります。初回の協業が成功したことを受け、協業期間が満了する前に今回の協業拡大を構想していました」(渡邉氏)

 今回は、引き続き需要が大きい基幹システムのマイグレーション、モダナイゼーション分野と、公共分野などで取り組みを強化するという。加えて、進化が著しいAIを業務にどう実装するかなど、価値向上の余地は尽きない。日本の企業がクラウドとデジタル、AIのパワーを取り入れるけん引役として、両社の協業はさらに存在感を増している。

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提供:アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2025年12月31日