ネットワンシステムズは、AIに最適化された次世代ストレージ「VAST Data」を採用し、インテル Gaudi AIアクセラレーターとの連携検証を開始した。検証で見えたVAST Dataの真価について、プロジェクトを推進したキーパーソンたちに聞いた。
ネットワンシステムズは、AIに最適化された次世代オールフラッシュストレージ「VAST Data」を検証用システムとして採用した。今回のストレージシステムは、インテルのAI向けプロセッサーである「インテル Gaudi AIアクセラレーター」との連携検証を目的に、VAST Dataの国内代理店であるノックスから調達した。
本記事は、ネットワンシステムズがVAST Dataを採用した経緯や、国内AI市場をけん引するネットワンシステムズ、VAST Data、インテル、ノックスによる次世代のAIデータプラットフォームを紹介する。
聞き手はノックスでVAST Data専任の営業とマーケティングを担う若井氏が担当する。
※以下、敬称略。
若井 まずはネットワンシステムズの秋本氏に、検証に至った背景やVAST Dataの選定理由などを伺います。
VAST Dataとインテル Gaudi AIアクセラレーターの検証のきっかけを教えてください。
秋本 当初は、VAST Dataのストレージとしてのパフォーマンスや潜在能力を見込み、提案活動に向けた検証用に導入を検討していました。その最中にお客さまから、インテル Gaudi AIアクセラレーターの共同ベンチマークテストを打診していただきました。VAST Dataとの親和性、独自機能の実機検証を併せて実施することで、両者の親和性を確認する絶好の機会だと思い、今回の検証対応に至りました。
若井 ストレージベンダーは多数ありますが、VAST Dataを選ばれた理由は何ですか。
秋本 グローバルデータ削除(類似性データ削減)によるストレージ容量の削減機能や、コンピュートノードとデータボックスの分離による高いパフォーマンスに、先進性と性能の高さを感じました。今後のストレージ提案における重要な商材と位置付けており、今回の検証とは別にCSI関連の機能検証や、実機によるナレッジ習得も進める予定です。
若井 検証環境は稼働を開始していると聞いています。環境の準備で苦慮した点を教えてください。
秋本 VAST Dataのネットワーク接続については大きな課題なく実現できました。苦慮した点としては、AIアクセラレーターからネットワークスイッチ間の400GbEリンクアップの確保と、AIパイプライン処理を実行した際にシングル、マルチノードを問わず想定したリンク帯域消費の状態にできるかどうかのチューニングです。ベンチマークテストのアウトプットや各種パラメーターの値の確認とテスト実行にも時間を要しました。
若井 どのような検証を実施される想定ですか。
秋本 各種ベンチマークテストやLLMのトークンレスポンス、ネットワークレイヤーの帯域消費などを測定します。今回の検証構成はCredoの400G AECケーブルも構成要素として取り入れます。Opticsと比べて遜色ない、もしくはそれ以上の低エラーレート率やフラップロスを確認する予定です。
若井 VAST Dataを使用した感想や、導入検討中の方へのアドバイスがあれば教えてください。
秋本 直感的に分かりやすいUI/UXは設定変更時の作業性やステータス把握の容易さに直結します。VAST Dataのダッシュボードは各種ステータスを明瞭かつ容易に判断でき、その閲覧性や操作性の高さは作業効率に直結します。導入を検討する際は、まずは大まかな必要要件を基に見積りを取得されることをお勧めします。並行して、PoCなどで実際のワークロードに近しい環境下で実測パフォーマンスを見ると、より性能値を推し量れると思います。
若井 ネットワンシステムズの、今後のAIビジネスの展望をお聞かせください。
秋本 AIを利活用するためのインフラ環境において、ネットワーク領域に強みを持つネットワンシステムズだからこそできる検証や活動を実施しています。中立的な立場でお客さまの要件に適した製品やサービスを選定するとともに、インテグレーションを通じて「形」にすることが価値であり責務だと考えています。AI技術を活用した業務の効率化、品質向上、新たなビジネスモデルの創出などに挑戦し、その経験の中で生まれた価値を、今後もさまざまな形でお客さまに提供していきます。
最新のAI技術やトレンドを常にキャッチアップし、技術研さんを継続するとともに、ノックスをはじめとするパートナーとの連携を強化することで、最適なAIソリューションの提供を目指します。
若井 続いて、VAST Dataの藤井氏にお話を伺います。ネットワンシステムズがVAST Dataを検証基盤に採用しました。今の気持ちを教えてください。
藤井 インテル Gaudi AIアクセラレーターとの連携検証という先進的な取り組みにおいて、VAST Dataがその基盤として選ばれたことは、日本市場におけるAIインフラの進化に貢献する重要な一歩です。
VAST Dataの販売、技術支援を日本でいち早く担ってきたノックスさんと今回のような高度な検証環境を推進できることは、われわれが共に築いてきた信頼の証だと受け止めています。日本市場におけるVAST Dataの立ち位置が、確かなものになりつつあると実感しています。
若井 VAST Dataが見据えるAIに最適なプラットフォーム、インフラとは何でしょうか。
藤井 データ保存の役割を超え、取り込んだデータを瞬時にAIが理解可能な形に変換する「VAST DataEngine」を備えた統合データプラットフォームです。多くの企業が「組織内データを用いたAI」の構築でつまずく原因は、AIアクセラレーターの能力不足だけではなく「データ準備の泥沼化」にあります。文章や画像など非構造化データをAIに学習させるには、従来、複雑なETL処理や外部のベクトルデータベースへの転送が必要でした。
VAST Dataは、この課題を解決できるアーキテクチャを持っています。VAST DataのDataEngineやベクトルデータベース機能が組み込まれているVAST DataBaseを含むアーキテクチャは、AIの高度化に伴い増大するデータ量や多様性、アクセス速度に対応するために作られており、スケールアウト性能に優れています。映像、文書、研究データなどの非構造化データを自動で継続供給するプラットフォームとして機能します。
海外では北米プロホッケーリーグにて、リアルタイムに試合映像を自動でタグ化し、全文検索可能なAI環境を構築するなど「AIを使いこなすための土台」として採用が進んでいます。国内でも映像制作や製造業、研究機関、金融機関などで利用が進むと考えています。
若井 日本市場における課題や今後の取り組みを教えてください。
藤井 生成AIの企業利用に対する期待が高まる一方で、実際に検討を進めてみると「社内にどんなデータがあるのか把握できていない」「部門ごとにデータがサイロ化しており、RAG(検索拡張生成)構築の前処理で止まってしまう」といった「データ整理の壁」が大きな課題になっています。
VAST Dataは、この課題を「VAST AI OS」の力で解決します。われわれの役割は、単なる保存場所の提供ではなく、散らばったデータをプラットフォームに集約し、保存された瞬間にデータのカタログ化や処理を行い「AIが即座に参照、学習できる状態」に整えることです。
今後は、日本企業が抱えるもう一つの課題である継続的なデータ抽出にも対応します。これによって、オンプレやSaaSなどに点在していたデータをVASTへ自動で集約し、RAGやトレーニング向けデータの継続的なアップデートが可能になります。
日本企業が持つ質の高いナレッジを、技術的な複雑さを排除してAIにつなげる。構想段階から運用まで「データを置けば、AIが使える」というシンプルな世界観を提供することで、日本のお客さまのDXを現場レベルで支えます。
若井 今回の検証について、今後の活用シーンや市場にもたらすインパクトについて教えてください。
藤井 今回の検証は、AI基盤の構築において「データと演算の協調動作」がいかに重要かを示す好例になると感じています。性能やスケーラビリティの面での評価だけでなく「実際の業務で使えるAI基盤とはどうあるべきか」という観点からの整理にもつながると思います。
従来のRAG構築は、ストレージとは別にベクトルデータベースを用意し、データの同期や管理をする必要がありました。しかし今回の検証によって、VAST AI OSが持つベクトルデータベースに対応しているVAST DataBaseとVAST DataEngine、インテル Gaudi AIアクセラレーターの活用で、データのベクトル化から検索まで高速に完結できること、VAST DataのKVキャッシュ機能によって推論のパフォーマンスが全体的に向上することが示されました。
これは、特に機密性の高い社内文書を扱うドキュメントRAGにおいて「データ移動のリスク」をなくし「リアルタイム性」を飛躍的に高めることを意味します。今後、DWHやLakehouseのような分析基盤としても機能を進化させ、お客さまが「AI活用のためのインフラ」を最小の構成と運用負荷で実現できるように支援を強化します。
若井 ノックスの実績や今後への期待と協業について、ネットワンシステムズとの連携に対する期待について教えてください。
藤井 VAST Dataの日本展開において、ノックスさんはエンタープライズAIの最前線を担う重要なパートナーです。製品理解の深さ、技術支援の確かさ、そしてマーケットへの啓発力を兼ね備えた存在として、VAST Dataの可能性を日本市場に根付かせてきました。
今回の検証でも、ノックスさんが技術とビジネスの両面で円滑な連携を築き、共創の可能性を大きく広げてくださいました。今後は生成AIやマルチモーダルAI、VLMといった次の波に向けて、VASTが持つリアルタイム処理、統合基盤の力を共に届けていけると確信しています。
(左から)若井氏、秋本氏、上野洋太郎氏(ネットワンシステムズ 東日本第2事業部 サービスプロバイダー第3技術部 第4チーム)、岡田陽平氏(ネットワンシステムズ 東日本第2事業部 サービスプロバイダー第3技術部 第2チーム)、高藤良史氏(インテル インダストリー事業本部 シニア・ソリューション・アーキテクト)、藤井氏※本稿は、ノックスからの寄稿記事を再構成したものです。
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