公正取引委員会は7月13日、PCメーカーとのWindowsの使用許諾契約に不当な拘束条件を付けたとして、米Microsoftを独占禁止法違反(不公正な取引方法)で排除勧告した。
公取委によると、MicrosoftはPCメーカーとWindowsの使用許諾契約を結ぶ際、Windowsに使われている技術がPCメーカーの特許権を侵害する恐れがあっても、PCメーカーは訴訟などを起こさないと誓約する「非係争条項」を盛り込み不当に拘束、公正な競争を阻害した。
勧告では、同条項の破棄と、PCメーカーが特許侵害を理由とした訴訟提起を妨げることがないことを書面で通知するよう求めている。
Microsoftは応諾しない方針。諾否期限は7月26日。応諾しない場合、一審に当たる審判手続きが開始される。
公取委は2月、独禁法違反の疑いでマイクロソフト(日本法人)を立ち入り検査。マイクロソフトはその翌日、問題となった条項を削除した。公取委は当初、容疑に私的独占も含めていたが、勧告では見送った。
古川享執行役は「Windowsの技術に、各メーカーが特許権を保有している技術が含まれていた場合、即座に訴訟で解決しようとするのではなく、まずは平和的に交渉しましょうという意味だった」とし、同条項は立ち入り検査前に撤廃を決めていたと説明している。
日本法人は1998年11月、PCに「Excel」を搭載する場合には「Word」も搭載するよう国内メーカーに圧力をかけていたとし、独禁法違反で排除勧告を受けている。
独占禁止に絡み欧米で当局との紛争が相次いでいる米Microsoftだが、公取委がMS本社に法的処置をとるのは異例のケースとなる。公取委は、4月にはインテル日本法人も独禁法違反容疑で立ち入り検査している。
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国内PCメーカーに対して他社製品を使わないよう圧力をかけていたとの疑いが持たれている。大手メーカーや日本AMDにも調査要請。
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