Cognosユーザー事例に見るBIの究極の姿とは?:Cognos Forum 2005 Report(2/2 ページ)
「Cognos Forum 2005」で、テネシー州最大の保険会社がBIをインターネット経由でクライアント企業に提供する事例を発表した。まさにBIの究極の姿と言えるだろう。
実際、ジェーンズ氏は、プレゼンテーションの時間の大部分をデータ統合機能の説明に割き、受講者からの質問もこの部分に集中していた。多くの企業にとって、やはりデータ統合は悩みの種のようだ。
キューブ上のデータはおよそ50Gバイトだ。たいしたデータ量ではないかと思えるが、一般に多次元DBMSへのデータロードは極めて負荷が大きいプロセスだ。これは、迅速な分析を可能とするためにロード時点でデータを分析向けに再構築したり、事前計算することが必要だからだ。これは、Cognosの製品に限った話ではなく、あらゆる多次元DBMSに共通の課題である。
同社は、データローディング機能における性能ベンチマーク調査を行い、WindowsではなくAIXをデータ統合のサーバに採用することとした。Windowsでは十分な性能が出せなかったということだ。
それでも、メインフレーム上のデータウェアハウスからデータを抽出し、データローディングの事前準備をするだけでも70時間を要し、それをOLAP用のキューブにロードするだけで21時間を要するそうだ(メインフレーム上から直接OLAPキューブにロードすることも検討したが、オーバーヘッドの大きさのため断念せざるを得なかったという)。
ローディングシステムに高い評価
なお、参加者からはこのローディングシステムを売ってくれないかとの声も上がっていた。50Gバイトのデータ量をこの時間で処理できるということは十分水準以上のシステムであるということだろう。なお、このデータローディング作業は1カ月に1回のペースで行われている。
このシステムの導入により、クライアント企業が最新(保険情報の特性により、1カ月単位のデータであれば問題はない)のデータをアクセスすることができるようになり、顧客サービスは大きく向上した。既存顧客の維持や新規顧客の獲得に大きく貢献したそうだ。また、BCBST社内においても、クライアント企業からのレポートの要求に対応するための負荷を大きく削減することができたという。
日本国内においては、顧客やパートナーに対してBI機能を直接提供する、つまり、エクストラネット上でのBIの展開はまだ数少ないケースだろう。しかし、社内でのBI展開に成功した企業は次のステップとして、エクストラネット上でのBI展開を目指していくべきケースが多いのではないだろうか。
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