OracleとSiebelのトップが買収について語る:Oracle OpenWorld 2005 San Francisco Report
Oracle OpenWorld 2005 San Franciscoでは、Oracleのフィリップス社長とSiebelのシャヒーンCEOが出席し、Siebel買収の今後について顧客やパートナーらに説明するタウンミーティングが開催された。
米国時間9月19日開幕した「Oracle OpenWorld 2005 San Francisco」では、先ごろ買収が発表されたSiebelとの今後について顧客やパートナーらに説明するタウンミーティングが開催された。
最初にステージに立ったのは、オープニングセッションを務めたOracleのチャールズ・フィリップス社長とSiebelのジョージ・シャヒーンCEOだ。
冒頭、フィリップ氏は、PeopleSoft(およびJ.D. Edwards)買収の実績に触れ、それぞれのアプリケーションには良さがあり、それをOracle Fusion Middlewareで統合することで、顧客にはさらなる利点が生じると指摘した。Siebelに関しても同様で、同社CRMのフロントオフィスアプリケーションと、OracleやPeopleSoftのERPが提供するバックエンドシステムとの透過的な連携が、より良いソリューションを顧客に提供できるとした。
当然のことながら、Siebel製品のサポートが継続されることは、これまで買収した製品群と同様で、既存顧客に対する配慮がここでも伝えられた。
一方、シャヒーン氏は、Oracleが提供するワールドワイドのサポート体制や、大きく拡大するパートナー企業との新たな関係などが彼らの顧客およびパートナーに新たな価値があるとした。
SiebelはSFA(Sales Force Automation)からスタートし、CRMのさまざまな分野で優位性があり、最近ではそれらを発展させたビジネスインテリジェンスやビジネスアナリスティックにも力を入れている。今年に入ってからは、本格的にオンデマンド市場にも参入している。シャヒーン氏は、CRMを中核としたさまざまなソリューションをオラクルに提供できると話す。Oracleの世界的な「規模」を活用することで、より良いサービスが顧客に提供できる、と今回の融合メリットをさらに強調する。
オンデマンドCRMのビジネスは、Siebel全体の売り上げに対して数字的にまだ大きく貢献するものとはなっていないものの、Siebelは、CRMの専業ベンダーとして、その重要な要素を完全な形で提供しているのがライバルたちとの違いだとシャヒーン氏は主張する。これは、先週「Dreamforce'05」を同じサンフランシスコで開催したSalesforce.comの「顧客が必要とするアプリケーションを顧客自身やパートナーが自由に提供するAppexchange」の発想に真っ向から対抗するものといえる。
One Choiceか、ベストオブブリードか
プレゼンテーション後のQ&Aでは、OracleはさまざまなCRMシステムを持つことになったが、それぞれをどのように機能させるのかという質問がなされた。これに対しては、PeopleSoftのときと同様、個々の機能で適したものを採用して利用すればいいという回答だった。つまり、顧客の価値を一番に考え、そのために必要な機能を組み合わせて適宜採用すればいいということだ。
新規の顧客に対しては、CRMの提案時に使うカウンセリングの雛形は出来上がっているという。ただし、最初の提案結果が絶対ではなく、顧客の状況によってはプランBも提案するという。つまり、Oracleは多彩な選択肢の中から最適なソリューションを顧客に合わせて提供することで、最良な解を導き出せるということだ。これは、CRMをやりたければ「One Choice」でというSalesforce.comの提案と、全く逆方向のアプローチといえる。
実際のところオンデマンドCRMのソリューションとしては、どちらが正解なのだろうか? 現時点では、どちらの解決策も正解かもしれない。
というのも現状、SiebelはSalesforce.comの市場とそれほど競合していない。大規模企業顧客を中心にCRMサービスを展開している状況では、オンデマンドがソリューションに組み込まれ、選択肢が増えることは顧客のメリットとなる。
一方、中小規模からアプローチするSalesforce.comは、シンプルな「One Choice」がビジネスのスピード感やコストメリットの面で有利に働く。
今後、Oracleは大規模から中小規模の市場へ、逆にSalesforceは中小規模から大規模の市場へ、と積極的に参入を始めるだろう。双方の市場が重なり、真の競合が始まったとき、One Choiceなのか、あるいはベストオブブリードなのかを顧客が選択し、オンデマンドCRMビジネスの勝者が決まってくるのかもしれない。
関連記事
- アプリケーションの導入を迅速化する「Oracle Accelerators」
- エンタープライズグリッド環境の実証に取り組むProject MegaGridにCiscoが参加
- 「Oracleのアプリケーション事業は顧客が牽引する」とウーキーSVP
- NEC、OOWでOracleとの新たな協業の成果を披露
- Oracleのフィリップス氏、OOWのキーノートで「ライフタイムサポート」を約束
- OOWで「Oracle Fusion Architecture」の全貌が明らかに
- OOWにIntelとOracleの技術を組み込んだスポーツカーが登場
- Oracle OpenWorld開催、メッセージは「Power」から「顧客志向」
- OracleのSiebel買収は果たして吉と出るか
- ユーザーの細かい要求にも対応する「Oracle Database 10g Release 2」
- BPEL製品推進の協業施策打ち出すオラクル
- 「DB以外でもゴリラになる」、オラクルのミドルウェア戦略
- Oracle、JavaOneでSOA構想を披露
- PeopleSoft統合でアプリケーション分野での再出発にかけるOracle
- スケールとビジョンでSAPに挑むOracle
- PeopleSoft製品との“融合”計画「プロジェクト・フュージョン」発表――日本オラクル
- Oracle、新ミドルウェアブランド「Oracle Fusion Middleware」を発表へ
- Oracle幹部、「Fusion」計画の詳細を明らかに
- 技術面での差別化とスイートとしての価値でIBM、BEAを追撃するOracleのアプリサーバ
- Oracle 10g World開幕、「グリッド第2幕」に見る一歩先の情報システム
- Oracle、すべてを統合する「Fusion」スイート開発
- ミドルウェア統合やPeopleSoft買収で新たな成長戦略へ
- PeopleSoftユーザーのテストを受けるOracle
- Oracle OpenWorld 2004 San Francisco Report
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.