OOoでOffice 12のVBAロックインから抜け出せるか?:OOo 2.0が変えるオフィスアプリ基準 第7回(2/2 ページ)
OpenOffice.org 2.0が変えるオフィスアプリ基準の7回目では、オフィスアプリケーション内の操作を自動化する「マクロ」について触れる。MS Officeとの互換性はいかに。
OpenOffice.orgのマクロBasicの使い方については、Sun Microsystemsが公開している「StarSuite7 Office Suite Basicプログラマ向けガイド」(関連リンク)が参考になる。
StarSuiteのマクロ移行ツール
それでは、Microsoft OfficeからOpenOffice.orgにVBAに移行することは不可能なのだろうか? 実は、そのためのツールは、OpenOffice.orgではなく、StarSuiteのエンタープライズ版で提供されている。
これは、移行サービス支援ツール群である(関連記事)。既存のファイルの呼び出し履歴を調べたり、移行するにはどの程度の期間がかかるといった分析を行う。そして、その一部として、VBAをStarSuite Basicにコンバートツールする。ただし、プログラム構造が違うため、すべてを自動的に100%移行するには無理があり、ある程度は、人の手で書き換えることになるのだ。
ドイツの.riess apprications社は、同じようなマクロ移行の事例として「1000台規模のデスクトップで、ファイルサーバに10万程度の文書ファイルがある場合でも、実際に調査してみると直近の呼び出し文書は20%程度。その中で、マクロなどを使用していたためにStarOffice/OpenOffice.orgのファイルフォーマットに自動変換できないものは、8%に過ぎない。」と報告している(関連記事)。
マクロ移行で、ベンダーロックインから逃れる
Microsoft OfficeのようなオフィススイートからOpenOffice.orgに移行したくても、マクロプログラムなどのソフトウェア資産のために移行は難しいというユーザーは少なくない。しかし裏を返せば、そのようなユーザーは、既存の資産を担保にソフトウェアベンダーに囲い込まれているベンダーロックインの状態にあるということだ。そのため、今後も囲い込みに伴う利点と欠点の影響を受けることになる。
OpenOffice.orgやStarSuite側で移行の敷居を下げるソリューションを提供することは、今後も重要な課題であり続ける。しかし、現状では、移行コストは必ずしも低くないが、その移行コストとベンダーロックインに伴うコストを比較して欲しい。移行できる企業とできない企業では、今後ITシステムの運営コストに大きな差が出てくるのではないだろうか。さらに、OpenOffice.orgやStarSuiteに移行に成功すれば、Windows自体からの移行も視野に入ってくる。とはいえ、WindowsからLinuxに囲い込まれる対象が変わるだけでは意味がない。特定ベンダーからユーザーが主導権を取り戻すことが重要だ。
多くの企業でのPCは、1人1台という体制が当たり前となっている昨今、導入当初に比べれば、ずいぶん現場もパソコンに慣れている。オフィススイートやマクロの完全な互換性を確保しなくても、現実的な移行は可能になっていると思われる。
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