「StarSuite 8」レビューで見えた対MS Officeへの気合い:OpenOffice.org 2.0が変えるオフィスアプリ基準(3/3 ページ)
今や企業内の文書作りにはオフィススイートが欠かせない存在だ。その選択肢の1つとして、新たな商用バージョン「StarSuite 8」が登場した。ショップ販売も開始されている。
StarSuiteはMicrosoft Officeに対抗できるのか?
さて、OpenOffice.orgとStarSuite(スタースイート)の最大のライバルといえば、もちろんMicrosoft Officeということになる。多くの人の興味は、StarSuite(スタースイート)はMicrosoft Officeに対抗できるか? という点にあると思う。そこで、まずMicrosoft Officeがどの程度使われているのか考えてみた。
現在、PCの普及率は企業で93.2%、家庭でも77.5%に達しているという(関連リンク:平成17年版、情報通信白書)。そして、そのほとんどがWindowsとMicrosoft Officeを使っていることは間違いない。おそらく7千万人ほどのユーザーがいることになる。これだけ規模の大きいMicrosoft Officeの普及率を一企業が真っ向から対抗し、一気にひっくり返えすことは想像できない。
そうとはいえ、わずかながら可能性はあると思う。それは、StarSuite(スタースイート)やOpenOffice.orgが対象とするユーザーは、それぞれ違っているからだ。サンがフォーカスしているのは、Microsoft Officeの守備範囲の一部、エンタープライズと呼ぶ企業内ユーザーである。StarSuiteは、このような企業で大量導入される可能性が高い。最近では個人情報保護法の施行も影響し、ソフトウェアライセンスにも厳重な管理が関わりつつある。当然ながら従来通りソフトウェアコスト管理を行う上でも、基本的な文書管理などさえ実現できればよいところへバージョンアップなどの必要性は低い。
現在のところOpenOffice.orgの利用者には、PCやインターネットを使いこなすパワーユーザーが多い。このようなツールは、パソコンのカジュアルユーザーにとっては敷居が高いと感じられるかもしれない。その点を考慮して、ソースネクストの「スタースイート 8」がターゲットにしている。このほかに、Linuxディストリビューション経由でOpenOffice.orgを入手するユーザーもいる。
このようなプレーヤーが、Microsoft Officeのシェアをそれぞれに切り崩していくということであれば考えられないだろうか? たとえば、それぞれのシェアは1%程度かもしれないが、7千万人の4%であれば3百万人近くになる。さらに、各プレーヤーがバラバラに動くのではなく共同戦線を張る時、この動きは一層確実なものになるに違いない。前述した標準ドキュメント規格の「OASIS OpenDocument」フォーマットは、その追い風になるだろう。官公庁や大企業での導入も進むことが期待される。
そうとはいえ、このような共同戦線を実現できたとしても、現在の状況が変わるにはそれなりの時間がかかる。考え方を変えてみれば、選択肢を増やすということでもある。この点は勘違いをせず、各ユーザー、企業が考えていく必要があるのだ。
このような土壌を築くために、使いやすいオフィススイートとして足場を固めることが重要だ。StarSuite 8は、サンの提供するサービスの一環として欠かせない存在だ。またソースネクストの「スタースイート8」は、低価格で気軽に入手できるMicrosoft Office互換のオフィススイートとしても魅力的なものになるだろう。基本的な互換性検証については、関連特集「OpenOffice.org 2.0が変えるオフィスアプリ基準」が参考になるはずだ。
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