ネット時代はコンタクトセンターが企業の顔になる――ジェネシスが基盤支援
ブロードバンドによるインターネット接続サービスがここ数年で急速に普及し、消費者によるネット経由での商品購入がますます増えている。だが、現実問題として、消費者が選ぶ際に詳しい説明を必要とする製品も多い。また、新聞、テレビ等の従来型の広報宣伝手段の有効性が低下し、ネットや電話等オンラインプロモーションの重要性が高まっている。そこで、今後の本格的なネット時代に重要になるのが、「企業の顔」としての役割を果たすコンタクトセンターなのである。コンタクトセンターは現在、IPをベースにしたプラットフォームへの移行が進んでおり、IPによる情報のデジタル化によって、音声情報を経営判断に利用するといったさまざまな利用方法にも期待が集まっている。
市場をリードするジェネシス
コンタクトセンター市場において、CTI(Computer Telephony Integration)ミドルウェアを中心に、ワールドワイドで確固たる地位を築いている米Genesys Telecommunications Laboratories, Inc.の日本法人、ジェネシス・ジャパンでマーケティング部長を務める新宮邦彦氏は、最近のコンタクトセンターを取り巻く環境について次のように分析している。
「企業にはさまざまな顔があります。コンタクトセンターはもちろん、営業担当者、Webサイト、電子メールでの問い合わせ、事務手続きの窓口など、どれも顧客との接点として重要な役割を果たしています。仮に、コンタクトセンターが優秀でも、ほかの窓口の対応に問題があれば、利用者の自社へのイメージを損ねてしまいます。今、企業に求められているのは、さまざまな接点を一貫した形で運用することです」
最新のコンタクトセンターで利用される情報システムは、従来の電話機能を拡張するものから、働く人々の業務をより高度にサポートするものへと変化してきている。
具体的には、コールセンターでエージェントが電話を取る際に、電話番号をキーにして発信者の情報をデータベースから検索し、PC上にポップアップするといった機能は当たり前のものになり、さらに高度な機能へと発展しようとしている。例えば、購入頻度の高いお客様からの電話の優先的な着信、電話がエージェントにつながるまでの予想待ち時間アナウンスによるお客様のイライラ解消、インバウンド(受電)とアウトバウンド(架電)の境をなくし、業務に対して精通している1人のエージェントをどちらの業務にも動的に割り当てるブレンド運用などが挙げられる。
これらは、従来のPBXを利用した電話システムでも実現できるものの、機能を追加したり、ほかのシステムと連携させるたびに開発コストが発生したりするため、新たなハードウェアの導入が必要になってしまう。だが、ソフトウェアで導入することで、そうしたハードウェア投資が必要なくなるわけだ。
「理想的には、すべてをコンタクトセンターに一元化すること。顧客対応の一貫性、これを実現できるように設計されているのがGenesys7のCIM(Customer Interaction Management)プラットフォームです」(同氏)
CIMプラットフォームによる柔軟な基盤の構築
ジェネシスはGenesys7の提供によって、コンタクトセンターに求められる新たな機能を、効率的かつ低コストで実現できるソリューションを提供する。
Genesys7では、CIMプラットフォームにコンタクトセンターに必要な共通コンポーネントであるセンター管理機能、ルーティング機能、レポーティング機能を集約し、その上に顧客とのコンタクトに必要なインバウンド、アウトバウンド、Eメールなどの機能を必要に応じて追加する(図1)。また、CRMアプリケーション、センターの運用で必要となる分析機能、バックオフィスシステムとの連携機能ももちろん用意されている。
通信インフラがIPでもPBXでも、GenesysのCIMプラットフォームで管理しているセンターのオペレーターやスキルの情報や電話の着信ルールなどは共通だ。そのため、通信インフラを変更した場合でも、従来のセンター運用の環境を、何も手を加えずに移行することができる。電子メールなど、インターネット経由のコンタクト機能を追加する場合も、別モジュールをCIMプラットフォームに加えるだけで、統合的なシステムを実現可能だ。
変化に強いコンタクトセンター
企業合併や買収などが盛んになるに伴い、複数のコンタクトセンターを1つに統合するケースも増えてくる。既存のリソースを有効活用するためには、物理的なハードウェア構成についての研究や、コスト削減のために通信会社の回線に依存しない柔軟な構成も必要になる。
一般に、PBXとIPテレフォニーサーバーなどのハードウェアのメーカーが違ったり、OSやデータベースなどソフトウェアのバージョンが異なった製品同士を統合することは容易ではない。だが、ジェネシスはミドルウェアとして、旧来のPBXやスイッチと新しいIPの仕組みなど、異種混在環境を全く苦にせずに運用できるため、合併統合でシステムを統合したい、といったニーズに十分対応できる点が最大の強みとなる。つまり、適材適所を考慮した自由なシステム構成が可能だということでもある。メーカーを統一する必要もない。この柔軟性が、他社のソリューションに対する大きな優位性であり、既存ハードウェアへの投資を無駄にすることなく、段階的にIP化に移行する際の基盤になるのである。
現在、コンタクトセンターのIP化は、オフィス用途と比べると、出遅れ感があるという点が否めない。IP化に関心はあるものの、通話品質などを見極める必要もあるため、従来のPBXの延長であるIP-PBXを導入するということが現実には多くなっている。
しかし、ソフトウェアでコンタクトセンターをIP化する大きなメリットとして、PBXのような物理的なハードウェアを持つ必要がないことが挙げられる。コスト削減はもちろん、バージョンアップや機能追加の際に、ハードウェアを丸ごと交換するような無駄は発生しない。さらに、ソフトウェアによるIP化によって、距離的に離れている複数の拠点をバーチャルに統合することで、人件費の削減やシステム管理を容易にすることができる(図2)。
「ジェネシスを導入することで、既存のPBXを残したまま、新たに一部だけをIP化して運用することが可能になります。IP化での確実な運用体制を確認してから、全体を移行するといったことがジェネシスでは簡単に実現できるのです。さらに、音声電話だけでなく電子メールやFAXなどの多種のコンタクトを一元的に管理でき、問い合わせに対するマルチメディアルーティングの実現も容易です。電子メール、電話、FAXといったメッセージングの違いを吸収して、シームレスに顧客情報を共有できれば、どのチャネルから問い合わせがあっても、一貫したルールに基づいた対応ができるのです」(新宮氏)
つまり、電話応対用に用意されている対応方法に、電子メールなどの異なるチャネルの対応ルールを追加できることになる。問い合わせのルーティングだけでなく、ルールにはワークフローも記述可能だ。これにより、既存のバックオフィスの業務とコンタクトセンターの対応をシームレスに連携させることが可能になる(図3)。
次世代のコンタクトセンターに対応する
これまでのように、コールセンターは苦情の受け付けをするだけと考えているようでは、企業におけるコンタクトセンターの活用も頭打ちになってしまうかもしれない。サポート業務や単なる問い合わせ窓口という位置付けを越えて、「営業の最前線部隊」として、顧客との重要な接点にしていくという発想が、今後は求められていく。
音声データを新たなマーケティング活動に利用する取り組みも始まっている。これまで音声ログは、単純な記録としてしか利用されてこなかった。これをデジタル化して、テキストにし、テキストマイニングでキーワードを抽出し、顧客の意見の中から企業システムの問題点や、製品、サービスの改善点を掘り起こしたり、顧客の要望傾向を分析したり、特定のキーワードが出た顧客に対してアウトバンドでセールスコンタクトするなどの利用が考えられている。
コンタクトセンターは「コストセンター」などと呼ばれてきた。だが、IP化によって発展する次世代のコンタクトセンターは、顧客の要望を最も早く受け取り、いち早く収益につなげるためのマーケティングの最重要ポイントになり得る。ジェネシスでは、こうした最新の傾向にいち早く対応し、コンタクトセンターをプロフィット化するための次世代プラットフォームを提供している。
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提供:ジェネシス・ジャパン株式会社
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年2月28日



