ナイスシュート! 「超」大規模なOracle OpenWorld開幕:Oracle OpenWorld San Francisco 2006 Report
米国時間の10月22日夕方、6日間で1600以上のセッションが行われる「超」大規模カンファレンス、「Oracle OpenWorld San Francisco 2006」は、チャールズ・フィリップス社長のキーノートで幕を開けた。
カリフォルニア州サンフランシスコの空は、きれいに晴れ上がっている。わずか半日前に出発した東京の雨が、まるで嘘のようだ。ダウンタウンのモスコーニセンターは、4万人を超える参加者の受け入れやオープニングパーティーの準備でごった返している。JavaOneやLinuxWorldのような業界を挙げた大規模なカンファレンスがこのコンベンションセンターを賑わすのをしばしば目にしてきたが、今年のOracle OpenWorldは桁違いのスケール。何しろ、北館、南館、西館をすべて充てても足りず、あいだを走る道路も封鎖し、パーティー会場やランチ会場をこしらえているのだ。
米国時間の10月22日夕方、6日間で1600以上のセッションが行われる「超」大規模カンファレンス、「Oracle OpenWorld San Francisco 2006」は、チャールズ・フィリップス社長のキーノートで幕を開けた。
冒頭、フィリップス氏は地元カリフォルニア州オークランドに本拠を置くNBAの古豪、ゴールデンステート・ウォリアーズのジェイソン・リチャードソン選手をステージに招き上げた。Oracleは先ごろ、オークランドアリーナの命名権を獲得し、「オラクルアリーナ」としている。長身の彼は、NBAのスター選手の前でも臆することなく、ステージに設けられたバスケットにシュートを決めてみせた。
2003年5月、ウォール街のスターアナリストからOracle入りしたチャールズ・フィリップス氏は、Peoplesoft買収を仕掛け、翌2004年12月には約1年半に及んだ戦いを制し、執念を実らせた。以来、Oracleは、アプリケーション分野を中心にRetekやSiebelを含む25社を傘下に収めた。創業者であるラリー・エリソンCEOのカリスマに依存しない企業づくりを進める中、フィリップス氏はますますM&A戦略を強化している。
フィリップス氏は、「特定の業界や分野でナンバーワンのベンダーを買収し、Oracleのテクノロジーインフラ(Oracle GridやFusion Middleware)に統合している。これは“実証済みのR&D”ともいえる」と話し、同社にとっては買収も重要な戦略の一部であるとした。
積極的な買収によって、同社のアプリケーション事業は、新規のライセンスベースで全体の3割にまで拡大している。社長就任から3年目のフィリップス氏は、「The Information Company」を掲げ、ニッチプレーヤーからの脱却を主導している。インフラストラクチャーからアプリケーションまでのスタックがなければ、生き残れないし、勝ち続けられない、という危機感が彼を突き動かしているかのようだ。
ステージでは、6世代目となる「Oracle Business Accelerators for E-Business Suite」のデモも行われた。
Oracle Business Acceleratorsは、21に上るインダストリー向けのテンプレートが用意され、ビジネス上の質問に答えていくことでE-Business Suiteを構成できる無償のツール。テクノロジーインフラとの統合が図られているため、データベースやミドルウェアも含めた設定も同時に行える。テクノロジーインフラとアプリケーションの統合がなせる技だ。
「テクノロジーインフラがあるからこそ、次世代のアプリケーション(Information Age Applications)を生み出せる。2つは互いに補い合い、改善されていく。エンタープライズアプリケーションを導入し、維持していくのは決して簡単なことではない。煩雑で、顧客らはもはや“もはや生活の一部”として諦めかけている。しかし、Oracleなら、そうした顧客のタフな状況を解消し、所有体験を変えられる」(チャールズ氏)
関連記事
- Oracle、Sunopsis買収でデータインテグレーションを統合へ
- Oracle、ロジスティックス管理ソフトのG-Logを買収
- Oracle、Sigma Dynamicsの資産を買収
- Oracle、Telephony@Workを買収
- Oracle、Demantraを買収
- Oracle、Fusionとともに進める新プログラム「Unlimited Applications」を発表
- Oracle、Portal Softwareを買収
- Fusion構築に向けてSiebelなどの買収製品を検証中――米Oracle
- Oracleのオープンソース買収熱
- Oracle、スウェーデンのHotSipを買収
- Oracle、オープンソースデータベースのSleepycatを買収
- 米OracleによるSiebel買収で起こる変化
- Oracle、Retek買収合戦でSAPに勝利
- 「The Information Company」を掲げたOracleのフィリップス社長
Oracle OpenWorld 2004 San Franciscoでフィリップス社長は、「The Information Company」を掲げた。「価値ある情報こそが時を越えた資産として企業を駆動し続ける」とし、その重要性を訴えた。 - PeopleSoft買収決着、その背景にあるものは?
急転決着したPeopleSoftへの敵対買収は、業界再編の潮流の中にあり、「完璧なインフラ」「一貫性のあるコンピューティング」を望む顧客の声にこたえるものだとOracle幹部は主張する。 - 「IBMを追い抜くまで私の役割は終わらない」とOracleのフィリップス社長
Oracleが総帥エリソン氏のカリスマに依存しない企業づくりを進める中、フィリップス社長から強気のメッセージが聞かれ始めている。Oracle OpenWorld Shanghaiでは、SAPを追い抜くのは時間の問題とし、さらにIBMを追い抜くまで私の役割は終わらないと話した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.