主流になれない新技術のジレンマ:データベースの「生きる道」を探る 第3回
ビジネスプロセスを支える情報基盤として進化したリレーショナルデータベース(RDB)。すでに20年以上もデータベースのあるべき姿として活躍している。その座を脅かす「存在」はなかったのだろうか……。
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2種類あるXMLDB
1999年ごろから――市場ではRDBがすでに広く普及している中で――拡張可能なマークアップ言語であるXMLが注目されたことにより、XMLデータを効率的に扱うためのXMLデータベース(XMLDB)が登場した。
XMLDBは、実はXMLのツリー構造をそのままデータ構造とする「ネイティブXMLDB」と、リレーショナルデータベース(RDB)にXMLデータを格納できる「XML対応RDB」の2つに大別できる。
RDBは、常に厳格なスキーマ情報(文書の要素や属性配列を明記したもの)を必要とすることから、一度作成したデータ構造を運用中に変更することが最も苦手だ。拡張性の高いネイティブXMLDBはそんなRDBの弱点を補えるという利点があるため、一気に普及すると期待された。しかし、当時はXMLDB自体に過度の期待があったこともあり、RDB形式でも十分に活用できるデータを無理やりXMLDB化してしまうとか、ネイティブXMLDBそのものを扱うノウハウが未成熟なためにパフォーマンスが極端に低下するといった、ネガティブな評価が先行し、市場で大きく受け入れられることはなかった。
ネイティブXMLDBは注目されるものの……
ところが昨今、XML対応データが着実に社会に浸透している。XMLデータソースを照会する「XQuery」が開発されたこともあり、可用性を向上させたネイティブXMLDBが復活しているのである。代表的なものとして、米エクスプリオリが開発した、フルオートインデックスでスキーマが不要の「NeoCoreXMS」や、大容量データを高速検索できる、東芝ソリューションの「TX1」などがある。極めて流動的になったビジネス環境では、構築後もデータ構造が変化することを前提とした情報系システムなどで、このようなネイティブXMLDBの活用が有効と考えられている。
しかしながら、現在のビジネス環境では、圧倒的にRDBの利用が主流だ。そのため、XMLデータを確実に活用するためには、RDBを維持しながら新たにネイティブXMLDBを設けるといった、二重投資が必要となる。従って、ネイティブXMLDBは「サブシステム的扱い」でしか利用されないのが現状となっている。また、XMLDB自体、RDBに比べて歴史が浅く、スケーラビリティやパフォーマンス、運用管理機能などで劣っている。そうした側面もその一因となっている(「月刊アイティセレクト」12月号のトレンドフォーカス「データベースの新潮流 世界初の製品誕生 ハイブリッド型で大激震が起きるか」より)。
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