「第3世代」はホンモノか:データベースの「生きる道」を探る 第5回
データベースの「第3世代」として生まれたハイブリッド型XMLデータベース(XMLDB)。果たして今後、リレーショナルデータベース(RDB)に取って代わる存在として定着するのだろうか――。
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どうなる!? XMLDB市場の今後
XMLデータを処理するのに、「XML対応RDB」を活用する手段を選ぶと、柔軟性かパフォーマンスの悪さのどちらかを甘んじて受け入れなければならない、二者択一を迫られる。かといって、ネイティブXMLDBの「生命」は一度は途絶えかけ、選択肢としての存在感は薄くなっている。そんな懸念を払しょくするデータベースとして、IBMはハイブリッド型データベース「DB2 9」を発表した。「第3世代」といわれる、その新生児が歩もうとするXMLDB市場は今後、どうなるのだろうか。
日本IBMソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部事業部長の渡邉宗行氏は、こう指摘する。
「XMLは単なるデータフォーマットであると考えがちですが、XMLの標準化は業界ではすでに進んでいます。しかし、金融業界のXBRL、放送・出版業界のNewsML、流通業界のcXML、医療業界のMMLなど、規格は決定されつつあっても、XMLでのデータベース管理は活用しきれていませんでした。それが今後急速に改善されていくと思われます」
また、XMLは業界別にインダストリベースでの差分フォーマットが決まっている。そのため日本IBMでは「XMLデータのハンドリングを熟知したISV各社と協力し、より業界に合った形でアピールしていく」(渡邉氏)という。
今後、RDB市場が収束し、代わってXMLDB市場が伸びていくだろうか。「現在のRDBの利用率は今後も維持されるでしょう。しかし、今までデータとされなかった非定型情報はかなり存在するので、それがXMLによって急速に情報化されると見ています」と話すのは、同事業部データベース営業部部長の池田高也氏だ。例えば、マイクロソフトの次期「Office 2007」では、完全にXML化されたデータが有効活用できるようになる。
拡大したときの…期待
また、SOA化が進み、RFIDの情報が大量にデータベース化されるようになると、データの量はばく大に増えると予測する。「XMLDB市場動向を予測している複数の調査会社によると、2年後に50億円程度といわれています。しかし、顧客の業務の変化に合わせて柔軟に変化できるデータベースが求められると、XMLDBもさまざまな業務に使われ始めるでしょう。少なくとも、予測の数倍は増えるのではないかと見ています」(池田氏)
とはいうものの、RDBはそのまま利用され続けるだろうし、今後いかに双方を共存させるかが企業の大きな課題になると考えられる。その点について、渡邉氏は「ビジネスがよりウェブ化され、データの量が格段に増えると、RDBとXMLDBの両方を使っている顧客からは歓迎されるでしょう。ハイブリッド型データベースの価値を理解してもらうことで、今までやれなかった、もしくはやる機会がなかったという新しいアプリケーションエリアを創造するビジネスチャンスが生まれるのではないでしょうか」と期待感をにじませる。
今、データベース業界では、オフィス文書が組織の知識として共有されていない状況を踏まえ、文書類を共通フォーマットに変換してサーバーに格納しようとする流れがあるという。その標準フォーマットはXML。これにより、ほかの人がつくったナレッジや情報を共通の情報として「再利用」でき、無駄な作業の削減という効率化を進めることができる。そうなれば、ある調査結果によって示された、15%程度にすぎない構造化されたデータと85%を占める非構造データを融合させることが現実化するのも夢ではないだろう(「月刊アイティセレクト」12月号のトレンドフォーカス「データベースの新潮流 世界初の製品誕生 ハイブリッド型で大激震が起きるか」より)。
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