「変化対応力」でカスタム開発市場に挑むSiebel CRM 8.0
日本オラクルは先週、Application Unlimitedイベントで世界同時リリースされたSiebel CRM 8.0についてプレスブリーフィングを行った。CRM最大手として挑むのはカスタム開発の切り崩しだ。
昨年春、Oracleはソフトウェア業界では前代未聞というべき、開発とサポートを無期限で継続していく「Applications Unlimited」プログラムを発表した。次々と傘下に収めたアプリケーション群のスーパーセットとして「Fusion Application」を提供する構想をぶち上げていた同社だが、既存のアプリケーションに投資を行ってきた顧客らの反発に対応した形だ。
経緯はともかくも、Oracleは日本時間の2月1日、ニューヨーク・マンハッタンで「Application Unlimited」イベントを開催し、「Oracle E-Business Suite Release 12」をはじめとする5つの主要アプリケーション製品の最新版を世界同時発表し、約束を果たした。先週、都内のオフィスでプレス向けブリーフィングが行われた「Oracle Siebel CRM 8.0」も、Sieble買収後初となるリリースとして注目されている。
5つが同時にリリースされたアプリケーション群の特徴は、個々の機能強化が図られたのはもちろんだが、Oracle Fusion Middlewareを基盤としている点だろう。
Oracleは、ERPやCRMといった水平的なアプリケーションだけでなく、業界に特化した垂直アプリケーション群を拡充するとともに、すべてを収れん・統合できるようにするインフラストラクチャーとしてFusion Middlewareを提供している。
「CRMとERPは大きなパッケージ同士。これをつなぐにはかなりの工数が掛かった」と話すのは、日本オラクルでアプリケーションマーケティング本部長を務める藤本寛氏。
Oracleが「プリビルトインテグレーション」と呼ぶ成果は、例えば、Siebelを対顧客のフロントエンドにし、バックオフィス業務はE-Business Suiteで処理する、といったことも、箱から出した時点からすぐに統合して使い始められるという。
業務支援型から変化対応型へ
1993年のリリースから18年で560万ユーザーに使われるまで成長したSiebelは文句なしのCRM最大手だが、実のところ最大のシェアを占めるのはカスタム開発だ。
およそ会社が事業を行う以上、CRMと呼ぶかは別として、何らかの業務支援アプリケーションは欠かせないものだ。例えば、顧客との商談に関する情報を記録・管理することで業務を支援するカスタムアプリケーションもこうした部類に入る。
「業務支援型のカスタム開発の市場が大きい。Siebelは、分析やレコメンデーションによって適切なアクションを促す“変化対応型”として売り込みたい」と藤本氏。単なる管理のためのアプリケーションではなく、Oracle Fusion MiidlewareとOracle Databaseによって顧客管理から顧客戦略基盤へと進化したSiebel 8をアピールする。
なお、Siebel 8の主な機能強化は以下のとおり。
- タスクベースの新しいユーザーインタフェース
- ビジネスプロセスの作成・変更が容易に
- Oracle Secure Enterprise Search 10gを同梱
- Webサービスのサポートを拡大
- 業界特化型ソリューションの広範な強化
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