社員はルールを守らない!?現場とのギャップを埋める「3つの原則」:エンタープライズコンテンツ管理(3/3 ページ)
管理ルールを設定するIT部門と、それを実施すべき現場の社員とのあいだに温度差がある企業は少なくないだろう。企業におけるコンテンツ管理の現状とこれからの考え方について重要となる3カ条を紹介する。
コンテンツ管理運用「3つの原則」
これからのECMとは、いわば企業内で利用されるさまざまな情報を効率的に管理できるシステムである。そこでは、紙の書類も含め、さまざまなアプリケーションで作成したデータ、電子メールやWebコンテンツなどを収集、整理して、それらを一元的に管理することが求められている。また、そのカバー範囲は特定エリアだけではなく、全社的に網羅されていなければならない。このようなニーズに応えるのが、Mirosoft SharePoint Server 2007(SharePoint)だ。SharePointは、コンテンツ管理を行いながらも、本来の業務の効率を落とさないことを最重要視しており、情報システム構築に携わる読者の助けになってくれるだろう。
以下に、ECMを成功へ導くためのポイントを3つにまとめてみた。効率的な運用のために、SharePointを中核としたシステムを検討してみてはいかがだろうか。
その1 日常業務を変更するな!
その第一は、その管理システムが、実際に操作するユーザーの指示を得るものであるかどうかだ。
社員の多くは、日々の業務に忙しく、業務の工程が複雑化することは望んでいない。リスクへの対応などの問題が発生するたびに、作業手順の変更が求められるシステムであっては、社員はついて行けない。つまり、最大限のユーザー支持を得るECMとは、社員の日常業務を変更することのないシステムということになる。SharePointでは、ごくわずかのトレーニングで、現在の作業状況を基本的に変更せずにすむような設計になっている。
企業において、各種情報・コンテンツの管理は、急務とされている。しかし、管理しなければならない対象は、企業のシステムであって、各社員ではない。規則を当てはめるのは、人間に対してではなく、システムに対してである。社員に伝えるべきは規則の内容ではなく、ツールなどの使い方のルール、つまり手順である。その手順は、簡単であればあるほどよい。手順がシンプルであれば、ユーザーに浸透するのも早い。
その2 ユーザーを味方につけろ!
これまで、コンテンツ管理を行うと、IT部門の手間が大きく増えていた。選任の管理者を必ずしも配置できない多くの企業にとって、これは大きな問題だ。
そこでポイントとなるのは「ユーザーが自発的に活用できる」システムをつくることだ。いわば、ユーザーを味方につけることで、管理負担を軽減しつつ、ユーザーのモチベーションも維持しよう、という考え方だ。
SharePointがシーンに登場した当初は、Officeアプリケーションとの連動よりも、部署の壁を越えたチームプロジェクトに便利なWebベースのコラボレーションツールという側面が強かった。
しかし、新しいSharePointは、コラボレーションというフロントエンドからさらに一歩、奥へ入ったところで、コンテンツ管理をしたり、業務アプリケーションとの連携、情報の可視化などのビジネスソリューションレベルの機能を搭載したりといったものになっている。
SharePointは、HTMLの知識がなくても、Webを作成したり、Web上でドキュメントを共有したりすることが簡単にできる。情報を発信し、共有するという作業が、IT部門の手助けなしに、ユーザーが自発的に行えるわけだ。その仕組みを利用することで、エンタープライズレベルでのドキュメント管理も行える。もちろん、そのドキュメントが管理されているかどうかは、ユーザーが意識する必要はない。従来はIT部門が行っていた情報発信のためのWebページの作成作業をはじめ、ドキュメントの整理やレコードの管理などの負担が最小限になるわけだ。
その3 多様かつ長期的な展望を持て!
そして第三のポイントは、「多様かつ長期的な組織ニーズへの対応」である。それを実現するためには、拡張性のある、統合されたシステムであることが必要だ。
例えば、コンプライアンスへの対応などについても、法令が出てきた時点では、それを必要とする部署だけが対応していれば、事足りるだろう。しかし、今後、続々と法が施行されることを考えれば、そのたびごとにソリューションを導入してサポートしていくよりも、あらかじめ拡張性のあるシステムを導入したほうがよいのは明白だ。
SharePointは、それを見越し、現場においてスタンダードとなっているWebブラウザやOfficeアプリケーションと簡単に融合できるECMソリューションになっているのだ。
情報共有しながら管理を行う
コンテンツの管理の必要性は、セキュリティやコンプライアンスの求めはもとより、企業の生産性の向上のためにも、急務となっている。特に、社内外とネットワークで結ばれていることが当たり前となっている今日、電子メールをはじめ、情報の共有は企業活動の促進のために欠かせないものなのだ。
情報共有の利便性を残し、企業の生産性を向上させつつも、各種のリスクを低減させるための情報管理体制が望まれている。しかし、システム導入の予算を握るマネジメントサイドと、実際の業務を行っている現場サイドとの望む点は相違する。マネジメントサイドでは、さまざまな管理を行うことで各種のリスクを最小限にとどめたいということに専心しており、対して現場では、常に生産性の高い効率的な仕事環境を求めている。
このときマネジメントサイドにとって大切なのは、その思考を「管理すること」だけにとどめるのではなく、「管理することによって生ずるメリット」まで伸ばすことである。管理ばかりを優先させて、情報共有の恩恵を失ってしまっては、企業の生産性は確実に落ちてしまい、戦略的ではない。
企業活動において、情報の共有は必須だ。それが適正に管理されていれば、作業の重複を大幅に減らせることになる。古いドキュメントや古いレコードを簡単に検索して探し出せるようにしておけば、それを参考にしながら新しいプランを創出できる。新規の事業などを展開する際に、ドキュメントをゼロから作成しなくてもよいことになる。特に、過去に経験した失敗に関する情報は、その失敗を再度繰り返さないためにも重要である。
いまや、そうした情報管理が必要となってきている。それは、企業内の部署の壁を越え、親会社・子会社・関連会社の壁を越え、国境を越えたものにしなければならない。SharePointは、このような問題を解決するため、大いに役立ってくれるだろう。
このコンテンツはアイティセレクト2006年12月号増刊に掲載された記事を再編集したものです。
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