第7回 ケータイ、PHS、それともイー・モバイル?(前編):再考・ワイヤレスネットワーク(3/3 ページ)
今、モバイルブロードバンド環境には、無線LANやPHS、そして新たにサービスを展開する「イー・モバイル」がある。果たして、これはビジネスモバイルの本命と言えるものなのか? ユーザーの目線で検証してみよう。
W-ZERO3を超える? EM・ONEの実力
W-ZERO3の発売以降スマートフォンは大きな展開を見せ、ソフトバンクからは「X01HT」が、そして、今年3月にはイー・モバイルからWindows Mobile 5を搭載する「EM・ONE」が発売された。
イー・モバイルは2005年11月に認可された、まったく新しい携帯電話会社だ。通信方式は現在の3G技術であるW-CDMAの高速規格である「HSDPA」を採用する。HSDPAは3.5G規格とも呼ばれ、通信速度は下り最大3.6Mbps、上り384Kbpsだ。
このようにW-ZERO3よりも高速通信が可能な点で大きなアドバンテージがあるが、VGA(800×480ピクセル)に対応する4.1型の大型ディスプレイを装備し、今流行のワンセグチューナーも内蔵している。Windows Mobile OS搭載機としては最後発であるだけにその魅力も大きい(関連記事)。
本体価格は9万5000円と少々高め(ベーシックプラン:イー・モバイル オンラインストアで購入した場合)だが、2年契約の「データプラン(にねん)」を契約すると初回支払額が3万9800円になる。月額利用料は完全定額制で5980円。こちらもW-ZERO3と比べると少々高いように思えるが、実際のデータ通信上限額は、3800円+定額プランの2900円で6700円だから、実はウィルコムの定額プランよりも安いのだ。まさに戦略的な価格と言える。
ただし、現時点でのサービスは東京/大阪/名古屋/京都とその周辺地域の一部に限られており、サービスエリア面ではまだまだ、これからだ。
果たしてイー・モバイルは、最新のスマートフォンサービスとして、本当にビジネスに使えるモノなのか。次回は、ビジネスユーザーの目線で「EM・ONE」の実用性を検証していくことにしよう。
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